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レベル3

割と気に入ってるお話。

 気配はあっても10mほどもある巨体で地響きを感じさせず来たってことは、忍び足をする程度の頭はあるってことだろ?

 頭はあるんだが、目とか鼻やら口といった顔に必要なパーツが見当たらないんだが・・・。

 見上げる俺の目の前で胴体から切れ目が入り始めた。

 いや、切れ目じゃなくてあれは口かよ・・・ってなるほど顔は胴体にあるタイプか・・・頭っぽい突起はなんなの?

 目はどこについてるのかと思えば両肩についてた・・・なんかもう見てるだけで気持ち悪くなる造形だな、福笑いを失敗して胴体に顔のパーツをメチャクチャにつけてみました!な感じだ。

 巨人型は丘を回りこむようにこちらに来ているようで、視線はずっと俺達人間の方に向けているようだ。

 達といったのは、両肩とお腹にも出てきた計3つの目が忙しくなく人間を確認してるからだ。

 どうやら馬車には興味がないらしい。

 つまりこいつの主食は肉なんだろうな、と言ったからってリス組みを差し出すわけにもいけない。


 鳥型を確認するが、高度は下げたが馬車の守りを厚くしたせいか手を出しかねているようだな。

 鳥型は馬車が狙い、巨人型は人・・・つまり肉が狙いか。

 最優先は巨人型でいいな。


 回りこんできた巨人型と相対する。

 見た目のきもさに目を瞑りつつ、全体を観察する。

 体に鱗とか装甲みたいなものがないな、血管と筋肉がむき出しだ。

 いや、これって皮さえないってことか?脈動が地味に強化されてる視力によって鮮明に見えて尚更不気味だ。

 巨人型は3つの目で俺を注視している、ふと頭の部分が盛り上がり大きくなっていく。


「おいおいおいおい」


”思考加速””反応強化””腕力強化””脚力強化””身体頑強””気配察知”


 出来上がった3つ目の腕をしゃがみながら俺に振り下ろしてきた。


―― ズドンッ ――


 避けるのはさほど苦労しないけど、その腕使いにくくないのお前?


「クケケケケケ」


 鳴き声それ!?見た目と行動と鳴き声のギャップが凄いなこいつ。

 と今度は両腕で俺を掴もうと前かがみのまま倒れ掛かって・・・俺の方に体全体で倒れてきたので、前方に走り股を抜ける。


―― ドダンッ ――


 な、何がしたいんだ?

 巨人型はうつ伏せに倒れるとジタバタしはじめたって・・・こいつ背中も表と同じような顔があるのかよ。

 これは子供が見たらトラウマものじゃねえのか。

 背中側で俺の位置を確認したのか、むくりと起き上がる・・・え?その腰180度曲がるの?

 観察レポート書くだけで一日が終わりそうな謎生物だなこいつ。


 とりあえず・・・攻撃して効くか試すか。

 とはいったものの・・・あの高さだと跳んで攻撃するしかないし、何か投げるか。

 とりあえず傍に落ちている子供の頭ほどの石を掴んで投げつけてみる。

 

「クケケケケケ」


 パシッと器用に頭の腕で受け止められた。

 受け止めた石を目の前に持っていって、食い入るように見ている。

 いちいち行動が謎だなこの怪物は。

 一通り眺め終えたのか、俺に投げ返してきやがった!


「うおおおお!?」


 咄嗟に避ける、地面に着弾した元石は粉々になってクレーターとたくさんの小石に変わってる。

 と、飛び道具はまずいみたいだな。

 なんだこいつメチャクチャ戦いづらい!

