報告会と風呂
「さて、聞いておきたいこと、言っておきたいこ・・・ん?言っておきたいことの内容は変わるけど、話そうか」
ステータスと二人を眺めつつ話し始める。
坂口さんがにじりよってるが・・・
「真面目な話だから、隣にくるの禁止」
釘をさしておく
「さてと・・・まず、言っておきたいことにするか、坂口さんには教えてるけど、俺の能力は肉体変化だ。腕力強化や聴力強化といった単純な基礎能力の底上げから、反応強化や気配察知っていう、どこを強化してるのかわからないものも、発想次第で強化できる。そして、今見たらレベルが3になっていた」
「一気に2もあがったんだ?」
「昨日は2レベルだったんだけどな、あぁレベルアップの条件はわからん・・・思い当たる節はあるけどな・・・」
怪物一匹と人を二人も殺害したしな・・・
少し沈んだ俺を見て気づいたのか、野崎さんが頭を撫でてくる・・・なぜ、撫でる?
「ん、あの事の責任は私にもあるわ・・・達也一人の問題じゃないわよ」
「・・・そうかもしれんが、なぜ撫でる?坂口さんも頭出すな、撫でないぞ」
「な、なんで〜?」
「まぁいい、言いたいことは以上だ、それで聞きたい事だが」
「待って、順番的に私達も言っておきたい事を言うわ」
「そだね」
む・・・順番っていうなら仕方ない、聞いてやるか
「まず・・・改めて助けてくれてありがとう、あのまま慰みものになるかと思ったわ」
エロ同人みたいにな、そしてなぜか特にない胸を張っている坂口さんである。
「私の能力は″人形憑依″レベルは1よ・・・どういうものかは把握してないわ・・・も、文句ある!?」
「あぁいやヒステリー起こすな、何となく想像出来るから後で教えてやる」
にしても憑依ね・・・操作じゃないのがキモだな。
「なんで、わかるのよ・・・」
「発想の問題だ、次は坂口さんか?」
「うん、たつくんは知ってるけど、能力は″機械掌握″レベルは2になってたよ。できることは、私もあんまりわかってないんだ〜今のところは、触るだけで懐中電灯の光付けられるよ!」
あだ名はドヤ顔にしたろうか・・・にしてもレベルアップしたのか、俺よりは低いが野崎さんよりは高いな・・・パーティー経験値とか?
「んじゃ聞きたい事だ、野崎さんも異世界組・・・つまり地球人?でいいんだよな?」
「えぇ、日本生まれよ・・生憎わかるのは名前と年齢位で、細部が思い出せないの」
「そうか、俺たちも似たようなもんだ。こっちに来たと自覚したのは一昨日か?」
「そうよ・・・民家で目を覚まして・・・怪物から逃げる時・・・刺された男と会ったのよ」
「なるほど・・・その刺された男も異世界組?」
「ええ、記憶も同じようだったわ」
つまり・・・現状何もわからんって事がわかった。地球人はいっぱいいるが、向こうでの記憶を失っている、異世界人はいるかどうかわからない、なぜか地球の町っぽいのがある。しかも冷蔵庫の中から察するに同じ時間帯に転移?したと思われる。
そう呟き確認をしていく
「そもそも、ここが地球でないとも言い切れないのよね?」
「怪物がいること以外はな・・・集団誘拐って線もあるな」
「でもさ?記憶が曖昧になってたり、能力あったりおかしいよ?」
「それは異世界ってことには、ならないだろ・・・」
「む〜たつくんは、何があれば異世界って認めるの?」
「そうだな・・・異世界人とか?もしくは魔物?・・・は微妙にいるな」
あの怪物の事も何もわからんな
「とりあえずは、これからどうする? って身構えるな、別れようって話じゃない、方針についてだ」
「ん?ん〜たつくんについていく!」
「そうね、私もついていくわ」
「いや・・・方針・・・まぁいいや、基本探索と・・・レベルアップの模索だな」
「魔物を倒すじゃ私、レベルが上がる気しないよ〜」
「そうね、格闘どころか・・・私は運動音痴よ」
「坂口さんがレベルアップしてることを考えるに、パーティー経験値か使用回数かも知れないな」
「使用回数?」
「懐中電灯弄りまくってたろ?」
「え〜パーティー経験値のほうが信憑性ありそうだよ」
「まぁ正解はわからないけどな」
「ところで、人形憑依の能力が想像出来るからって言ってたわよね」
そう聞かれ俺は、家の中からぬいぐるみを持ってきて手渡す。
「ウサギのぬいぐるみ・・・?」
「あぁそれに触りながら・・・そうだな、視覚共有とでも念じてみな。イメージはぬいぐるみの視界を見れるって考えるんだ」
野崎さんはウサギを持ち、思案しつつ目を瞑った。
「ん・・・なるほど・・・見えるわね・・・体は少しは動くけど無理ね」
ウサギの足がプルプルしている・・・気持ち悪いな
「じゃぁウサギに触れてなくても、視覚共有出来るかやってみ」
ウサギを置いて離れたところに座り目を瞑ったようだ、慣れれば本体との視界と一緒に見れないかな?
