命名
「なるほどのぅ・・・確かにこちらの言うことは理解してるようじゃな」
「確かにキサラギ殿が認める強さなら護衛には十分ですな」
こちらに駆けてきた司祭様と町長にことの次第を説明した。
「あぁ俺達も帰りに確認したが、ミミズ型を瞬殺していたな」
「あの連携は参考になるものがあったな」
デニスさんとフリッツさんも後押ししてくれるが。
「となると・・・後はこいつらがどれくらい食べるかだが、どうなのだキサラギ殿」
「俺に聞かれても、太っちょどうなんだ?」
「ヂヂヂ」
あ、駄目だわからん。
「ん、さっき聞いたけど私達と変わらない量でいいって」
「そうなのか?志乃」
「うん、この子は他の子より食べるみたいだけど・・・たつが何とかしてくれるって言っておいた」
「お・・・おう」
まぁこいつはリーダーだし、何か俺に服従するらしいから面倒見るのは俺か・・・そうか。
「太っちょはともかく他は・・・こいつ抜いて28匹だから大体人間が28人増えたと考えればいいと思います」
「ふむ・・・デニス食料的にはどうなのじゃ?」
「そうですね司祭様・・・言い方は悪いですが先日の戦いで減った人数と丁度相殺できますし、これは予想外だったのですが農地が広がっていたのですよ」
「ほう?収穫量はどうなんじゃ?」
「それも豊作といっていいほど稔りは良かったです」
「ふむ・・・どうじゃ町長?」
「そうですね、問題がないなら受け入れたいですね、なによりキサラギ殿に匹敵する戦力は欲しいですよ、調査団が出ている間の戦力低下の心配が無くなりますし」
「そうじゃのぅ・・・わし一人じゃ限界があるしの」
意外に受けいれられてるぞお前?
太っちょを見ると、俺をじっと見てる・・・え、なに?
「ん、たつのおかげ」
「俺のおかげ?」
「たつの信用があるから、この子達も受け入れられそう・・・本来なら討伐」
「ヂヂヂ」
そうかぁ?言いように利用できそうだからなだけじゃないか?
「・・・たつ並に強いのに利用とか言ってたら・・・つぶされるだけ」
「ヂヂヂヂヂ」
同意するかのように頷くな、俺がいなくても町長の言うことくらいは聞けよ?「ヂヂヂ」わかったとでも言うように頷く太っちょ。
「そういや・・・お前名前とかないのか?いつまでも太っちょじゃな」
「ヂヂヂ」
「ないのか、俺がつけるのが良いんだろうが・・・やめたほうがいいと思うぞ」
「ヂヂ?」
「リスの助、リス丸、リスリス、リース、スリ、茶色の物体、デブリス、デブ・・・さぁ選べ」
後半は適当だが、個人的にはデブリスの語呂が良いのでオススメだぞ?
「ヂヂヂヂヂヂ!」
太っちょは全力で首を振った後、志乃に目を向けて懇願しはじめた。
「ん・・・皆で考える」
「ヂヂヂ」
よろしく頼むと言うように志乃に付き従い始めた。
まぁいいんだがデブリス駄目?
大きさはともかくリスっぽい見た目と俺が認めたという話が流れたおかげか、町の住人は受け入れられた。
俺は納得が出来ないのだが、太っちょが一番人気だ。
今もほら
「わーふかふか!」「怪我してる・・・傷薬ぬってあげる!」「これこれ、それはわしに任せなさい」
やたら人気だ、っていうか薬師の婆さんまで可愛がっているんだが。
老若男女全てに人気者になっている太っちょである。
住む場所は空いてる場所に自分達で作るそうだ・・・今日は日暮れもあって夜空の下で寝るらしいが明日からは材木調達班を編成するらしい・・・と志乃が聞きだしてた。
太っちょはルッド宅にお邪魔することになった。
「ふかふか~」「ん、エナ肉球もなかなかいい」「ほんとだ」
帰りの道中不機嫌だったエナも機嫌を直してくれたようだ。
「今度はリスか!私の娘が魅力的だからって、渡さないぞ!」
「あなた?」
「メ、メリー」
「さっきエナから聞きましたわ?」
「な、何をだ?」
「それは、あなたがご存知でしょう?」
「な、なんのことかなぁ・・・」
「へぇ・・・私に隠し事ですか」
「ち、違うんだ!私はエナの為に!」
「心意気はよろしいと思います、ですがやりすぎです」
「やりすぎってことはないだろう?私の大事な娘だぞ!?」
「私?あなただけのですか?」
「あ、いや、わ、私達のだぞ!もちろん!」
「ちょっとお話しましょう?」
「ま、待ってくれ!言葉の綾だ!」
「美香さん?申し訳ないのですけど料理の方、任せてもいいですか?」
「え?いいですけど・・・勝手に台所使わせてもらって良いのですか?」
「ええ、美香さんの腕は私も認めてます、どうぞ遠慮なく使ってください」
「わかりました、腕を振るいます」
「お願いしますね・・・さ、あなた?行きましょう?」
「あ、ああ、あ、あ、あ、あ、ああああ」
「ふふふ」
ずるずると大柄な男性を引き摺る小柄な女性の図・・・何だこれ。
夕食になってもルッド夫妻が戻ってこないのだが。
太っちょは椅子に座れないからか、床に座って・・・座ってるのかこれ?