 いや待てよ?もしかして人間に興味がある友好的な怪物なのかも、シリウス達の件を思い浮かべる。


 こちらからは何もせず歩み寄ってみる。

 巨人型は俺が近くにくるのを尻を地面につけたまま見ている。

 だいたい巨人型の手が届く範囲まできたが、何かしてくる様子もなく只黙ってこちらを見ている。


「もしかしてお前言葉わかる?」

「クケケケケケ」


 いや、聞いたはいいがわからん・・・ルッドさんを呼ぼうかなと考え馬車の方を見た瞬間に凄まじい圧を感じ全力で後ろに跳ぶ。

 跳びながら俺がみたのは両腕を組み合わせハンマーのように打ち下ろした巨人型の姿だ。

 結局は敵対関係にあるらしい。


 まぁそっちの方が”左腕変化 黒”シンプルで俺はいいけどさ。


「クケケケケ?」


 俺の左腕の変化に驚いたのか、左腕を注視する怪物に肥大化を重視した左腕で殴りかかる。

 巨人型はそれを左腕一本で受け止めようとするが。


「クケケケケケケ!?」


 大きく弾かれた。

 え?弾いただけ?あんな脆そうな腕で?

 俺の感触も殴りつけた感触は残っているものの、いつもの粉砕したような感触が無い。

 それでも反動だけはあったのか左腕につられるように上体も地面に倒れた。


「クケケケ!クケケケケケ!」


 何が楽しいのか声を上げながらジタバタしている。


「や、やりにくい」


 馬車の鳥対処はどうなってるのかと見ると、シリウス指揮の元まさに今落とされようとしていた。

 あっちは特に問題がなさそうだ、つまり憂いはこいつだけになったんだが。


 一通りジタバタして満足したのか口に両手を入れて・・・え、それはなに?指を咥えてる風なの?

 口の中で両手をモゴモゴさせながら俺を見ている。

 両手を出した時には噛み跡で痛々しいことになっていたが、その両手には歯だと思われる白い尖ったものが握られていた。

 どこの歯だよと思うくらい長く尖っている歯を振り回しながら立ち上がり、俺に突撃してくる。


 避けるのは問題ないんだよ、高さもあって振り下ろしかなぎ払いしかないから巨人の足元入って避ければ余裕だし、むしろ足の踏みつけの方に注意が必要なくらいだ。


「クケケケケ!」


 両手の歯の無意味さに気づいたのか地面に突き立て、足元にいる俺に向って口から何か・・・ぎゃあああああああああ!?


「ぎゃあああああ!?」


 慌てて”脚力強化””脚力強化””思考加速””反応強化”逃げる。

 口から唾液だとは思うが液体を垂らしてきやがった!

 巨人型の足元に垂れた唾液は特に何かを溶かした様子もなく地面を濡らしていく。

 と、いなくなった俺にようやく気づいたのか前と後ろ計6つの目で俺を探している。

 ようやく、見つけた時には足元は唾液まみれ・・・あ、待てその状態でこちらに来ると。


 ツルンッと効果音が出そうなほど見事に滑り・・・


―― ビターンッ ――


 打ち上げられた魚介類のような音を立ててまた倒れた。

 もうやだこいつ、俺はどうすればいいの?


「クケケケケケケケケ」


 仰向け・・・いや、どっちがうつ伏せになるかわからないけど、倒れたまま何かを考えてるのか動きが止まった。

 ・・・マズイ・・・あん?・・・ハヤクコロス・・・珍しくお前主導で会話しはじめたな?・・・ハヤク・・・

 何を焦ってんだ俺の封印されし・・・やめよう死にたくなる。


「クケケケ!ムシャムシャ・・・ムグムグ・・・クチャクチャ」


 食べ物を食べるときは口を閉めましょう・・・何を食べ始めたんだ?あい・・つ・・・は・・・


 自分で自分を食べ始めてる巨人型。

 手始めに無駄に長い足を膝から口に突っ込んでいき・・・頭の腕と両腕も口に持っていった。


「クチャクチャ・・・モグモグ・・・クケケ・・・グチャグチャ・・・クケケ」


 突起物を全部食い尽くした巨人型は何を思ったか・・・口を大きくあけて、まるで袋を裏返すかのように自分を丸ごとむしゃりむしゃりと・・・え?なに消えるのこいつ?

 いや・・・口の当たる部分だけが残って・・・何か生えてきた。

 泡みたいなものが両腕両足の部分にブクブクと湧き上がってきて手足を形成していく。

 頭にも泡が沸き立ち顔も形成された。


「クケケケ・・ケケケ?クケケケケケ!」


 さっきと比べると随分スリムになったな・・・大体5分の1・・・2m程になった。

 って、妙な変身してる間に攻撃すれば良かった・・・マッタクダ・・・巨人型もとい何だろう?普通の人型は自分の身体の調子を確かめるように手を開いたり頭を触ったりしている。

 

「クケケ!クケケケケ!」


 ひとしきり確認し終えたのか、俺を見て両腕をあげて・・・ほら見ろとばかりに披露してくる・・・なんなんだ!?


