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唐突な旅立ち

「たつにい帰ってくる?」

「大丈夫だよ、ケーナ。おに~ちゃんは帰ってくるって」

「おう、遥姉ちゃんと彼方兄ちゃんにケーナが寂しがってると伝えたら戻ってくるよ」


 一ヶ月程だろうか、アルランで過ごしたが冬ではあるようだが、雪などは降らないむしろ暖かくなってきたようなので、日程を早めて前にいた町を一応最終目標地点としてアルランから出ることにした。


 まぁこのまま暮らしてもいいんだけど、優奈のギルド作成の為にもアルランが生き残り続ける為にも何より

俺も旅はしたいからな。せっかくの異世界で出来るだけ満喫したい。確かに普通の異世界モノとは違うみたいだけど、過酷って程ではないからな。


「ケーナが大きくなったら一緒にいけるから、それまではお留守番かな?」

「おに~ちゃん私は?」

「エナは・・・ルッドさん次第としか」

「ぬぅ、おと~さんが邪魔者だね!」

「ううん、ケーナはヤナギと一緒にアルランにいないといけないと思うの」

「ん~それはケイ達次第だろうな?なぁケイ?」


 見送りの中にいたケイに声をかける。ケイはいい笑顔でケーナに宣言する。


「頑張るよケーナ、ヤナギ様いなくても守れるくらい強くなるさ」

「ヤナギかたつにいに勝てたら信じる」

「無茶言うな!?」

「あはは、ケイおに~ちゃんがんばれ~」


 中々大変な条件だな、まぁケイの能力なら鍛え続ければ最強クラスになれると思うけどな。基本的に単純強化系は悩まずに強くなれそうだ。ケイの場合身体能力がネックではあるが。


「まぁ別に帰ってこないわけじゃないし当分の拠点はアルランだから、じゃまたなケーナ?」

「ケーナちゃんお土産期待しててね!」

「なるべく美味しいものを見つけてくるわね」

「ん、けーな、えなお腹は温める」

「うん、たつにい達怪我しないようにね?」

「シノちゃんもお腹冷やさないようにね?」


 怪我は保証出来ないけど、まぁ善処するよ。





 

 唐突に旅立つことにしたが、前々から計画していたことなので話したときは誰も驚かなかった。一応冬が過ぎるまではいるんじゃなかったの?と美香から質問されたが、暖かくなってきているから春に近づいているんじゃないかと言うと全員納得したのか、そのまま旅立ちの準備を進めた。


 食料類は自分達がストックしている分で十分ではあるがボードルさん、デニスさんが快くというか半ば無理やり持たされた。異次元ボックスもごちゃごちゃしてきたので、整理した。食料専用、資材・道具専用、その他(危険物)と3つに分けた。多分その内数が増えそうだがその時はその時だ。結局デニスさんからは食料ボックスが満杯になるほど提供されたが、3分の1くらいでこれで十分ですと遠慮した。というか3分の1でも10年くらい何もしないでも俺達だけなら生きていけそうだ。計算してないから分からんが。


 トムスさんからは武器を、といっても俺には千那がいるしタダカツ達は専用武器をもらっていたので手入れ道具や念の為持っていけというので防具が中心となったけど。


 旅のメンバーは俺と3人娘はもちろんのこと新たなメンバーとして冬華と雪、蒼・・・そして千那だ。


 冬華はリス族の族長じゃないのか、と思ったがどうやら俺に負けた時から引継ぎをしていたらしい。ぬかりない奴だ、俺としては冬華の戦闘力と戦い方を教えてもらえるのはありがたいから、ついてくるなとは言わない。雪は家族と一緒にいたいだろうし、そういやアルランにいるリス族に全員名前をつけたが一人も男がいなかった・・・話によると男達に見捨てられて餓死寸前だったところを作物収穫を見て賭けに出たらしい。最初から話し合えれば戦う必要なかったかもなと思い、それからはなるべくルッドさんを交えて冬華から話を聞いた。


 何でも冬華が族長になったものも一番強かったからで、群れの中でも弱い部類の女しか残っていなかったそうだ、冬華は男顔負けの強さだった為、取り残された集団を取り仕切る為男達から離れたそうだ。というより置いていこうとする男達をぶちのめして憤慨しながら群れを離れたとのことだ。

 とはいっても、魔物だけで生活を続けるのは難しいから、取り残されたリス族の男達がその内アルランを襲撃するかもしれないと冬華は懸念していた、まぁ柳がいるから多分大丈夫だろう。駄目な時は俺も手伝うし。一応白炎も頻繁に訪れろと来た時に言っておいた。

 それにしてもあれで弱い部類の女とか、全員相当な強さだったけどな・・・冬華がなるべく鍛えたとは言っていたけど、そんな簡単に強くなるのか?死に物狂いだと強くなるのは生物の真理なのかもしれない。


 白炎だが、1人は寂しいと頻繁にアルランを訪れる、竜が何を言ってるんだと呆れたが孤独はどの生物にとっても毒ですと柳が言うので、なら俺の変わりにアルランを頻繁に見にこいと理由を作ってやった。後はまぁケーナとエナのような子供達と遊ぶ約束もさせといた。案外子供なら面倒見がいいらしく、すぐに懐かれていた。相変わらず柳とは悪口を言い合っていたが・・・まぁ戦いにならないからいいだろう。


