双子の目的忘れてない?
「んじゃ、明日帰るのか」
「そうそう、それでねお願いがあるんだよね」
「いやいや、ハグしろとかそういうことじゃなくてね」
「「ケーナちゃんをどうにかして下さい」」
「・・・ケーナ、お姉ちゃん達お家に帰るってよ?」
「やー!」
ケーナに随分懐かれたなこの二人・・・まぁ悪いやつじゃないからケーナとしては数日とはいえ一緒に暮らしてたんだから懐くのは当然か?まぁ双子の人柄のおかげか。
「ケーナ、お姉ちゃん達もお家で待ってる人いるんだぞ?」
「お姉ちゃん達ママとパパいないって言ってたよ?」
「・・・ケーナ、ママとパパ以外でも帰りを待ってくれる人はいるんだよ」
「ママとパパいないならここに住めばいいじゃん」
「ケーナ・・・」
「パパとママいないなんてやだよ・・・お姉ちゃん達も嫌でしょ?」
怒るべきか諭すべきか・・・。
「ケーナのパパとママはケーナが帰って来ても心配しないの?怒られないの?」
「・・・たつにいの所に勝手に遊びにいったとき怒られた・・・でもヤナギはいたよ?」
「うん、ちゃんと怒ってもらえたんだろ?じゃぁパパとママが何も言ってこなくなった方がいいか?」
「・・・やだ」
「お姉ちゃん達も帰りを待っている人がいるんだよ?パパとママじゃないけど、ケーナみたいに小さい子もいるし、むしろお姉ちゃん達がパパとママだぞ?」
そう言うとケーナが双子を見た、双子は自分達の住処には小さい子がたくさんいるって言っていた、多分ケーナにも話していたんだろう、ケーナの目は何かを思い出したかのような感じだ。
「じゃぁその子達も連れてこれば・・・いいじゃん」
「それが難しいのはケーナも知ってるんだろ?」
「・・・うん」
「ならその子達にお姉ちゃん返してあげよう?」
「・・・うん」
「うん、今日は一杯甘えればいいさ」
「・・・たつにいは?」
「ん?」
「たつにいはいつ町出るの?」
「え?あ~冬があけるまでは一応いるけど・・・まぁちょくちょくケーナに会いに来るよ」
「・・・うん、わかった」
まぁこんなところか、納得はしてないみたいだけど大人になるにつれてわかるようになるさ、別に二度と・・・会えない可能性はあるかもしれんが、この双子ならそうそう死なんだろ。
『タツヤ様ありがとうございました』
「・・・俺の役目じゃないとは思うが・・・まぁいいか」
「ん、今日はケーナと一緒に寝る?」
「いや、遥と彼方と寝かせてあげようか志乃」
「ん、けーな明日またくる」
「ええ!?たつにい達も一緒に寝よ?」
「・・・別にいいけどお姉ちゃん達はいいのか?」
「もちろんお姉ちゃん達もだよ?」
「ん、けーなはよくばり」
「えへへ~」
褒めてはいないと思うが・・・まぁいいか、とりあえず優奈を迎えにいってこよう。
「出来たよ!さすがハっちゃん!」
「まさか、この石のようなものが植物とは・・・確かに、よく見れば奥の方で強い光を感じるのう」
「ヂヂヂヂヂヂ?」
「うん、冬華さん!これは1級ポーションだよ!間違いない!」
「とにかくちぇっかーくんとやらに鑑定してもらおうぞ、ユウナ?」
「そうだった、えっと・・・お願いチェッカー君」
3人が覗き込んだ画面には【神水薬 神さえも癒せる薬、死体さえも蘇るかも?】とチェッカー君でも効果のほどがわからないらしい・・・そんなものを作った優奈は膨れっ面だ。
「ユウナよ?どうして不機嫌なのじゃ?これを見る限り効果が高いのではないか?」
「だって、たつくんは死なないもん!」
「あぁなるほど・・・まぁ死なない限りは治せるのじゃろうよ、ほれ素直に喜ぶべる女の子も魅力的に映るものじゃよ?」
「えへへ、魅力的なんてエネ婆ちゃんったら~」
「ヂヂヂヂ」
落ち込んだと思ったら煽てられてすぐに調子を取り戻した優奈に冬華が呆れて首を横に振る。そんな冬華が達也が来たことを感じ、優奈に伝える。
「ヂヂヂ、ヂヂヂヂヂ」
「ふむ・・・その感じですとタツヤ殿が迎えに来たのかの?」
「そうなの?冬華さん?」
「ヂヂヂ」
頷く冬華を見て大急ぎで後片付けをする優奈。