「お前いったい何なの?」

「クケケ?」

「殺し合いをしたいんじゃないなら、帰ってくれないかな・・・俺はもう疲れたよ」

「クケケ!クケケケケ!」


 こちらの戦意低下を嗅ぎ取ったのかわからないけど、飛び掛ってきやがった。


 まじで”思考加速””反応強化””腕力強化””脚力強化””身体頑強””気配察知”意味わからん。


 人型の両腕をしゃがんでかわし、前のめりの人型の頭を左で跳びつつアッパー、顎と上体が仰け反ったところを前蹴りで蹴飛ばし・・・耐えられた、俺は反動を利用して後ろに下がっているけど、いつのまにか生やしていたのか人型は尻尾で自分の仰け反った上体を無理やり前に押し、今だ地面についてない俺に頭から突進してくる。

 両腕で受け止めるも足が地面についてないのでそのまま人型と一緒に移動していく。

 いつまでも剥がれない俺を見て、人型が軽く飛び地面と平行になって身体を回す。

 摩擦もあいまって手が離れた俺は、慣性のまま距離をとり地面にようやく足をつけた。

 今だ空中を回転している人型は尻尾で器用に地面を叩いて回転したまま俺に頭から突撃してくる。


”右腕変化 黒”


 それを全力で振り下ろした右手で打ち落とす。

 が、直前で地面に足をついてあろうことか右腕一本で防ぎやがった。

 さすがに威力全部を殺せなかったのか、足は地面に沈んでいるが直撃したのにも関わらずダメージが無い。


「クケケケケ?クケケケケケ!」


 人型は俺の受け止めた左腕を見て・・・新しい玩具を見つけたかのようにうっとりと眺めている。

 舐めやがって”左足変化 黒”右腕を解除し人型の腹を蹴り上げる。

 人型は急に普通の手に戻ったのに驚いたのか、足に気づかずもろに食らい吹き飛ぶ。


「おいおい、まじかよ・・・まったく効いてる様子がないんですけど」


 痒いのか痛いのかわからないけどお腹をさすっている・・・そういや、腹にあった口はどこいったんだ?

 とにかくまともなダメージが与えられない。

 当たらなければ殺せないが、ダメージがないのも殺せない・・・どうする?


「ヂヂヂヂヂヂ!」


 シリウス?お前なんでこっちに?


「タツヤ君!空のは仕留めた!シリウスさんは手伝うそうだ!それに油断するなって言ってたよ!」


 とルッドさんの声が聞こえる方を見れば確かに黒い鳥型が身体に剣や槍を生やして倒れ伏していた。


「油断するなって・・・してないけどさ、あいつに有効な攻撃がないんだよ」

「ヂヂヂヂ」


 まぁ見てろとでもいうように、あの独特な移動方で人型に近づいていくシリウス。


「クケケケ?」


 またも新しい玩具を見つけたかのような・・・遊び相手とでもいうきか?異様にキラキラと目を輝かせながらシリウスが近づいてくるのを見ている人型に、容赦なく右のストレートを叩き込むシリウス。


―― トンッ ――


 音は軽い。


「クケ?」


 だが


―― ボンッ ――


「グゲゲゲゲゲ!?」


 与えたダメージは重く、殴った箇所が数瞬後に爆発したかのように破裂した。


「ヂヂヂヂ!」


 どうだとばかりに俺を振り返るシリウスだが・・・いやいやいや「前!前!」と注意喚起する間にも人型がシリウスに殴りかかった。


「ヂヂ?ヂヂヂヂ」


 それをやれやれとでも言うかのように受け流しもう一度、今度は肩のあたりを―― トンッ ――叩き―― ボンッ ――と破裂させる。


「グゲゲゲゲ!?」


 それからも叩いては ―― トンットンッ ――破裂させ―― ボンッボンッ ――をまるでリズムを取るかのように、かつ人型の攻撃を避けつつダメージを与えていくシリウス。

 そのうち破裂していない箇所は頭だけじゃないのだろうかというくらい血だらけでボロボロな人型が出来上がる。


「クケケケケケケ!」


 一際大きく吼えた人型は全身をバネにしてシリウスから距離をとろうとするも、シリウスの移動速度に勝てずピッタリと食いつかれて・・・いや、シリウスの動きが止まった?


