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作物収穫護衛任務

「志乃?ついたけど立てるか?」

「ん・・・たつありがとおりる」


 慎重に降ろしたが・・・大丈夫みたいだなふらついたりもしないし、甘えたかっただけかもしれん。


「それじゃ私はメリーさんのお手伝いをしようかしら」

「私も!」

「優奈・・・いいけれど」

「な、なに?」

「料理は作らせないわよ?」

「じゃぁ何するの!?」


 掃除とかじゃね?俺はどうするかな・・・お、ルッドさん発見。


「ルッドさん何か家の仕事とかある?」

「おや、おかえり司祭様とはお話出来たのかい?」

「出来ましたよ、町長さんともお話してきました」

「そうか、それはよかった・・・それで仕事かい?」

「ええまぁ・・・明日まで暇になったもんで」

「ゆっくり休んでてもらって構わないんだけど・・・仕事か」

「そういやルッドさんは何の仕事してるんです?」

「私は狩人だったんだよ」

「あぁ・・・今は出来ませんものね」

「うん、それで町での力仕事を回してもらったりしてるんだよ」

「なるほど・・・じゃぁ今のところは無さそうですね」

「そうだね、町の仕事も今日は切り上げてきたところだしね」


 となると・・・


「じゃぁおに~ちゃん私とシノちゃんと遊ぶ?」

「エナはメリーさんの手伝いしなくていいのか?」

「ん~洗濯物くらいはあるけど・・・ミカお姉ちゃんとユウナお姉ちゃんが手伝ってるから」


 ん~そうだな・・・特にやろうと思ってたこともないし・・・トランプでもやるか?


「「トランプ?」」

「・・・ルッドさんも時間あるならやりますか?」

「む・・・いいのかい?じゃぁ参加しようかな」

「え~?お父さんも遊ぶの?」

「だ、だめなのかエナ!?」

「せっかくおに~ちゃんと一緒なのに・・・シノちゃんと一緒に色々しようと」

「だ、だめだぞ!私も参加する!キサラギ君!トランプをするよ!」

「あ、はい」

「ん・・・たつはモテモテ」


 おじさんにはモテたくない!それにエナは子供じゃねえか!

 はぁ・・・とりあえずトランプは俺のバックに入ってるから異次元ボックス見せずに済むしな。

 









「はい、あ~がり♪」

「ぬおおおおお」

「エナ強いな」

「ん・・・またビリだった」


 意外にも志乃はババ抜きがメチャクチャ弱かった。

 エナが一番強く次が俺だ、ちなみにおじさんは常に3位だ。

 最初はポーカーフェイスな志乃の圧勝かと思ったが、いざ始めてみれば顔の表情は変わらないのだが何というかオーラ?気配?にじみ出る感情が解りやすい。

 

「ん・・・皆なんでわかるの?」


 今だって無表情なのに悲しそうなオーラが溢れている。


「え、えっとおに~ちゃん他のゲームはないの?」

「ん~計算が必要じゃないものでいうと・・・七並べかな?」

「え?計算って掛け算とか?」

「ん?掛け算を知ってるのか?じゃぁ数字を数えられる?」

「バカにしてるのおに~ちゃん!」


 驚いたことにエナ・・・いや、町の子は大体は読み書きができるらしい。

 週に1度は教会で読み書きを教えているので、簡単な計算もできるとのことだ。


「悪い悪い・・・じゃぁ大富豪やるか」






「ん・・・革命」

「ぬああああああ」

「今度は志乃が一強か」

「シ、シノちゃん強すぎる」


 これはまぁ予想通りというか志乃が強かったな、おじさんが一番弱いのはいいのかそれで?