一方達也は迎えにきたはいいが、おっさんに囲まれていた。
「キサラギ!いい加減ルッドとウォルは嫌だ!」
「あいつらがいない日はもっとやべえんだぞ!?不器用なおっさんが立ってるんだ!というかそれは今だ!」
「おかげで治る怪我も治らなくなっちまった!」
「「「ユウナちゃんを出せー!」」」
「・・・いやいや、俺に言われても・・・エネス婆さんに言ってくださいよ」
「「「無理だ!」」」
「じゃぁ諦めて怪我しないように訓練してください」
「「「俺たちの癒しは!?」」」
「そんなもん知りません」
「「「神は死んだ!」」」
「そうですね」
相手するのも馬鹿らしくなった達也は、留守番を頼まれていたらしいオルトとレイクに声をかけて地下に降りる。
「今日はオルトさんとレイクさんですか、優奈達は地下ですか?」
「おぅ、なぁキサラギ?この薬塗ればいいんだよな?」
「待てオルト!それは確か・・・火傷用だろ?」
「そうだったか・・・?とりあえず塗ってみればいいんじゃねえか?」
「何でお前らが治療してるんだ!?せめてルッドかウォルを寄越せえええ!」
「あいつらは今日休みだよ・・・お前達が怪我しすぎなんだよ」
「そうそう、いくらなんでも疲れたってよ」
優奈目当ての人は減ってきたようだけど、訓練で怪我は普通にするみたいだからな。真面目に訓練してる人にとってはとんだとばっちりだろうな。治療の様子に苦笑して地下へ降りようとしたところで、冬華が出てきた。
「ヂヂヂヂヂ」
「おう冬華、優奈迎えに来たんだけど。今どうなんだ?キリ悪い?」
「ヂヂヂヂ」
身振り手振りで今上がってくると言っているのがわかったので、待つことにする。あれ?そういや志乃達どこいった?
「ほ~サナダの嬢ちゃん、手際いいんだな」
「ん、たつはよくけがする」
「あぁなるほどキサラギの怪我の手当てでか・・・オルトより上手いな」
「うるせえ!俺は怪我なんてしないからな!キサラギが軟弱なんだぜ・・・え?ノオオオオオオ!?」
「ん、たつはつよい・・・よわくない、まけるけど」
「・・・よ、容赦ねぇ・・・オルト・・・大丈夫か?」
志乃がいつのまにかオルトさんの変わりにさっきの人の手当をしていた。そしてオルトさんの発言に神速の一撃を股間にぶちこみ悶絶させた。・・・美香どこいった?
「ふぅ・・・これでいいと思いますよ」
「ありがとうのう、ノザキ様・・・レイクじゃわからんと言うのでの」
「本職じゃないなら仕方ないですよ、ではお大事に。こっちは終わったわよって・・・オルトさんどうしたの?ってあぁ・・・志乃?そこは叩いちゃ駄目って達也も言ってたでしょ?」
「ん、たつよわくない」
「あぁ・・・オルトさん志乃の前で達也のこと悪く言うのは・・・気をつけた方がいいですよ・・・いえ、どちらにせよすみません、大丈夫ですか?」
「あぁいや、気にすることはねえよノザキ、オルトが迂闊すぎる。キサラギの悪口をお前達の前で言うとか自殺行為すぎるわ。ほれ、オルト・・・潰れてはいないだろ?」
「ぐおおおお・・・ふ、ふんっ・・・サカグチの一撃如き・・・き、効かないからな!あ、待て2撃目を狙うな!」
「こら志乃!駄目だってば」
「はんせいしないとだめってたつも言ってた」
そこを叩いちゃ駄目ってのも言ってると思うんだけど・・・仲間の悪口に怒ることは悪いことじゃないから怒りづらい・・・いやだからって、そこは叩いちゃ駄目だけどさ。
「他のところ叩くのじゃ駄目なの?」
「力足りない・・・異空間は絶対使っちゃだめっていってた」
「あぁ・・・そりゃあれを使ったら半分になっちゃうものね・・・なら仕方ないのかしら?」
何で美香が説得されかかってんだよ!そりゃ異空間は使っちゃだめだけどさ。
「いやいやいやいや、待て!駄目だろ?志乃・・・出来れば手を出さないで欲しいんだけど」
「たつはよわくない」
「あ~うん、じゃぁ志乃が怒ったら俺に言ってくれ変わりにお仕置きするから」
「ん・・・たつがやったらばくはつする?」
「て、手加減はするぞ?」
「ばくはつするよりは痛いほうがいい?」