「うん、見えるわね。ただ、首があんまり動かないから視点が固定されるわ」
色々試してわかっのは、ある程度なら離れていても視覚が共有できる事。視覚と同時には出来ないが、喋ること聞く事が出来る事。最後に二体目のリンクを作ると一体目のリンクは途切れる事がわかった。
「なるほどね・・・大体わかったわ」
「ねね?たつくん?私のは?」
「坂口さんのは、まだ思いつかない。電力や燃料がいらないってんなら、色々思いつくんだけどな」
「電池抜いたら、懐中電灯もつかなかったもんね・・・」
落ち込んでしまったので
「まぁおいおいな、機械が多そうなところでも探すか」
といいつつ撫でておく・・・復活はや
「えへへ〜今日はどうするの?」
「なんだかんだで昼過ぎたしな、今日はここで泊まる」
「そうね・・・お風呂って使えるのかしら?」
風呂?・・・あ〜女の子は清められないのは辛いわな、俺も風呂は好きだし。っても水はともかくお湯はなぁ・・・風呂を見に行く
特になんの変哲もない風呂だった。お湯は出ない、さすがにお湯に変化するのは無理だろうし・・・あ〜面倒だが仕方ない
「ドラム缶みたいなもんでもいいか?」
「そりゃ贅沢は言わないけど、ドラム缶?」
「近くのホームセンターであるのを確認してるんだよ、とってくるから待ってろ」
「え?ちょっと!?」「た、たつくん?」
一目散に駆け出す、俺は基本決めたら躊躇わないのだ。脚力強化と心肺強化を併用して、ホームセンターにたどりつく、考えてみれば燃やすものもないので炭やら桶やらも確保する。ドラム缶もあったがかなり大きい木の桶があったので、ドラム缶で沸かし移す方が入りやすそうだ。
ってな具合に色々確保したら物凄い重さになった・・・簀いらないかな・・・いや、とことんやるのだ。
腕力、腰回りを重点的に強化し持ちあげる・・・持ち上がるもんなんだな、周囲を警戒するのも忘れずに帰宅する。
「・・・えっと・・・何もこんなに・・・というより手伝ったのに」
「たつくんすご〜い!?」
別に反省も後悔もしとらん、能力が違うものだったらやってないしな。
ともあれ暗くなる前に準備する・・・こういのに楽しさを覚える性格で良かったわ、義務とかは嫌いだけど、キャンプっぽくて楽しい
そんなこんなで準備をあらかた終え、ふと
「誰が最初にはいる?」
「達也でいいわよ、汗だくだし」
「そだね。あ、一緒に」
「入るかおバカ」
「む、む〜」
譲ってもらえたので先に入る・・・その後二人も入ったが、誓って覗いてはいない!へたれとか言われるだろうが知らん!むっつりなのだ俺は!
坂口さんがごねた以外は何事もなく就寝にはいる。
「ちゃんと言うこと聞いたよね!」
「あ〜まぁうん約束は約束か」
っち、覚えていたか・・・子供とはいえ、一緒に寝るのは俺の精神的にも教育的にもよろしくないような・・・野崎さんをみれば逆位置に陣取っている・・・男嫌いじゃなかったのかよ、ジッと見てると
「な、何よ?寒いから仕方ないじゃない!?」
「あぁうん、好きにしてくれ」
俺は鈍感ではないと思う・・・吊り橋効果かね?そういうのって長続きしないような気がする。
両手に華状態で眠る・・・明日の朝両腕が心配だ・・・