要量酔法を適切に守りましょう *誤字じゃないです
「キサラギ殿は今日はどうされますか?」
夕飯をご馳走になった後、ケーナと遊んでいるとボードルさんに聞かれた。
「あー、そろそろ帰ります」
「たつにい、かえるの?」
一瞬で涙目になる幼女がひとり・・・あぁ、抵抗するの無駄かこれ?
「よろしければ泊まっていかれても私共は構いませんが・・・いえ、むしろ泊まっていかれませんか?」
皆を見渡す・・・俺の好きにしろって顔してやがる。
「そうですね、やっぱりかえ「たつだめ」・・・すみません、夜も遅いので一晩泊めてください」
「いえいえ、ありがとうございます・・・ケーナ?キサラギ殿泊まってくれるそうだよ」
「ぱぱ、ありがと!」
「いやいや、パパは何もしてないよ。キサラギ殿にお礼を言いなさい」
「たつにいありがと!」
「どういたしまして・・・いや、泊まるのはいいんだが。エナ?帰るか?送るけど」
「え!?おに~ちゃん!それは酷いよ!?」
いや、余所様の子は扱いが難しいんだよ?ご両親の許可が必要なんだよ。
「むー・・・私も泊まっちゃだめ?」
「決めるのは俺じゃないんだよなぁ」
「ふむ・・・大丈夫でしょう、私のところに来ることは知っておるのでしょう?」
「一応まぁ寄るとは話しましたけど」
「なら、メリーが気づくので大丈夫ですよ。ルッドは・・・最近様子がおかしいですが、まぁあの夫妻なら問題はありますまい」
ルッドおじさん・・・生きろ。
「じゃぁ泊まっていいの?」
「ボードルさんが許可を出したなら俺からは何も言わないよ」
「わーい!」
「ん、着替えは私が貸す」
「ありがと、シノちゃん!」
「たつにい遊ぶ!」
『私も遊びたいです、タツヤ様』
しばらく、6人と1匹?でトランプしていたが、ケーナが力尽きて寝てしまったので子供組みは一塊にベットで寝かせる。
「いや、本当にありがとうございました・・・キサラギ殿」
ボードルさんが木製のコップに琥珀色の液体を注いでくれる。
「まぁ・・・やれてしまっただけなので、良かったですねケーナ元気になって」
「ええ、ええ本当に・・・私は・・・罰当たりかもしれんが神を恨み呪おうかと思うくらいでしたよ・・・世界がおかしくなってからも・・・いや、世界がおかしくなってからさらに苦しむケーナを見続けないといけなかった無力な自分・・・それでも町長としてこの町を守らないといけない・・・それなのに魔王はくるわ・・・ここが地獄かと」
黙って聞き、飲んでみる・・・うん・・・肝臓強化・・・うん・・・肝臓ってどこにあんの?
お酒って全部こんな感じなのかな・・・旨いけど・・・むう?
「魔王が攻撃してきた時は皆滅んでしまえ!と思ったところでキサラギ殿が全てなぎ払ってくれて・・・町の収穫護衛や調査への協力・・・そしてケーナへの治療・・・神はおらずとも、人は強いのですなぁ」
空になったので、ボトル・・・ビンじゃないな、陶器?から注ぐ・・・おっとと零しそうになった。
「ケーナが苦しんでいた理由はヤナギ様が治療していたからということでしたな・・・娘が死ぬ気で戦ってる時に私は・・・何を考えていたのか・・・恥ずかしい限りですよ」
むぅ・・・さっきとは違うのか、こっちのほうがヒリヒリしてて喉が痛い・・・あんまり好きじゃないなこれ・・・別の陶器から注ぎ足してみる。
「それにしてもキサラギ殿は凄まじい精神をお持ちだ。ただでさえ三人の少女を保護して面倒を見ているというのに、行きずりの町で魔王を倒し町を立て直すきっかけを与えてくださり、シリウス殿・・・リス族の方と渡りをつけ、護衛として雇ってしまうとは・・・お若いのに大したものをお持ちですな」
お?こっちは果実酒だったのか、割ったせいもあってか抜群に飲みやすい美味しい・・・さっきのはラム酒とかビールあたりだったのかな?泡が立たなかったから、ラム酒とかなのかな?いや、そもそもラム酒って何で作ってんの?果実酒もラム酒に果実つけて味付けしたものなのかな。
