幼女と得体の知れないモノ
自分暑いと頻繁に既視感を覚えるんですが・・・これ書いてる時も妄想しながらこれどっかで見たような・・・という自分との戦いが凄かった。
大丈夫だよね?誰かのパクってたりしないよね!?
「それで達也?武器はそれでいいとして、防具はどうするの?」
志乃の異次元ボックスに黒塊を仕舞ったところで、美香に言われて思い出す。
「防具で思ったんだけど、俺防具つけても意味がないというか・・・すぐ壊れそうだよな」
戦闘でも破けるし能力変化で肥大化する度に服を破るもんだから、最近じゃ戦闘があることがわかっている場合Tシャツと短パンだしな、さすがに寒いから長いコートとか着てるけど、変態っぽい格好になるから好きじゃない。
とはいっても服は無限にあるわけじゃないしなぁ。
「あーなんか破けても復活する服とか防具ありません?」
「だから摩訶不思議なもんはないっていってんだろうが!」
「俺達からしたら硬鉄も結構摩訶不思議なんですが、まぁありませんよね」
「トムおじい、服を見せる幻とかない?」
「おいまて!どこの裸の王様にするきだ!?」
え~?だめかなーとか言ってるが恐ろしいことを考えやがる。
ゲームみたいにアバター(仮の姿)があるならともかく、そう都合よくはいかんか。
「じゃぁ達也は今まで通り外に出るときはあの格好ってことなのね・・・」
「微妙に嬉しそうだな美香?」
「そ、そんなことはないわよ?」
なんだこいつは、変態か?頼むから真っ直ぐ育ってくれよ。
「ふーむ・・・戦闘の度に壊れてたんじゃ確かにな・・・それに魔物相手に通常の防具は・・・お、そうだ!フリッツ!あの熊とかの毛皮でこいつらの防具作ってもいいんじゃねえか?」
「あぁ、そうでした。それも伝え忘れてました」
フリッツさん曰く肉はともかく魔物の素材は好きに使ってくれとのこと。
そういえば
「志乃あの腕出してくれるか?」
「ん、とってくる・・・優奈手伝って」
「はいよ~」
「あの腕ってなんだタツヤ?」
「見ればわか・・・らないか」
はぁ?とトムスさんが言うが、トムスさんはあの場にいなかったから知るよしもなかったわ。
異次元ボックスから二人が箱を持ちながら出てきた。
「ってかなんだこの黒い部屋?は・・・ぬ、閉じた」
「とむじい危ないから入り口でのぞきこんじゃだめ」
「む?そうなのか?」
「・・・しんじゃう」
「な、なんと」
異次元ボックスは生物が入っていたら閉まらない筈だけど、まぁいいか。
二人に礼を言い箱を開ける。
「な、なんじゃこれは腕?」
「昨日、俺と志乃で撃退したやつです」
「どちらかというと志乃ちゃんが追い払った感じだよね」
「ん、ゆうなそういうのはいっちゃだめ」
「そうなの?」
「そう、たつがおちこむ」
そういうのも言って欲しくないんですけどねぇ!
シリウスが回収してたので今朝になって異次元ボックスに入れたが・・・人型だとさすがに食べる気が起きないしな。
とはいっても、赤い線が入った状態のまま・・・まだ生きてる気がするんだよなこれ。
何か波うってるし。
「・・・おいタツヤ、これ動いてないか?」
「そうなんですよ、動くんですこれ」
「で?これをわしにどうしろと?」
「素材・・・になりません?」
「なるか!どうしろってんじゃ!」
「ですよねぇ」
箱に戻し異次元ボックスを再度あけてもらいしまう。
「ん、たつほぞんするの?」
「何となく力があるような気がするんだよな」
「?・・・わかんないけどわかったおいとく」
「うん、気味悪いかもしれんけどお願いな」
礼をいい頭を撫でながら考える、というか動いていてもしまえるってことは生きてはいないのか?