「ヂ・・・ヂヂヂ」


 よく見れば口元から血を流し、両方の手がボロボロになってる・・・っておい。


「シリウス!さがれ!」

「ヂ・・・?・・・ヂ!?」


 動きの止まったシリウスを見て勝機と思ったか、人型がバックステップの反動を利用してシリウスに飛び掛ってきた。


”思考加速””反応強化””脚力強化””脚力強化””身体頑強”


 間一髪両方の間に入り人型の両手と組み合う。


”思考加速””反応強化””腕力強化””腕力強化””身体頑強”


 ミシミシと上げる両手の痛みに耐えながら


「シリウス下がれ!俺とのダメージもあって本調子じゃないんだろ!」

「・・・ヂヂヂ」


 面目ないというかのように暗い鳴き声を上げ下がっていく、ごねないだけお前は偉いよ。

 ともあれ、シリウスが与えてくれたダメージを無駄にするわけにもいけないし・・・さっきのシリウスの攻撃って、いつぞやの魔王に左腕がやってたことと似ている?・・・ヤル?・・・出来るならやれ。


 ・・・アイ・・・”左腕変化 精神体 黒”見た目は普通の変化した黒い腕だが・・・妙に存在感が増してるような・・・ってまた勝手に動くのかい!

 変化した腕は俺の意思とは関係なしに人型を殴りつける。


「クケ?ク・・・クケエエエエエエエエエエ!?」


 どのくらい効いてるのか傍目には解りづらいが、どうやら相当痛いらしい。

 仰け反り頭を抑え下がろうとする人型を逃がさないように、黒い左腕はひっきりなしに乱打を加えていく。

 ついには蹲る人型、それでも容赦なく追撃をいれていく俺の封印されし左腕、イケーモットヤレーオレノセイシンガ、ハズカシサデコワレルマエニー・・・マズイ・・・あん?・・・ムリ・・・諦めるなよ!・・・ニゲロ・・・は?


 左腕を応援していると左腕が弱音を吐いた瞬間に腹に衝撃を受け俺は空にいた。

 うむ・・・いい景色だ・・・いやなにこれ?

 どうも、殴られたっぽいなお腹痛いし・・・無駄に冷静に空中で考えてる俺はそのまま地面に落ちた。


「ぐふぅぅ・・・」


 昔ジャングルジムの一番高いところから落ちたときがあって、そのときは下が柔らかい土だったのと手足を先につけてとかじゃなく、体全体で落ちたことがあるんだが、その時は肺から空気が全部搾り取られ体に受けた衝撃でチャイムが鳴るまで動けなかったな・・・一応教室には戻れたけど。

 とかいう妙な記憶を思い出し・・・真っ赤な目と赤い線が体中に走っている人型が俺に右腕を振り下ろしているのを見て・・・あぁつまりこれが走馬灯と思い・・・ニゲロ・・・体が動かないので諦めて目を瞑ろうとして・・・それが現れた。


「クケケケ!・・・ケ?・・・クケケ?」


 人型が振り下ろした右腕は一定の高さから消失している。

 倒れている俺の上あたりに黒い空間が広がりその中に右腕が肘の上あたりまで突っ込まれている状態だ。

 黒い空間?あれ?これって志乃の異空間じゃ・・・?