高さでいえば、椅子に座った志乃と頭の位置が一緒なんだが。
「えっと・・・この子の口に合うかわからないけど、とりあえず肉団子食べてみる?」
「ヂヂヂ」
礼を言うかのように鳴いた後、皿の上の肉団子を手で掴み食べ始め・・・凄い勢いで消費していく。
「お、お口にあったのかしら?・・・追加作ってきたほうがいいのかしら?えっとご主人様?」
何で俺に聞いてくる、ご主人様って・・・まぁ飼い主は俺か。
太っちょを眺める、皿の上の肉団子を食べ終わったのか俺を見てきて、ゆっくりと頷いた。
「・・・もう2人前くらい追加してやれ」
「わかったわ、ちょっと待っててね」
「ヂヂヂ」
さすがに人の皿から奪うほどの食いしん坊ではないらしく、大人しくじっとしている。
「食べながらだと行儀悪いかもしれないが、こいつの名前を皆にも考えて欲しいんだが」
「もぐ・・・ん、たつくんが考えたほうがいいんじゃないの?ご主人様なんでしょ?」
「ん、優奈それはだめ」
「だめなの?」
「だめ、たつの名づけはひどい」
「ひ、ひどいの?たつくん一体どういう名前をつけようとしたの?」
「一番気に入ってるのはデブリスだな」
「・・・がんばろう志乃ちゃん!」
「ん、がんばる」
「おに~ちゃん、それはないと思う」
そうか?語呂がいいと親しみがあっていいじゃん・・・何だよ太っちょ睨むのはいいけど、覚悟はいいのか?「フルフルフル」・・・はぁ。
「というわけで皆で考えてくれ、それを採用するから」
「ヂヂヂヂヂヂ」
よろしく頼むというように深々と頭を・・・首も太いからわかりづらいが下げる太っちょ。
「それまで暫定的にデブリスって呼んでいいか?」
「「「だめ!」」」「ヂヂヂ!」
まぁ名づけは急いでないからゆっくりでいいけどな、な?デブリス「ヂヂヂ!」あ、こら俺の肉団子!
「こら!ご主人様がペットをいじめないの!」
「取られてるのは俺だよな!?ご主人様いじめよくない!」
「もぅ・・・ほら追加あげるから、いくらご主人様が意地悪でも下克上はだめよ?」
「ヂヂヂ」
こいつの胃袋も美香が掌握したんだろうな。
このパーティで一番強いのは美香か志乃なのか・・・優奈は、マスコット?
