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作物収穫護衛任務2日目

「美味い!?なんだこれ!昨日の熊ってこんなに美味いのか!?」


 なにやらケイが騒いでいるが、まぁ美香が手を出したなら美味しいのは当たり前だろう。

 

 

 

 今は収穫護衛2日目の昼休憩だ。

 さっそく美香が得意分野で腕を振るったらしく、昨日とは打って変わって美味しい。

 見た目というか肉を入れただけにしか見えないけど、ソースとかなしによく日本人にも異世界人にも美味いって思わせられるな。


「これは草のタレなのかな?ちょっと青臭いけど美味しいねたつくん」

「あら、まだ青臭かった?どうもお肉の生臭さが凄かったから、昨日ついでに収穫されてた山菜みたいなやつで匂い消ししたんだけど・・・今度は山菜の味が濃かったか、要改良ね」

「待て・・・ここらの草って食べられるものだったのか?」

「大丈夫よ、毒見はさせたし」

「それは大丈夫とは言わない」


 道理でレイクとオルトがぐったりとしてる訳だ・・・まぁ元々使いもんにならない奴らだし別にいいんだが・・・いやいや、実は毒草で死にましたってなったらどうすんだよ。


「そこはほら、くそじ・・・司祭さんに待機してもらったし?ある程度の解毒は能力でどうにかなるって話だったのよ?ほんとよ?」

「・・・潜伏性の毒だったり、遅効性だったら?」

「・・・達也・・・肉体変化でわかったりしない?毒物かどうか」

「そんな能力じゃねえよ!」


 危険物察知とか毒物感知を持ってる能力者を探して来い。


「ん・・・つまりみかはミナゴロシ?」

「ち、違うわよ!?大丈夫よ志乃いざとなったら達也が何とかするわよ」

「それもそう」


 奇跡が起こって毒物処理能力があったとしてもこの人数はまずくないか?


「もぅ!野暮はいいっこなしだよ!大丈夫だってたつくん!」

「お前は暢気でいいなぁ」

「な、なによー!」




 

 一応懸念されていた毒とかは無かったみたい・・・後日発毒しましたとか言われたら仲良く死ぬとしよう。

 大丈夫だよな?「・・・大丈夫だよ、それは人間には食べられるものさ」む・・・これある種チートじゃね?「さすがにうっとおしいよ達也?」お、俺が悪いのか!?

 手寅さんのお墨付きが出たので一先ずは安心しよう、あいつはいつも監視してんのか?




 気配察知に反応があった。

 大体今日の収穫予定分は終わりそうだとデニスさんと話をしていた時だ。

 ん・・・おや?唐突に現れたな複数・・・1・・・2、3・・・4か。


「デニスさん何か出たんでちょっと見てきます」

「む・・・そろそろ撤収しようという時に迷惑な・・・頼んだ」

「俺も行くぜ兄貴!」

「ついてこれたらな~」

「待てキサラギ、今回は俺達も同行する」


 む、フリッツさんか・・・俺としては残っていて欲しいな。


「出来れば残って安全確保して欲しいんですけど?」

「それはわかるが、一度も戦闘を経験していないのは問題だろう?」

「わからないでもないですが・・・収穫組みの護衛はどうするんですか?俺残ります?」

「いや・・・万が一を考えてキサラギには来てもらいたいな」


 考えこむフリッツさん、現れた気配は動きがない・・・昨日収穫が終わったあたりにたむろってるな。

 そこでデニスさんが会話に入ってきた。


「キサラギ、その現れた気配は複数か?」

「4つ程ですね」

「広範囲にばらけているのか?」

「いえ、昨日収穫したあたりです」

「なるほど、なら俺達はこのまま撤収を開始しよう。幸い町まではそう遠くない。昨日収穫した地点なら横切ることはない」


 俺の懸念は収穫組み(三人娘)だからそれでいいなら構わないな。


「そんじゃ撤収しつつ、途中で戦闘経験値を積もう組は分かれる・・・でどうでしょう?」

「やつらの動きはないのか?」

「ええ、ないのでそれなら俺も条件を飲めます」


 話を黙って聞いていたフリッツさんもそれでいいと言うので行動開始。


「たつくん何か出たの?」

「4匹程な」

「また熊かしら?」

「何ともいえないな」

「たつはくますき?」

「俺は猫派だ」

「えーおに~ちゃん犬の方が可愛いよ?」


 エナそれは戦争への引き金になるから注意するんだと真顔で説教しといた。


「撤収準備はいいな?それじゃ町に帰るぞ」


 デニスさんの掛け声とともに15台、昨日より3台増えた馬車が動き出したところで4つの反応が動き出した。

 一直線にこちらに向ってくるのを確認してデニスさんに報告。


「デニスさん!気配がこっちに向ってきた!迎撃するからそのまま進んでください」

「ぬ?大丈夫なのか?」

「経験値稼ぎとかいってられないんでさっさと潰します」


 横にいたフリッツさんは苦い顔をしていたが命には代えられない、別に来るのはいいけど馬車を優先でと言い残し駆けようとして。


「どうしたキサラギ?いかないのか?」

「・・・気配が消えました」

「消えた?向ってきてるんじゃなかったのか?」


 何かおかしい・・・もう一度”気配察知 強””範囲強化””範囲強化””思考加速””反応強化”待てよ?あいつら突然気配察知の範囲内に現れたよな・・・ってことは。


 上を見上げる・・・特に何もいるようには見えない、ふとそこで振動を感じた。


「っ!下だ!地面から来てる!」

「何だと!?」


 ある程度近づいてきたからなのか、わかりやすく土を盛り上げながら向ってくる4つの何か。

 狙いは馬車のようだけど、皆の頑張りを無駄にしたくはない。


”左腕変化 黒”