「魔王と戦い、シリウス殿と戦い・・・先日は巨人と戦って倒れしまったとのことですが・・・普通そんな目にあった者は自信を喪失したり、戦いを恐れて塞ぎ込んでしまうと思うのですよ。それなのにキサラギ殿は何度も立ち上がり、打ち破る。先日はサナダ殿が塞ぎこんでしまったのを献身的に付き添い、何とかしたとのこと・・・全く、大人顔負けですな」
ラムラム・・・ラム?そもそもコレ、ラム酒なの?別世界のものだし別のものかもな・・・アルランだしアル酒とかラン酒とか?いやいや、そんな安易な・・・デニス酒とかフリッツ酒とか?意外性を考えるとメリー酒?いや、俺は飲みたくないな逆に飲まれそう。
大体あの人妻はもう少し考えてほしいもんだね、旦那がいるのに男を誘うとか全く持ってけしからん、寝取られが嫌い?ゲームの中では楽しめるよ!でも、現実にあったら怖いだけだろ!ドロドロの火曜あたりでサスペンスかワイドショーだよ!そもそも何がワイドでショーだよ!ワールドワイドウェブか何かか!・・・オイ・・・おう!お前も飲むか?どうやって飲むんだ?俺だから俺が飲めばいいのか?・・・オチツケ・・・つまり俺が二倍飲めばお前も飲んだことになるのか?・・・チガウ・・・違うだと?何だ二倍じゃ足りないってか?ふっ舐められたものだな俺は肝臓強化は出来ないが、エネルギー補給の為か結構食べるぞ!・・・ダイジョウブカ?・・・大食いなら大飲みに違いない、つまりは問題ない、任せておけ!ところで肝臓ってどこにあるか知らない?・・・ダメダコリャ・・・む、陶器の中身がない。
「貴方のような方を英雄と呼ぶのでしょうな・・・人とは一緒のことをしていても、当たり前だと思ってしている行動全てが王道に通じ、人々を導いていく・・・私はそんな方と出会ってしまったのかもしれませんな・・・あぁいや、すみませぬな年寄りの愚痴に長々とつきあわせ・・・て・・・しま・・・え?」
今まで顔を伏せていたボードル氏はようやく顔をあげてテーブルの参上を見やる。
うん?如月達也?座ったまま据わった目で陶器を睨みつけている彼のことかな?
多分中身が無いことが不思議でしょうがないのだろうね?
彼からしたら飲んでいたら勝手に無くなった意味不明な現象として脳に流れているのだろう。
うん、彼の方が意味不明だね。
「ボードルさん」
「は、はい?どういたしましたキサラギ殿・・・というより、ここに置いたの全部お一人で飲んでしまわれたのか?」
「ボードルさん」
「は、はいいいいい!?」
おや・・・私でもちょっと反応してしまうような殺気・・・いやこれは不機嫌オーラ?が彼から滲み出て来ているね?あーあー陶器を逆さにしちゃってお行儀が悪い、もう君が飲んだだろう?
「中身がないんです」
「そ、それはキサラギ殿が飲まれたのですよね?」
「なんでですか?」
「え?」
「何で飲んだら無くなるんですか?」
「えええええ!?」
「飲んだら無くなるとか、そんな馬鹿な・・・ボードルさんもう酔ったんですか?そりゃケーナが元気になったからハメを外すのはいいですけど・・・俺の飲むやつくらいは残してくれてもいいじゃないですか」
「ええええええええええ!?」
おや・・・もしかしなくても彼にお酒はまずかったのかな・・・いや、誰にも愚痴を言わなかったからお酒を飲むことで開放されてしまったが正しいのかもしれないね。
おお・・・凄いね・・・これは私でもゾクゾクするレベルの威圧だよ。
―― バンッ! ――
「ちょっと何事!?って達也!?どうしたの!?」
悲鳴をあげながら美香が来たね・・・達也の様子に目を見張っているよ。
「ん~たつくん?何か凄い怒ってるけど・・・私何かしちゃった?」
目を擦りながら優奈も・・・志乃も起きて来たようだね。
「ん、たつ?・・・おさけくさい・・・これ全部・・・のんだの?」
珍しいことに志乃が目を見開いて驚いているね、お酒を飲むから先に寝ててと言われたから素直に寝てたけど、さすがにこれはねぇ。
達也とボードル氏が座ってテーブルの上にはお酒好きの名の通りなのか様々な陶器が置かれている、20はあるかな?大体それが地球でいうところの・・・1ℓサイズとはいえ、ボードル氏が飲んでいたのを差し引いても彼は19ℓくらいは飲んだことになるのかな?