「ふぅ、妙なもんを見せられたわい・・・どうするんじゃ?毛皮から作るか?」
「うーん・・・人数分の上から羽織るモノ作ってもらえます?」
「それはかまわんが・・・防具はいいのか?」
「まぁ、とりあえずは黒塊があればいいです」
「そうか、まぁ思いついたら遠慮なくいってよいぞ」
「ありがとうございます、これ大切に使います」
「ばっきゃろう武器なんだから荒く使ってなんぼだ!手入れをすればそれでいい」
「わかりました」
最後だけ期待通りなので思わず笑みを浮かべて礼をいう。
「さて、それじゃどうしようか」
「嬢ちゃん達の武器はええのか?」
「ん・・・いや、いりませんナイフとかはともかく怪我しそうですし」
「まぁノザキの嬢ちゃんがぎりぎり扱えるかもしれんといったとこじゃしの」
ある種一点突破力でいえば一番火力があるのは志乃ですけどね。
「というか、女性用の武器とかあるんですか?」
「ん?エストックとかダガーはまぁ女でも扱えるな」
「ん~一応三人分頂けたりしません?」
「ほう?さっきと言ってることが違うぞ?」
「いや、俺の世界でも護身術とかありましたし、今使えなくても訓練くらいはしてもいいかなと」
「ふむ、まぁ刃物に慣れておくのは悪くないがな・・・いざとなったときの気構えが違うからな」
そういってエストックと呼ばれる剣を3本とダガーも3本渡してくれる。
「ありがとうございます、志乃あけてくれるか?」
「ん、あけた」
「それとこれは俺の許可なしに持ち出すなよお前ら」
「はーい」
「そうね、わかったわ」
「ん、私がわたさない」
「それもそうか、志乃は触らないようにな?手切れるぞ」
「ん、たつがおこるからさわらない」
俺が怒るからじゃなくて危ないからなんだけど、そっちのほうが志乃にはわかりやすいか。
ちなみにエナはさすがに私もとは言わなかったので、頭を撫でてやったら嬉しそうだった。
「これでトムスさんへのお願いは終わりかな」
「タツヤ・・・報酬だからお願いはおかしいだろう」
確かに報酬というなら、踏ん反り返った方がいいかもしれんが俺の趣味じゃない。
「毛皮の方は数日中にやっておく・・・お前らいつまでこの町に滞在出来るんじゃ?」
「とりあえずは調査に参加しますし・・・冬が厳しいようなら明けるまではお世話になると思います」
「ふん、お世話されてるのはどちらかわかったもんじゃないがな」
フリッツさんを見ながら苦笑するトムスさん、対照的にフリッツはさん無表情だ・・・いや、口元がひきつってるな。
「そんじゃ、トムスさん俺はこれから町長のところに行こうと思うんで」
「へ?そうなのたつくん?」
「ん?あぁ調査についてだな・・・フリッツさんはそれもあって来てくれたんじゃないかな」
「あぁそうだ」
そうだったんだという優奈を見つつ四人娘に声をかける。
「ん~お前らどうする?ここに興味あるなら見学してるか?・・・邪魔はしないようにだけどな」
あ、でも置いていくのはまだ心配だな・・・
「へ?ついてくよ?」
「ん、いくならいく」
志乃と優奈は離れる気がないらしい、美香はどうする?
「達也の懸念はまだ解消されてないんだから、別行動はしないわよ」
「確かにこの状態で別行動しても集中できそうもないな」
最後はエナだけど・・・
「じゃぁ次は町長さんとこだね!あれ?でもお家にいるかな?」
「キサラギの安否を確認して連れて来れそうならと頼んだのは町長だからな、いるだろう」
それじゃ行くか、トムスさんにお礼を言って町長さん宅へ向おう。
「うむ、お主は一人しかおらんのじゃから・・・無理はするんじゃないぞ、まぁこの町に頼れる大人はいないけどな、わっはっは」
それは・・・励ましなの自虐なの?苦笑しつつ両手を塞がれつつ歩き出す。
「町長さ~ん!おに~ちゃんきたよ~」
ドンッドン!エナ・・・ノックはもっと控えめに。
「おう?エナか、どうした?」
「どうしたじゃないよ!おに~ちゃん呼んだの町長さんじゃないの?」
「む?おぉキサラギ殿来てくださったか、お体は大丈夫なのかの?」
「えぇまぁ・・・惰眠貪ってただけです」
町長に通されて居間へ、奥さんがお茶を配ってくれて下がっていき・・・おや?