 なるべく皆からギリギリまで距離をとり、土の盛り上がりに合わせて地面ごと薙ぎ払う。


「おらぁ!」


 ダメージよりは吹き飛ばす・・・地面をひっくり返す感じで4つの気配を巻き込みつつ抉る。

 


「「「「ぴぎぃぃぃぃぃぃぃ!?」」」」


 土煙でよく見えないけど、何かが泣き声をあげながら吹き飛んでいった・・・長い胴体だったのは確認できた。

 

「あ、兄貴!?やったのか?」

「いや、直接攻撃したわけじゃないからな、っというかケイそれはやれてないフラグだ」


 フラグ?と首傾げるケイを放っておき土煙が晴れてきたので改めて自分が地面ごと吹き飛ばした何かを確認する。


「やあああああ!あれやああああ!」


 あぁうん優奈は駄目そうだな。


「美香!優奈を馬車に引っ込めてくれ!」

「わかったわ!気をつけてね!」

「ん・・・ゆうなだいじょうぶ、たつがたおすから」

「ユ、ユウナおね~ちゃん大丈夫?」


 まぁうん・・・優奈の拒絶反応が出てることでわかるかもしれんが、触手系・・・でかいミミズだな。


「兄貴・・・こいつってミミズか?」

「多分な、俺の知ってるミミズとはでかさが違うけどな」


 全長5m程か?縦は長いが横が50cmもないな、細い分だけ小さく見えるな。

 バラバラの大きさってわけでもない全部が同じ大きさだ。

 ミミズ型とはいったが、ただ細長いだけの生物で全く別の生物かもしれない。

 背中は鱗みたいのがあるし、頭の先には掘り進むためなのか平たい角が生えてるし。


「いや、これミミズじゃないだろ・・・こんなミミズがいてたまるか」

「まぁ兄貴に同意するけどどうするんだ?」

「馬車が町につくまで睨みあってくれないかな?」


「さすがにそれは希望的観測すぎるだろう」


 おや、フリッツさんが何でこちらに来てるんですか?


「そう睨むな・・・落ち着け、その威圧をとめろ!」

「あ、兄貴・・・それだけで魔物もびびってんぞ?ってかこえええよ!?」


 失礼・・・ミナゴロシ・・・つい興奮してしまった。


「それでフリッツさん?」

「あ、あぁ、馬車が町に入るまでの護衛よりはこちらで足止めしたほうがいいと判断したんだ」

「・・・こいつら4匹とは限りませんが?」

「どちらにしろキサラギ以外こいつをどうにか出来んと思うんだが?それに、馬車を狙ってるようだからいざとなったら馬車を囮にして逃げるとデニスも言っていたしな」


 今、馬車の中に家の子がいるんですけどね?・・・ブッコロス?・・・

 俺は特に何もしてる気はしないが、じりじりと怪物も護衛組みも俺から距離を離していく。


「お、おい?ケイ?キサラギはお前を助けてくれたんじゃなかったのか?」

「た、助けてくれたぜ?けど、俺達とミカの姉御達だと対応が違うだけじゃねえか?」

「優先順位の上位が占める割合が大きいってことか」


 おっさん達潰したところで解決はしないな・・・つまり3人娘が危険になってるのはコイツのせいか?

 後ずさり続けてるミミズ型を見やる。


「ピ、ピギィィィィィ?」


 そうだな、とりあえずさっさと殺そう・・・ミナゴロシ・・・怪物だけな。


”思考加速””反応強化””腕力強化””脚力強化””身体頑強””気配察知”


 ミミズ型を追い立てるように駆け出す。

 ミミズ型は自分達が後ずさっていることに気づいたのか、気合を入れなおすかのように俺に向き直り吼えた。


「ピギャアアアアア!」

「うるせえ」

「ピ、ピギィ」


 やたら高音なせいで耳が痛い、いやこれも攻撃方法の一種なのかもしれないな。

 怯んだミミズ型・・・一番近くにいた個体の腹を駆けた勢いそのまま殴りつける。


「ピギィィィィィ!?」


 手加減なしだったがゴムを殴りつけたかのような感触を残してミミズ型が吹き飛んでいく。

 耐久力が高いタイプか、厄介な。

 思考を中断して横に跳ぶ。


「ピギャァア!」


 俺のいた位置を頭の先端についてる角のようなもので抉るミミズ型。

 頭が地面に突き刺さったところで裏拳をいれようとしたところで、3匹目が角を突き出しながら突撃してくる。

 それを避けようと動く前に、後ろにいる4匹目の動きに気づいてやめる。

 2匹目はつきたてた角で地面を掘り地中に沈んでいった。

 