おや・・・酔ってたせいか、飲んでない陶器もあったようだね・・・遠いから触れなかったんだろうけど見つけたようだ。
「む・・・なんだやっぱり飲んだら無くなるとか嘘だ、あるじゃん・・・」
「達也!もう駄目よ!それ以上・・・というより既に体を壊す量よ?」
美香が最初は高圧的だったけど、達也の様子を見て優しく諭すように説得を始めたね。
普通の飲んだくれに説得や説教が効くとは思えないけど、これは見物だね。
「む・・・美香か・・・起きたのか?すまん・・・うるさかったか?」
「いや、音じゃなくて・・・とんでもない気配出してたわよあなた・・・大丈夫?」
「というより聞いてくれ、ボードルさんがおかしなことを言うんだ」
「はぁ・・・うん、どうしたの?」
「俺が飲んだからお酒が無くなったらしいんだ、何で飲んだら無くなるんだよ?おかしいだろ?」
「そうね、おかしいわね・・・達也疲れてるなら寝ましょう?お酒だって疲れて無くなったのよ」
「む・・・一理あるな・・・そうか、お前らも疲れてたのか・・・すまんな、そりゃ無くなるわ」
なぜか、中身が入っていた陶器を置いて空の陶器に向って話しかけ始めたよ・・・美香の説得?も聞こえてるところが恐ろしいね。
「た、たつくん?一杯ごめんなさいするから寝よ?いい子にするから・・・あうあう、ご、ごめんね?たつくんも頑張ってるよ!」
うむ、優奈も何かおかしいことに気づいてはいるけど、宥め方がわからないのだろう・・・まぁ君はいるだけで一種の清涼剤になってるから下手な慰めをする必要はないと思うよ?
「む・・・優奈はいい子だろ・・・何で謝ってんだ?頑張るって俺は別に頑張ってないし・・・酒も頑張れよ?生きてればいいことあるぞ?」
達也は目が据わってるだけで酔ってるとは見た目では判断し辛いのだね・・・真面目な顔で真面目に陶器を励ましているよ。
「たつ・・・?ん・・・とりあえずお水飲んで・・・ん!」
「志乃?何だこれ、あぁおかわりか、ほれお前も飲め俺も飲む・・・おや美味しいなこの酒、何て酒だろ」
ついに味覚がおかしくなってるよ、それに陶器に水を注いだよ!?
「ん、たつとりあえずねよう・・・あるける?」
優奈と美香が手を掴んで立たせたね・・・恐ろしいことに足元がしっかりしてるよ・・・戦うこともできそうだね。
「寝るのか・・・まぁ子供は寝てないといけないしな」
「そうね・・・私たち子供だから達也がいないと眠れないのよ・・・一緒に眠ってくれる?」
「たつくんの腕ないと寝付けないよ?」
「ん・・・お腹温めないといけない」
4人連れ立ってケーナの部屋に消えていったね・・・ボードル氏は固まって一連の流れを見てるだけだったね、役立たずだね?全く、自分は愚痴るだけ愚痴って若者を放置とか大人の風上にも置けない人だね?
【ん、おねがいがある】
・・・どうやったんだい?
【異空間で意識を繋げた】
・・・マジでかい
【多分貴方しか無理】
・・・そうだね、僕以外に使うと最悪頭吹き飛ぶよ・・・まぁ達也君なら・・・いや、無理だろうから使っちゃだめだよ?
【ん、貴方しか無理・・・だと思う】
むしろ君の頭が持ってるのが不思議だよ・・・
【それで、お願いがある】
・・・なにかな?
【たつのお酒抜いて】
・・・体から酒精を抜けばいいのかな?
【しゅせ?よくわかんないけど、抜いてくださいお願いします】
はぁ・・・わかったよ私も見てただけだしね、手を出すわけにはいかなかったけど結構面白いものが見れた御代は払おう。
【ありがとうございます】
・・・志乃は私の正体に気づいてしまったのかな?
【・・・正体?ストーカーのこと?】
いや、何でもないよ・・・とりあえずわかったよ、達也はどうしてるんだい?
【寝てる・・・たつ疲れてた?】
何ともいえないね・・・まぁ愚痴も言わないからね彼は
【わたしたち・・・じゃまになっ・・・ん・・・いい、こっちで何とかする】
それがいい、彼もそれが望みだろう。まぁ弱みを見せるかは知らないけど
【男は頑固】
君も大概でしょう?
【・・・否定はしない】
それじゃ、私はそろそろ去るよ?
【ん、お酒抜くのは?】
もうしたよ、朝には・・・まぁ軽い頭痛くらいで済ませられるし彼の体ならすぐに回復するさ
【わかった、ありがとうございました、手寅さん】
どういたしまして、ではまたね。
いやいやまさかリンクを繋げられるというか、気づかれるとは・・・凄いな彼等は・・・俄然興味がわいたよ!それに・・・あそこには違反者がいるようだし、これからも楽しみだなぁ。
俺は一口で顔が真っ赤になってたつくんみたいになります、意識はハッキリしてますが、気持ち悪くなるだけです。
お酒飲めるようにはなりたいけど、まぁいいか。