柱の影からこちらを見てる子供がいるな。
「む?ケーナ?寝てないとだめだろう?」
ボードルさんがその子に声をかける。
何やら俺達・・・志乃か?をじっと見てるような。
志乃が視線に気づいたのか、近づいていく。
慎重は志乃のほうが高いのか少し屈み視線を合わせて自分を指差しながら。
「ん・・・志乃」
それは・・・自己紹介でいいのか?
ケーナと呼ばれた子は柱から出てくるとなぜか俺と志乃を交互に見はじめた。
「けーなはけーな」
「ん、たつにきょうみある?」
「だえ?」
志乃がケーナちゃん?の手を掴んでこちらにつれてきた。
ケーナちゃんは抵抗もせずにこちらに来た。
志乃が俺の手をとったので二人の視線に合わせる為に屈む。
「・・・だえ?」
「俺は達也だけど、君の名前は?」
「けーなはけーな」
「ケーナか、よろしくケーナ」
「ん、たつあ」
どうも気だるい感じがする子だな・・・ボードルさんの言ってたことを思い出す。
「ケーナは寝てなくていいの?」
「たつあはねる?」
「いや、俺はおとうさんとお話あるからここにいるけど、志乃と寝てる?」
手を繋いだままの志乃を見るが、すぐにこちらに向き直る。
「や、たつあといる」
何か一瞬で懐かれたんだが・・・どうすればいいんだボードルさんを見ると何か驚いてるんだが。
訝しげな俺の視線に気づいたのか、ボードルさんが真面目な顔になった。
「これ、ケーナ寝てないとだめだろう?それにキサラギ殿の手を煩わせてはいけない」
「たつ、わずらわ?なに?」
「煩わせるな、邪魔しちゃいけないとかそんな感じ」
「ん、ケーナは別にたつのじゃましない、いるだけ」
「そ、そうはいうがのサナダ殿・・・ケーナは体が弱くての起き上がるのも困難・・・む?」
起き上がるのが困難な子がベットから出て俺達と会話していることに気づいたのか、ボードルさんが目を見開いた。
「ケ、ケーナ?体は痛くないのか?」
「ぱぱ・・・?いたくないお」
「おおおおお?マーサマーサ!」
「どうしたんですか?あなた?あらケーナ・・・?」
「まま」
3人で抱きしめあうのはいいんですが・・・状況がさっぱりわからない。
そういや、フリッツさんついてきてたよな・・・だめだフリッツさんまで固まってる。
あぁまだ地球人以外いたわ。
「エナ?ケーナは体が弱かったのか?」
「弱いも何も・・・起きて歩いてるの初めてみたよ・・・何度かお部屋に遊びにいったことはあるけど」
「そうなのか・・・それは世界が変わった後でもか?」
「おに~ちゃんが来る前に1度見に行ったときも辛そうだったよ」
つまり俺たちが要因と考えられる可能性もあるけど、薬の提供もしてないのにさすがに自意識過剰だな。
とりあえずまぁ、水を差すのも悪いし俺達は落ち着くまで待とう。
志乃は巻き込まれてケーナと一緒に揉みくちゃにされてるけどな。
視線で「たつ・・・たすけて」と言ってるようにみえるが・・・耐えろ「ひどい」後で何かしてやるから「ぜったい」はい。
「たつくん何かしたの?」
「さすがに達也が何かしたとは考えられないわよ優奈」
「そうだな・・・何かも何もケーナとは初めて会ったからな」
「そっか~、そうだよね」
「フリッツさんは何か知らないのですか?」
「いや、ノザキ・・・私も驚いているんだ、ケーナは薬師の婆様も延命も厳しいと匙を投げていたのだが」
延命も厳しいって・・・ますます意味わからん。
落ち着いたのか、ボードルさんがようやくケーナを離した、解放された途端、志乃はこちらに来たケーナも一緒に。
ん!と催促されたので膝に乗せて機嫌をとる・・・ん?
「たつあ、けーなも」
「お父・・・いや、パパの方がいいんじゃないか?」
「やー!たつあ、けーなも!」
わかったわかった志乃と並べて膝に乗せる。
そこでボードルさんが椅子に座りどこか羨ましそうな視線で・・・返しましょうか?