 

 と考えていると人型はとりあえず抜いてみるかという姿勢をとった瞬間。




 黒い空間は



 

 何の音も立てずに




 唐突に消失した。


―― ボトッ ――


 もちろん人型の右腕はない。

 まるでどこかに飲み込まれたかのように消えた。


 一瞬遅れてどこかで何かが落ちた音がしたけど、それかもな・・・窮地は脱したものの動かない体で考える。


「グゲエエエエエ!?グ、グゲ!?グゲゲゲ!?」


 体が消失するのはさすがに痛いのか、取り乱したかのように叫ぶ人型。

 しばらく、右腕の痛みと闘っていたようだが・・・落ち着いてきたのか、息も整ってきている。

 今だ体は動かない。


「クケ、クケケケケケ・・・クケケ」


 何かを俺に向ってつぶやいた後、唾液を一滴俺の胸に垂らし跳躍しながらどこかへと去っていった。

 唾液汚ねえ!ダレカー!?フケルヒトー!?フイテー!?


「ヂヂヂ」


 動けるようになったのかシリウスが肩に担ぎあげてくれるのか、持ち上げてくれ・・・おいまてお姫様抱っこはやめろ!


「おいこら・・・シリウスせめておぶれ」

「ヂヂヂ」


 いやいや、と首を振るんじゃねえ!

 そのまま運ばれさっきの現象について考える・・・考えるとはいっても志乃の異空間だということは間違いないだろう。

 つまり、志乃に戦闘をさせてしまったということに・・・いや、戦闘自体はこの世界では仕方がないかもしれないけど、あの子はあれでよく考える子だからな。

 




 馬車につく頃には体が動くようになったので、降ろしてもら・・・おいこら降ろせ「ヂヂヂ!」黙れ!抵抗するな!とにかく降ろしてもらい、志乃を・・・いた。


「志乃?」

「・・・ん、たつ・・・なに?」

「いや・・・ありがとな?」

「ん・・・手・・・」


 手を出してきたので握ってやる、震えている。


「たつくん怪我は?すっごい高さから落ちてたよね?」

「いや、今回は怪我はないよ・・・最後は危なかったけど」

「達也・・・志乃は・・・」

「うん・・・ありがとな志乃?大丈夫か?」

「たつ・・・手・・・手・・・」


 うん、とりあえず今は考えないようにしな?志乃を抱き上げ、帰還の指示を出すようにデニスさんに伝えて馬車の上に登り・・・町に着くまでひたすら志乃を宥め続けた。











―― 想い続けるモノ ――


 ソレは食べながら考える。

 今日は凄い面白かった、また遊んで欲しい。

 ソレは自分の腕を見た。

 遊んで欲しいけど、僕の腕は切れてしまった。

 ソレは置いてきた自分の腕を思い出す。

 くっつければ治りそうだけど、負けたのは俺で、あれはあいつのモノだ。

 ソレは途中で乱入してきた変な生き物に苛立つ。

 私達が遊んでいるのに邪魔するとか、次は食べてやる。

 ソレは今日遊んだ相手のことを想う。

 あぁ・・・あれは丈夫だったし強いし痛いし楽しかった、最後は腕もとられちゃったけど嬉しい。

 ソレは相手を愛す。

 あの人間・・・彼はいい・・・儂のモノにしたい、余と遊んで欲しい、我を愛して欲しい。




 夕暮れ、腕を抑えているところを熊型怪物に見つかったソレは詰まらなそうに熊型を殺し食らう。

 ソレの能力は”愛するモノが為に”限りのない愛は進化し続け歪んでいき壊れる。




「クケケ・・ケ・・ア・・・イ・・・アイ・・・アイシテ・・・アイシテイル」


 ソレは欲する。

 あぁ次は妾があやつの腕を欲しい、その為にはもっと強くならないと遊んでもらえないだろう。

 しばらくはこの想いで満足できそうだ・・・次はもっと遊んで欲しい、愛して欲しい、壊して欲しい。




 ソレの名は想い続けるモノ、これから先達也のストーカーとなるものの誕生である。


「え?こいつも達也君を狙ってるの?モテモテだなぁ彼は」


 達也の行く先も前途多難である。

ジャングルジムから落ちた描写は作者の実体験です。

あれは、まじでやばかった・・・何だって次の授業が一番怖い先生の授業だったから遅れるわけにはいかなかったのだ。



「ところで達也君負けてしまったよね?」

・・・それがどうしたって言うのですか手寅さん?

「いやね?魔王戦の時も思ったんだけど、主人公最強タグついてるよね?これ」

・・・あ

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