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ボールは1つじゃない

「たつにい今日はケーナと遊べる?」


 起こされた第一声がそれはどうなのケーナ?


「とりあえずおはようケーナ」

「おはようたつにい!みかねえに起こしてきてって言われたの!たつにいお寝坊さんだよ?」

「ぬ・・・そうなのか?」


『昨日の出来事のせいか、熟睡してましたよ?』


 ケーナ以外は全員起きて朝食の準備なり何なりを終えているようだ。

 ケーナを抱き上げて居間へ、そういや起きたで思い出した。


「ケーナ、お母さん起きた?」

「ママ?起きたよ!」

「そっか、まぁ大丈夫だとはわかっていたけど・・・それにしてもマーサさんは誰に眠らせられたんだろうな」


『誰も感知できませんでしたからね・・・白い衣の人がやったのではないでしょうか?』


「そうだな・・・結局手寅からは連絡ないし、なんだったんだか」


 手寅のことだ後で説明を脳裏に垂れ流してくると思ったが、何もなかった。まぁ白い衣を排除してくれるだけで十分っちゃぁ十分だけどな。





「おはようたつくん!じゃぁ私はエネ婆ちゃん家行っていい?」

「ん、あぁ・・・冬華頼めるか?」

「ヂヂヂ」

「チチチチチ!」「グルル!」

「なんかちびっこ二人は久しぶりだな、うん、まぁ今日はケーナと一緒に遊ぶか?」


 冬華が護衛を引き受けてくれたので、任せることにする。あぁそれと


「千那も優奈についていてくれ」


どんだけ腹が減っているのか、口に朝食を詰め込んでいる千那にも声をかける。


「ふはった、ふぁふぁふぇてふぉけ」

「口の物を食べてから喋れ・・・とにかく頼んだぞ」


 口に詰め込む方が重要なのか、頷くことで応答する千那。どんだけ腹減ってんだよ?

 席に着くと給仕よろしく美香が朝食を並べてくれる。 


「訓練の方はいいの?」

「ん?訓練場で遊べばいいだろ?」

「何する気なのよ・・・」

「そりゃ・・・訓練しながらケーナと遊ぶ?」

「もういいわよ、私も訓練参加するから志乃に任せるわ」

「ん、まかされた」


 何で志乃の方に頼むんだよ?


「たつにいお外で遊ぶの?」

「まぁな、ケーナ暖かい服着ろよ?かなり寒くなってきたからな」

「うん、まま~あったかいのだして!」

「はいはい、ちょっと取ってくるから待っててねケーナ」

「手伝う!」

「まぁまぁ、ありがとう」


 ケーナが元気になってからマーサさんも元気になったらしい、以前は憔悴しきっていたという話だ。ボードルさんから聞いたんだけどな。


「ふふぇ、ふぇふぁふふぁ、ふんふぇん?」

「だから、食べ終わってからにしろ・・・教育に悪いだろうが」


 志乃が真似したら張り倒すぞ?いや、志乃はこういうことはしないんだけどさ。


「ん、たつあーん・・・あーんだめ?」

「普通に食べようよ・・・」

「むぅ・・・なら、んっ!」

「またいらん知識を覚えたな!?」


 あーんを拒否すると口にパンを咥えてこっちに突き出してきた。叱りつつ回りを見ると優奈が顔を逸らしたので犯人特定完了。


「優奈?」

「な、何かな~たつくん?あ、ほら千那ちゃん!いつまで食べてるの?ほらいくよ!」

「帰ってきたら・・・説教な?」

「や、やだ!き、聞こえないも~ん、冬華ちゃん、千那ちゃんいくよ!」

「ヂヂヂヂヂヂ」

「ふぁふぇ!ふぁまふぁふぇてふぃる!」


 冬華がやれやれと言うように首を振りつつ外に行った優奈を追いかけていった、千那をひっつかんで。


「たつ、パンとっちゃだめ」

「いいからご飯食べなさい・・・普通に」

「ん、たついじわる」

「たつにいケーナ暖かくなった!」


 全部の冬服を被ったかのように、モコモコになっているケーナから服を剥がし、適切な量を着せ、志乃の支度も整うまで時間が結構かかってしまったが、訓練場へ向う。美香はいつもの如くジャージだ。熊毛皮のローブは羽織っているが。