”両腕変化 黒”


 3匹目の角を左手で頭を右手で掴み角を折った。


―― ボキッ ――


「ピギャアアアアア!?」


 折った角は左手で掴んだまま右手の頭を地面に叩きつける。


―― ズドンッ ――


「ピギュ・・・ギュ・・・」


 3匹目はそれで沈黙した、その後ろで待機している4匹目はそれを見て、あからさまに怯んだ。

 2匹目の行方が気になるし手早く済ませよう。

 左手に掴んだ角、これも1mくらいあって結構重量があるそれを4匹目に思いっきり投げつける。


「ピ、ピギャ―― ッバン ――」


 頭が吹き飛べば死ぬのか地響きを立てながら沈む4匹目。


「おいおい俺達が参加する隙がないぞ」

「すげえ兄貴!」


 護衛組みの声を無視して2匹目の位置を・・・1匹目も潜ったか?

 1匹目を吹き飛ばした場所には穴が開いてる。


「ケイ最初に吹き飛んだやつは?」

「兄貴が吹き飛ばしたやつだろ?潜ったぜ!」


 つまり居場所は把握できてないということか。

 地面に手をあてる。


”五感強化 触覚”だんだん人間離れしてきてる気がするな・・・イマサラ・・・そうだな。


 わずかにだが振動を感じ取れる。

 まだ慣れてないから正確な距離はわからないけど、遠くに多数の振動・・・それに迫る二つの振動。

 


 これか。



”思考強化””反応強化””脚力強化””脚力強化”


「ケイ」

「お、おうなんだ兄貴」

「その2匹の後始末しておいてくれ」

「わかったぜ!兄貴は?」

「残りを片付ける」


 馬車の方へ向って駆ける。


「は、速・・・ええっとフリッツさん、こいつらどうします?食えるんです?」

「食べるのか?多分キサラギは素材とかいう意味で始末って言ったんじゃないか?・・・そうだよな?」

「さ、さぁ?」







 場所に十分近づいたと判断したのか地面近くに盛り上がりが2つ出てきた。

 馬車組も気づいたのか、慌てて速度を上げた・・・が速度でいえばミミズ型のほうが速い。




 目前の獲物に夢中で俺に気づいてないようだけど、ちょうど土が盛り上がり続ける後ろを追いかけ追い越して。


”左腕変化 黒”


 一つの盛り上がりの先端を狙い、振り上げ振り下ろす。


「ピギャアアアアアア!?」


 目測を見誤ったらしくミミズ型の頭よりした胴体あたりに当たったようだ。

 千切れかかっている胴体をさらに掴んで引きちぎり、頭の部分をもつ。


「ピ、ピギ・・ギィ」


 頭を潰さなければ即死はしないようだ。

 それと最後の一匹もさっきの衝撃で地面から出てきたようだ。


「ピギャアアアアア・・・ァ・・・ァ?」


 俺を見た瞬間は威嚇するように声を出したが、左手で掴んでる頭を見たのか動きを止めた。

 これを投げてもいいけど後ろの馬車に当たる可能性があるな、位置を変えるか。


”思考加速””反応強化””腕力強化””脚力強化””身体頑強””気配察知”


 左手の頭を投げ捨て最後のミミズ型に駆ける。


「ピ、ピギャアアア!」


 やけになったのか丸まり始めた、いや。

 丸く丸くなったミミズ型は回転を始める。

 後ろに土を跳ね飛ばしつつ、結構な速度で回転している・・・十分な回転をしたのかボールのように俺に突撃してくる。

 避けてもいいけど・・・速度的に距離を離されそうだな、護衛組もこいつとは戦えなさそうだし。


 左腕が痺れてきてるな”右腕変化 黒””脚力強化”


―― ギャリギャリギャリ ――


 右手でミミズ型の突進を抑える。

 地面をこすりながらも徐々に突進の勢いを殺していく。

 背中の鱗が右手に剥ぎ取られているのか、黄銅色の鱗があっちこちに飛ぶ。




 しばらく押さえつけているとようやく回転が止まる。


「ピ・・・ピギ・・・」


 体の丸まりを解除したミミズ型は観念したのか・・・俺と見詰め合う。

 まぁ容赦する必要ないんだよな。

 黒い右腕がミミズ型の顎を捕らえ、破裂はしないものの骨やら頭が砕ける感触とともに倒れこんだ。


 変化解除”気配察知 強””範囲強化””範囲強化””思考加速”


 とりあえずは終わったようだ。

 町に着くまでは安心できないけど、大分近くなってきたしな。

 護衛組みは怪物を回収してるのか歩みは遅いがこちらに来てるし、ってか持ち帰ってどうするんだろう食べるのか?

 じゃぁ俺もと頭だけ(虫の息だったけど止めを刺した)となったのと頭が砕かれてるのを引き摺る。


 





 今日の夕飯ハンバーグだったら俺は絶対に食べないぞ。

 絶対にだ!

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