「つまり、リっちゃんだよ!」
「さすがに安易すぎるわよ優奈、そうね・・・リス丸とかどうかしら」
「みかもたいして変わらないと思う・・・素早いおデブさんだから、すぶた?」
「シノちゃん・・・それは絶対違うと思う・・・すぶたが何か知らないけど」
「・・・ヂヂヂ」
死んだ魚の目で俺を見つめる太っちょもといデブリス。
俺が一番マシじゃねえか?五十歩百歩?そうとも言う。
騒がしかったのかメリーさんがひょっこり顔を出した。
「賑やかね?どうかしたのかしら?」
「あぁメリーさんそれは」
かくかくしかじかで説明。
「なるほど・・・リスちゃんの名前ね」
「ヂヂヂヂヂ」
希望に縋るかのようにメリーさんを見つめる太っちょもといデブリス。
こうやって浸透させるといつのまにか太っちょがデブリスになるのだよ。
「あ!これなんかどうかしら?」
「ヂヂヂ!」
期待するかのように鼻息荒く目をキラキラさせる太っちょもといデブリス。
「ブヨブヨちゃん!ほら、このお肉とか言い感じにブヨブヨしてるわよ?」
「・・・ヂヂヂ」
一瞬にして目から光を消し項垂れるデブリスもとい太っちょ。
「さすがにそれはないよおか~さん!」
「そうかしら・・・駄目?」
「だめ!可愛くないよ!」
「ん、やっぱりとんこつ」
「志乃?リスよ?豚じゃないわ?」
「リっちゃんが駄目ならスっちゃんだよ!」
「ゆうなぎゃくにしただけ」
そこで新たな刺客・・・ルッドおじさんがやってきたってボロボロだな・・・体もだが多分心が。
デブリスもとい太っちょよりも暗い雰囲気で俺の隣まで来た。
デブリスも何かを感じたのか、ルッドさんのそばにきた。
「大丈夫ですか・・・?いや、大丈夫に見えないので大丈夫じゃないですねルッドさん」
「うん、君も妻を持てばわかるようになるよ・・・エナはだめだぞ!」
「落ち着いてくださいよ・・・めんどくさい」
「ぐぅ・・・め、めんどくさいとはなんだ!エナじゃ嫌ってことか!?」
「ヂヂヂヂヂ」
落ち着けというようにデブリスが水を勧める。
「ありがとう・・・君は・・・?」
「ヂヂヂヂヂ」
自己紹介をしあうかのように泣き声をあげるデブリス。
「そうか・・・君はシリウスというのか・・・天狼と同じ名前だね」
「御伽噺か何かですか?」
「うん、私のご先祖様があったことがあるんだが森の守護者という話だよ」
「へぇかっこいい名前・・・だ・・・な?へ?」
「どうかしたのかい?」
「・・・ルッドさんこいつの名前シリウスなんですか?」
「私にはそう言ったけど?」
「ヂヂヂヂヂ」
「ほら?」
もしや・・・ルッドさんって持ってないといっていたけど。
「何を言ってるのかわかるんですか?」
「わかるよ?あれ?わからないのかい?」
「ルッドさん・・・そうですね・・・ステータスって念じて見て下さい」
「うん?うん・・・ん・・・な、なんだこれは」
「何か見えました?」
「森の狩人って出てよ?何だいこれは・・・消えない」
「それは消えろと念じればいいと思います・・・それとあまり自分の能力は口外しないほうがいいですよ」
「あ、そうだね・・・まぁタツヤ君には相談させて欲しいな」
「まぁ・・・そうですね、構いませんよ。他言もしませんし」
「ヂヂヂヂヂヂ」
「ん、あぁすまない、シリウスさんはタツヤ君をご主人様としたのかい?」
「ヂヂヂヂ」
「そうなのか・・・確かに彼の強さと存在感は凄いからね、同じ男としてわかるよ」
「ヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂ!」
「あ、すまない・・・女の子だったのか・・・いやすまないね、おじさんになるとそういうのに疎くて」
「ヂヂヂヂヂ」
「ごめんって・・・お詫びにタツヤ君への通訳はさせてもらうから」
スルーしていたが驚愕の事実がどんどん増えていくんだが。
シリウス?女の子?まじで?
「あーおと~さんずるい、リスゴロウもおに~ちゃんも独占してる!」
「ん、たつスペアリブ返す」
「たつくん!たつくん!シンプルにリスちゃんでいこう!」
「達也、吉法師なんてどうかしら?偉人にあやかるのよ!」
「ブヨブヨがだめなら、プニプニでもいいと思うわよ~」
迫る女性組みにルッドさんも交えて説明・・・「「「「「え?」」」」」説明する。
「お、女の子だったんだ・・・」
「さすがにそれだと吉法師はだめね」
「ん、盲点だった」
「シリウスっておと~さんが話してくれた森の守護者だね」
「あらあらまぁまぁごめんなさい間違えてしまったわ」
「ヂヂヂヂヂ」
「気にするなって言ってるよ」
名前を決めようとしたが決まっていたよ。
とりあえずもう寝ようか、明日も護衛任務は残ってるんだから。
「え?お前も一緒に寝るの?」
「ヂヂヂヂヂ」
「いいけどさぁ・・・狭い」
「エナ!おと―― ズドンッ ――「もう毎回毎回こりない人ね・・・」」
吉法師は織田信長の幼名です。