「いや、ケーナの好きなようにさせてくれんか?」
「俺は構いませんが」
膝に座ったケーナは左横にいた優奈に興味を持ったのか、優奈の服を掴んで見つめている。
「だえ?」
「優奈だよ?あなたはだ~れ?」
「けーな」
「ほほう、ケーナちゃんなのか、何歳なのかな?」
「・・・けーななんさい?」
「え?えーとお姉ちゃんに聞かれてもなぁ」
優奈がボードルさんに目を向ける。
「今年で6歳になります」
「ケーナちゃん、やっぱりお姉ちゃん知ってたよ」
「けーななんさい?」
「ケーナちゃんは何と!」
「なんと?」
「6歳です!わー!」
「わー」
案外小さな子の扱いうまいな・・・いや精神年齢が一緒?俺も懐かれてるってことは同じか。
優奈とケーナがこちらを・・・頬を膨らませて見てきた。
「・・・なんだよ二人とも」
「たつくんすっごい失礼なこと考えてたでしょ!?」
「たつあぶー!」
「ん、けーな仕方ないたつはいじわる」
「たつあいじある?」
「そう、いじわる・・・でもやさしいから大丈夫」
「だいおうぶ・・・だいおうぶ!」
あぁはいはい・・・今は真面目な話をさせて欲しいのですが、逡巡する俺の右から手が伸びてきてケーナを浚っていった。
「おー?だえ?」
「こんにちわ、私は美香お姉ちゃんよ?よろしくねケーナちゃん」
「あい、けーな!」
「ちょっとお兄ちゃん、パパとお話あるからお姉ちゃんとお話しましょう?」
「やー!たつあ!」
「むむ・・・今お姉ちゃんとお話すると後でお兄ちゃんがケーナちゃんと一杯遊んでくれるよ?」
「いっぱい?」
「今お兄ちゃんと遊ぶと、少ししか遊べません。ケーナちゃんが今遊びたいならしょうがないなぁ?」
「や!おねえちゃんとおはあし!」
「ふふふ、ありがとう」
ケーナは任せて良さそうだ、後が怖いが・・・何すればいいんだよママゴト?
ようやく場が落ち着いたのでボードルさんに目を向ける。
「ははは、ケーナが懐いているようでなによりです」
「いや・・・いいのですが、まぁケーナちゃんに関しては後で聞きます」
「うむ・・・調査団についてですな?」
「ええ、何時やるか決まりました?」
「それがのう、人数集めに難航していての」
「は?・・・あ、失礼人数は揃っていたと聞いたような」
「それがの・・・」
曰く、護衛任務で連れ帰ってきた獲物の大きさを見てほとんどが尻込みをしたとのこと。
それに、シリウス達が何かやらかしたらしい。
「まぁこちらが悪いのじゃが・・・シリウス殿達に喧嘩を売った馬鹿者が・・・いっぱいおっての」
「・・・それはまた何で」
「キサラギ殿よりは弱いとふんだのでしょう、護衛はキサラギ殿とシリウス殿達が主導と聞きましたからな、それでリスが出来るなら俺達のほうがもっと成果を出せると息巻いたらしく・・・まだ、シリウス殿に喧嘩を売ったなら穏便にすんだかもしれませんが・・・護衛に加わってなかったリス族の方に喧嘩を売ったらしくて」
あれでシリウスはリス達の中で常識があったようだ、喧嘩を売られた留守番組、とは言っても俺が町の護衛足りえると判断したやつらだったからな・・・活躍の場がないことに鬱憤が溜まっていたのか、それはもう酷い有様だったらしく、シリウスが鍛冶屋について来なかったのはそれの調停・・・という名の説教に出ているらしい。
フリッツさんを見れば、護衛中は知らなかったが昨日帰ってきて聞かされて頭を抱えたらしい、今朝早くも馬鹿を見に行っていたらしい。
幸いといっていいのか、リス達は何かしらの武道をしているのか、命に別状はないらしい、むしろ心を極限まで叩き折られていたとのこと・・・何したんだあいつら。
まぁ、町側に同情はしない・・・というか正直呆れている。
そんな俺の感情を読み取ったかボードルさんが頭を下げてきた。
「すまぬ、正直なところこの町の現状をきちんと理解できてるものが少なすぎるのだ」
「それは、まぁ・・・町長さんの責任ですよね?」
少し辛らつかも知れないけど、俺はいいけどルッド宅には恩義はある。
それに、一応仲間と認めたシリウス達に喧嘩売るとか俺に殺されたいのか?