 千那については戦闘力でいえば冬華と同格、但し完全に力を取り戻したらわからない。仮にも元魔王だ俺も殺されかけたからな。右腕を取り込んだことで大分力は戻ったらしいがまだまだと本人は言っていた。それに黒塊をベースにした為か体が前より強靭になったと喜んでいた。

 護衛としては俺も安心出来る強さだったので、これでチームとしては3人程純粋な戦闘力として期待できる者がいることになる。一応ワニ騎士達もそこらの能力者よりは強いだろう。


 戦力的な問題は最初の頃より格段に改善されたと見ていいだろう。問題は冬華達獣人族と会話が成り立たないことくらいか。まぁジェスチャーで何とかしていくしかない。







 前の町に辿り着くことが最終目標ではあるけど、俺たちは西の門から出た。ぐるっと西から南へ回り移動するつもりだ。とにかくまぁ川の向こう側を確認しときたい。もしかしたらすぐ向こうに町がありましたとかだったら儲けものだ。


「まぁ急ぐつもりもないし、調査の時みたいに急がないからのんびりいこうか」

「採集も忘れずに~あ、これ拾って欲しいな?」

「ヂヂヂヂヂ」「チチチチチ」


 時折優奈が指定した木の実やら薬草、それに樹液などの採取をしていくので歩みとしてはかなり遅い。それに一ヶ月に及ぶ訓練のおかげか、誰も背負う必要もなく、蒼の背中もずっとフリーだった。ただ蒼は誰かを乗せたかったらしくしきりに俺に催促してきたが、今日くらいは歩きたかった。全員がそうであった為、蒼は明日誰かを乗せる!とでも言うように鼻息荒く歩いていたが。狼って何かを乗せたがる生き物じゃないよな?


 



「久しぶりに出たなぁ」

「ふむ、達也よ?千那がやってもいいか?」

「別にいいが服を破るなよ?怪我はしないだろうから心配はしてないけど、服破くと美香が・・・」

「心得ておる、千那としてもあいつ如きに土をつけられる心配はしていない。腕ならしだ」


 俺達の目の前にはいつぞやのミミズ型が3体、地面から体を生やしこちらの様子を窺っている。冬華が最速で優奈の目を塞いだので、後は倒すだけだ。


「な、なんかこれ前もやられた気がする!今度は冬華ちゃんなの!?」

「ヂヂヂヂヂ、ヂヂヂヂヂ」

「大人しく目を塞がれてなさい、優奈」

「ん、ゆうなは見ちゃだめ、きょういくにわるい」

「志乃?出来れば貴方にも見て欲しくないのだけど?」

「ん、私は大丈夫」


 後ろのやり取りはともかく、千那が先制攻撃をしかけるようだ。服を汚したくないのかその場から動かず、徐に両手を上げゴスロリの袖から黒い糸が大量に放出されミミズ型に纏わりつく。


 纏わり着いた黒い糸を千那が軽く引っ張る動作をするとそれ自体が意思を持っているのか、勝手にミミズ型をバラバラに引き裂きながら血の一滴も身を汚すことなく、ミミズ型が殲滅された。あれじゃぁ食用にもならん。どこまで細かく切ったのか、ブロック状のものが殆どない。


「ふむ・・・腕ならしのつもりだったが、一瞬で決着がついてしまった」

「それは、いいんだけど素材とか必要な物もあるんだから次からは考えてくれよ?」

「ぬ・・・失念しておった」

「それに、血臭が酷すぎる・・・撒き餌のつもりか?」

「ぬ、ぬぅ・・・」


 さすがにマズイと判断したのか、千那は袖をまくり両手を肥大化させ、地面を抉りめくりあげながらミミズ型の肉片を地面ごと脇によせていく。ブルドーザーを見てる気分だ。脇に寄せるのはいいんだが結局根本的な解決になってないし、片付けしろって言ったら押入れに全部詰め込んだ感じか?


「一応何も気配ないけど、もう少し移動してから野営の準備するか」

「面目ない」

「まぁ次から気をつければいいだろ」


 ポンポンとなでるように頭を叩き、後ろに声をかけて進む。





 パチパチとはぜる焚き火に薪を追加しつつ、寄りかかるように寝てしまった優奈を下にローブをひいてやり横倒しにして頭を膝の上に移してやる。見張りは交代まで起きないと駄目なんだぞ?


 見張り自体、睡眠を必要としないワニ騎士達、それに元魔王?千那がいるから必要ないんだけど。一応生物のカテゴリーではあるが、体に3つの意思?魂?があるそうで、交代で休むから睡眠がいらないと言うのだが、3つ?2つじゃなくて?まさか右腕にも意思があったと?その辺は千那も把握しきれていないが、3つとも悪意がないのは保証された。まぁ、俺の封印された左腕が最上位権を持っているとの話だったから大丈夫・・・だろう。懸念をこれ以上増やさないで欲しいです。


 優奈が冒険者は見張り番をするものなんだよ!と力説するものだから、じゃぁまぁやってみれば?とやらせてみたら、眠気に勝てずウトウト舟をこぎ始めたなと思ったら、寄りかかりながら寝てしまった。


 溜息をつき・・・死ぬらしいから、無理やり止め千那が帰ってくるのを待つ。帰ってきたら見張り頼んで俺も寝よう、千那は周辺を見回ってくるといってワニ騎士達と一緒に探索に出かけた。


 優奈が風邪引く前に、いや俺のローブも使ったから俺が風邪引く前に帰って来て欲しいところではある。


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