「あ、そうか・・・千那の実力見せてもらうべきだったな」

「どうしたのたつにい?」


 思わず口に出ていたらしく、ケーナが不思議そうに見上げてくる。何でもないよと返してから飛んできたボールを取ってケーナに渡す。


「んぬ~ぬ~、えいっ!」


 10m程しか離れていないとはいえ、ケーナの女の子の腕力じゃ届かない。てんてんてんと二度三度バウンドして転がることでようやく志乃まで届く。

 

 今やってるのはビニールボールを使ったキャッチボールだ、ボールの大きさはサッカーボールくらいだけどな。志乃は辛うじて届くが、風やらコントロール不足やらであっちこっちに飛んでいくのでケーナが取れそうにないもののフォローをしてやりながら二人の遊びを見守っている。


 ちなみに雪と蒼は離れた場所でひたすら動き続けている。鬼ごっこをしているわけではない。タダカツ、ヨシテル、ムサシ、ベンケイの4匹のワニ人形騎士達がボールを投げそれをひたすら避けている。


 恐ろしいことにボールは1個じゃない、4個でもない8個のボールをお手玉よろしく4匹で巧みに投げ続けている。しかも、その場に立ってではなく、移動しながらだから尚のこと難易度が跳ね上がっている。


 まぁそれを避け続けている2人も中々おかしなことになってる。反応強化を二重・・・いや三重かけでいけるとは思うが・・・背後からのも考えると気配察知をつけないと避けられないよな、うん無理だ。あいつらすげえなぁ。


「たつにい!ボール!」

「あれ?おぉごめん」

「もぅ!」


 ボールはキャッチしてたけど、渡すのを忘れてた。あっちも気になるけど、お姫様の機嫌を損ねるのは後が怖い。





― タダカツ ―


 速い!ボールを増やしたのにも関わらず、当たる気配が全くない。体勢を少しも崩さずリズムを取っていないからタイミングをずらす意味もない。ボールは10個まで増やしたが、これ以上は我々が対応できない。これ以上増やすなら足を止めないといけないが、同じ場所から投げてはボールの軌道が限られてしまう。そうなったら円の中から出すことなど出来ない。下手すればさらに小さな円を作られかねない。


 王に名前を頂いてから我々は訓練を欠かさなかった。人形としての体の力、出力は素材の影響とご主人の力(愛情)による。体は今作れる最高の物にしてもらったし、日々ご主人からの力は増えている。我々はそれを使いこなす技量を身につけるだけだ、ご主人達と比べたら強くなるのは簡単なはずだ。


 いや考える余裕があるなら、まだボールは増やせる!俺は思念を飛ばしボールを増やすことを宣言する。正気か!?と帰ってきたが、返す余裕があるなら出来るはずだ、ご主人からもらったこの体の限界はこんなものではないはずだ!と思念を飛ばすと、3匹から同時に了承と返ってきた。


 ボールを一気に14個に増やした、明らかに雪殿と蒼殿の目が変わった。投げ始める・・・取る走る投げる取る投げる走る取る取る投げる走る投げる・・・2人とも円を全部使うように移動を始める。2人はダンスを踊るかのように避け続けるが、次第に無理な避け方も混ざり始め・・・このままいけば勝てるか?いや、こちらの方もかなり無理が・・・しまった!受け損ねた。



―――





”反応強化”×3


「あ~あれは引き分けかな」

「たつにい凄かったね~」

「ん、ゆきとあおいが、いっぱいいるように見えた」


 タダカツ達がボールを増やしたあたりで2人にあれを見学しようと言って見ていた。


 最終的にボールが14個に増えたが、タダカツがボールを受け損ねたと同時に雪が避け損ねたボールを蒼が変わりに受けてやっていた。雪と蒼仲良くなったなぁ、まぁテニスボールだから怪我をすることはないとは思うけど。


 投げる方も避ける方も限界が来ていたから丁度良かったかもな。俺達が見てることに気付いた2人と4匹は全員ションボリしながらよってきた。どちらの陣営も悔しかったらしい、志乃とケーナと一緒に撫でたりして慰めてやった。


 その後は定番のボールを投げて、とってこーいを雪と蒼が競い合い。

 ワニ騎士達は今度は俺をターゲットに的当てをした。ま、気配察知と反応強化×3でやれば余裕で避けきれた。10分くらいしか持たず最後は体力切れだったが、避け切ったから俺の勝ちだな。

 3重の併用は消費が激しいな、追加で強化するとすぐに枯渇する。要注意ってところか。

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