膝の上の志乃が怒りに反応したのか見上げて顔を両手で挟んできた。
「たつあおこった?」
「ん、たつ・・・おちつく」
「たつくんたまに凄いの感じるよ?怖くは無いのが不思議」
「何か殺気をコントロール出来てきてない?色んな意味で大丈夫達也?」
殺気を飛ばすってのはこうすんのか・・・いや、まだよくわからないけど。
「お怒りはもっともです!次の会議でも呼びかけでも徹底していきますので、お、おゆるしを・・・」
まだ怒りは治まってないのか、ボードルさんが震えている。
自分の父が謝ってるのを見て何を思ったのか美香の手を振りほどき俺に向ってケーナが跳んできた。
「たつあ、ぱぱいじめちゃやー」
「・・・ごめんごめん、もぅいじめないから許してくれ」
「ほんと?」
「ほんとほんと」
抱きとめつつ宥める、子供には勝てる気がしない・・・志乃のせいな気がする。
「ん、しつれい」
何も考えてないから読まないでくれ!
「そ、それでですな・・・調査団のほうなんですが」
「あーそうですね、どうしますか?とりあえずフリッツさんとケイ・・・オルトとレイクは正直いりませんが入れたとして他は・・・」
フリッツさんも口を挟む。
「後はカームとウォルだな・・・カームはルッドの弟子で森では頼りになる、ウォルも問題ない」
ルッドさんの?じゃぁ森の狩人の能力持ってそうだな・・・あ、そうだ。
「シリウスも連れていけばいいか」
「シリウス殿もですか?」
「ええ、強さでいえば俺の次には戦えますし俺の言うことは聞くので問題ないかと」
「なるほど、問題ないのか?フリッツ?」
「そうですね・・・強さでいっても察知能力でいってもキサラギ以外は誰も勝てませんし、いいのではないかと」
「決まりですね」
とりあえず人数はこんなもんでいいだろ、正直護衛の状態を知ると15人もいても邪魔なだけだ。
「それじゃ、もう少しシリウス達が町に慣れたら調査に行きますかね」
「そうですな、そのようにしましょう」
「わかった、ところでリーダーはキサラギでいいのか?」
「ん・・・いや、フリッツさんがいいと思います、強さとかじゃなくて俺たちは森に入った経験が少ないですから・・・単純に俺じゃ格好がつかないのもありますし」
「そうか?そうでもないと思うがまぁわかった・・・そういえばお前の優先はサカグチ達だったな」
「ええ、いざとなったらそっちは守れませんので先に了承をお願いします」
「あぁそれでいい、とにかく町長・・・そういうことだ」
「わかりました、ではお疲れ様ですキサラギ殿、フリッツ」
「はい」「ああ」
よし・・・じゃぁ後はケーナのことか。
フリッツさんは用事があるといって出て行ったが、俺は捕まった・・・ケーナに。
「たつああそぶ?」
「あぁうん、約束したしね・・・何するの?いや、そもそも起きてて平気なの?」
「たつああそぶ!」
「・・・お、おう?」
手を引かれ部屋に連れていかれる・・・逆の手は志乃が握っており志乃はエナを握っているのでまとめて運ばれる。
優奈も美香もケーナの部屋に入る。
まぁ・・・何もないわな、子供用にしては大きいベットだけだ、机もないってことは本当に何も出来なかったんだろうな。
「ケーナは生まれつき体が弱くてね・・・立ち上がれなくなってからはずっとベットで過ごしていたんですよ」
ボードルさんがそう零す。
「何の病気だったんですか?」
「それが原因不明での・・・薬師様も手を尽くしてくれたのじゃが、一向に改善しないし日に日に弱まっていくケーナを見ているしかなくてね」
「それが、今日いきなり立ち上がって元気一杯になっていたと・・・?」
「そうなのですよ・・・奇跡としか思えなくて」
つまり、どういうこと?思案にくれる俺の手が思いっきり引っ張られてベットに倒れこむはめになった。
「ぬお・・・いきなり何だケーナ?」
「たつあ!ぱぱとじゃなくてけーなと!」
「はい・・・遊びますので怒るなよ・・・怒った顔のほうが可愛いってのも不思議だが」
「・・・けーなかわいい?」
「可愛いよ」
「えへへ」
くねくねしはじめた・・・5つの視線が俺に集まる。
「たつくん・・・まさかロリ・・・」
「達也?小さい子は駄目よ?犯罪よ?お、大きい子ならいいわよ?わ・・わ・・わた・・・」
「ん、たつはむせっそう・・・すけこまし?」
「おに~ちゃんは女の子ハンターなの?狩人なの?」
「キサラギ殿・・・ケーナに何をするおつもりですか?」
前にもあったなぁ・・・現実逃避気味にケーナを見つめる・・・ん?