「・・・あれ?志乃のお仕置きが最適解?」
10歳に誤魔化される年長者二人である。結局志乃の股間攻撃は有耶無耶になってしまった。引き続いて股間を叩かれる男が量産されるのであろう。その内喜びそうな奴が出てきそうだが・・・そうなる前に志乃のお仕置き法を変えることを切に願う。
「たつくんお待たせ!・・・?何でおじさん達、蹲ってるの?」
「志乃を止める事が俺には出来なかったんだ」
「何で、たつくん落ち込んでるの?」
優奈が片付けをしている間に達也の悪口を志乃の前で言ってしまった計5名の男は、神速の一撃によって全員ダウンしてしまった。所詮幼女の一撃だが、立てなくなるには十分な威力だった。段々叩き慣れて来ているのか、弾くように叩いているので一層ダメージが深いようだ。
「ん、おばあちゃん、このおくすり飲めばいい」
「おぉ、お嬢ちゃんは物知りだのう・・・ありがとうよ」
「ん、おだいじに」
「結局俺とオルトは用済みになったな」
「く、俺だってやれば出来るんだぜ?」
「まぁ何にしろサカグチ来たんなら達也達帰るんだろ?」
「うん、お疲れ様オルトさんレイクさん」
二人に後を任せて、再度ケーナの家へ。ケーナの家に向っていることに気付いた優奈が不思議そうに聞いてきた。
「今日はケーナちゃん家に泊まるの?」
「あぁ双子が明日帰るんだけど、ケーナがちょっとぐずってな・・・説得は出来たんだけど俺たちも一緒に寝ないと駄目ってことになった」
「遥ちゃんに彼方君明日帰るんだ?」
「もともとさっさと帰る予定だったのを治療と訓練で伸びたからな」
そういえばと美香が思い出したかのように言った。
「そういえば、塩を探しに来たのだったわね」
「遅くなった理由をこと姉が知ったら怒られそうだなあいつら」
「それはさすがに可哀想よ?頑張ったのに」
「まぁ話に聞くこと姉ならきちんと褒めてくれるだろ」
そんな話をしながら達也達はケーナの家・・・ボードル町長宅へと着いた。ケーナに招かれ達也と美香以外は遊びにいき、達也は町長と話があり、美香は夕食の手伝いにいった。ちなみに冬華と雪は最近完成した集落の方へ、蒼がそれについていきたそうだったので、冬華に任せたようだ。
「おぉキサラギ殿ケーナから聞いておりますぞ、今日は我が家にお泊りいただけると」
「お邪魔します、すみません大人数で押し寄せて。双子もいるのに」
そんなことは気にしなくていいですよと言いながらボードルは達也に内緒話をするように誰もいないことを確認して話し出す。
「なんのなんの・・・ところで今日の夜如何ですかな?彼らをお送りする前に今更ながら歓迎会を開こうと思っているのですが、その後でも」
「あぁお酒ですか?お付き合いしますけど、前回のことから誰かついてないと飲んじゃいけないことになってるんですよね・・・美香に頼みますかね」
「なんと・・・まぁその方が良いかもしれませぬな、私としては前回見れなかった飲みっぷりを直に見たいのですがな?」
わっはっはと笑うボードルに達也は苦笑気味だ、前回は飲んだ記憶がなくなっていた為、結局何が起こったのかわからずじまいだった。誰に聞いても教えてくれないし・・・とにかく3人娘の誰かをつけろと固く約束させられたのは確かだ。
その後達也は町についてあれこれ聞き、また町長も達也の意見を参考にするため話し合った。その内、ボードルの妻であるマーサが部屋に入って来て準備が出来たから運ぶの手伝ってくださいなと言うので、手伝いはじめた。
「いやいや、キサラギ殿に手伝ってもらうわけには・・・」
「美香が料理手伝ったなら今更ですよ・・・結構量あるし」
「むむ、すみませんなぁ」
「美香、これ全部作ったのか?」
「マーサさんに教わって頑張ったわ」
「ミカさんは筋がいいですよ、むしろ私が教わりたいくらいです」
「そんなことないですよ、マーサさんの教え方が上手でしたし」
主婦二人が和気藹々としてるなか料理を運んでいく達也とボードル。テーブルに所狭しと並べられた料理を見て達也一言。
「これ食べきれんの?」
歓迎会が始まる。