「たつあ・・・た・・・う・・・」
パタリッと電池が切れたかのようにケーナがベットに倒れる。
体に触れると冷たい・・・うん?これまずい?
「ケ、ケーナ!?」
慌ててボードルさんが駆け寄って抱き起こそうとするが手で制し・・・様子を見続ける。
脈は・・・まぁ普通にあるし・・・呼吸は、ちょっと苦しそうなんだが・・・何か・・・うん?
何かに声をかけられてる気がする。
「たつくん?」
「達也?」
「たつ?」
「おに~ちゃん?」
「キ、キサラギ殿?」
ん~?”右腕変化 白”こうすればいいのか?―ソウ、ソレヲムネニ―
とりあえず上着のボタンをとり脱がして小さな胸に直接右手を当てる。
「たつくん!?本当にロリコンなの!?鬼畜なの!?」
「達也!?捕まるわよ!?」
「ん、たつ・・・たつ?」
「おおお、お、おお、おおおに~ちゃん!?私のなら触っていいからケーナちゃんは離してあげて!?」
「ふむ・・・キサラギ殿?いったい何を・・・」
何か信じてくれてるのが2名しかいない現実に泣きそうです。
当てた右の手を通してケーナの鼓動を感じ取る―ソノママ、チカラヲ、クダサイ―くださいって言われてもな・・・自分にしか使ったことないし―コノコヲ、タスケル、イメージ―助ける・・・何から?病魔?いや、元気になってほしいという願い?
「ぬ・・・?ぐ・・・」
急激に何かが吸われていく感覚が・・・これは俺が右脚の怪我を治療したときと同じ感じで吸われていく・・・かん・・・じ・・・―ガンバッテ―・・・ぐ・・・ああ・・・・あ・・・・あ・・・―モウイイヨ、アリガトウ―その言葉を聞いて右腕の変化をとき、ベットに手を突いて・・・いや倒れこむ。
横に寝ているケーナの様子は落ち着いていて体温も戻ったようだ。
ボードルさんが改めて抱き上げてケーナの様子を確認している。
「ただ寝てるようですな・・・キサラギ殿いったいなにが?」
「うーん、町長さん!」
「何ですかなサカグチ殿」
「今たつくんがしたの内緒ね!」
「そうね・・・町長さん悪いんだけど今達也がしたこと達也の変化は口外しないでもらえるかしら?口止め料はケーナちゃんの治療ね」
「治療というとさっきのは・・・」
「ん、ひみつ・・・エナも」
「うん、わかったよ!おに~ちゃんの秘密だね」
「・・・わかりました、こちらは助けて頂いた身、誰にも話しませぬ」
そんな会話を聞きつつ・・・寝ようかなと思うとボードルさんが隣にケーナを寝かせた。
「お疲れのようですし、このままお休みになられますか?」
「いや・・・おき・・・は?」
何とか起き上がろうと体に力を込めようとする前に見た光景に目が点になった。
ケーナから何か出てきた。
白いモヤモヤとしたものが空中で形をなし・・・ひとつの輪郭を作り出す。
『お初にお目にかかるタツヤ様、主のお父上どの』
そいつは形が歪でわかりにくいものの・・・多分・・・蛇?
『そうですね、蛇でいいかもしれません』
少しひっかかるが・・・だめだ少し寝かせてくれ。
『畏まりました、この場は私に任せて主共々体をお休めください』
最後に志乃が隣に寝そべる気配を感じ・・・俺の意識は落ちた。
「ねえ君?」
・・・何ですかまた、たつくんが何か?
「いやね?やたら小さい子が多いけどもしかして・・」
・・・違う!たつくんがロリコンなんだ俺じゃない!