 しばらく遊んでいると優奈がやってきた。 


「ご飯出来たから食べて食べて~」





 夕食は普通に食べることができた「ちょっと!?どういう意味!?」別に優奈に何も言ってないぞ。


 そんでまぁ何事も無く就寝。


「エ、エナ?今日はお父さんと一緒に寝よう?な?それがいい」

「やだよ~おに~ちゃんのほうがあったかいもん」

「年頃の娘がはしたない!駄目だぞお父さんと寝るんだ!」

「お父さんとはやだ~おに~ちゃんと寝るの」

「こら!聞き分けないことを言うな!私と一緒に寝るったら寝るん「あなた?」・・・だ」


 夜中響く断末魔からのすすり泣く声は、中々ホラーであると俺は思う。






 

 さて・・・今日は皆早起きだな、まぁ結構な重労働になるだろうし。

 今日の護衛はエナも連れて行くことになった。

 ルッドおじさんもてつだいでついてくるそうだし、まぁ町の周りなら何とかなるとは思う。


 朝食後エナの案内で町の東門へ

 両手はエナと志乃で埋まっているんだが「エ、エナ?お父さんも手を繋ぎたいな~?」「やだ!」おじさん頑張れ・・・さて、あの集団かな?


「あん?ガキ連れ・・・女連れ?それにルッドの旦那か?」

「おいおい遊びで外に行くんじゃねえんだぞ?女子供は帰れ帰れ」


 猛烈に帰りたい、デニスさんはどこ?


「待て待て、その人はキサラギだ!魔王退治の功労者だぞ」

「はぁ?このひょろっちいのが?」

「こいつが倒せたんなら俺も余裕で倒せたんじゃねえか?」


 何というテンプレモブ、力を見せてみろとか言われそう。


「お前らな・・・防衛線のときはびびって壁内に引っ込んでた癖に偉そうだな」

「び、びびってねえし?防衛の準備で疲れてただけだし」

「そうだぜ!俺達が本気出せば魔王どころか他の町も制圧できらあ!」


 俺一人でこの町制圧出来そうだな。


「もぅいい・・・すまんなキサラギ」

「いえ、今日の護衛メンバーですか?」

「あぁ町長からはそう聞いている、調査員メンバーらしい」


 まじか、こいつらが護衛?大丈夫?


「フォローしてやってくれなんて図々しいことは言わん、嬢ちゃん達と一緒に仕事を果たしてくれれば俺達は文句は言わん」

「なるほど・・・一応顔合わせ目的もあったんですが、自己紹介したほうがいいですかね」

「それはお前に任せる、荷馬車がきたら出発するからその間に済ませといてくれ」


 多分こいつら連れて行かないほうが調査は捗ると思うな・・・っておい。


「何だ、ガキだと思ってたけどえらいべっぴんさんが混じってるじゃねえか」

「おうおう姉ちゃん?なんでこんなところに来たんだ?外に出るんだぜ?」

「デニスさんのお手伝いに来ただけよ」


 やたら美香は絡まれるな、まぁ女性の中で辛うじて大人だからな「たつくん私は?」ないない「・・・たつ?」志乃はもっとないだろ。

 というか別世界の基準でも美人なのか。

 

「ふ~ん?手伝いねぇ・・・まぁ俺達がきっちり守ってやるから安心しろよ」

「終わったらデートとしゃれこもうぜ?」

「・・・はぁ」

「あん?無視すんなよ姉ちゃん」


 毎回これだと美香も大変だなぁ。


”両腕強化””思考加速””反応強化”


 とりあえず首根っこを掴んで持ち上げてと、相手の方が背が高いとそんなに浮かないな。


「んな!?」

「てめえ!何しやがる!降ろせ!」

「あんまりうちのパーティメンバーに因縁つけてほしくないんだよね」


 くるっと遠心力を利用して藁が詰まられているところに放り投げる。


「「ぐあああ」」

「ありがと達也」

「いや・・・次からは声かけられる前に阻止したほうがいいか?」

「ふふ、それだと誰とも会話できなくなるわよ」


 デニスさんみたいな人もいるし人相とかじゃ判断出来ないしなぁ、雰囲気で気づくとか?無理すぎる。


「むぅたつくん私にも妬いて!」

「優奈お前・・・おっさんにナンパされたいのか?」

「ちっが~う!」


 とりあえずナンパされて困ってるようだったら、ちゃんと助けるから心配するな。


「え、あ、うん?うん?」


 調査員予定の護衛はあいつら含めて5人か・・・少なくないか?

 残りの3人も近づいてきた。


「お前がキサラギか?」

「ええ、おはようございます」

「・・・俺はフリッツだ、一応調査団のリーダーをする予定だ」

「なるほど、今日はよろしくお願いします」

「あぁ・・・それであいつらなんだが」

「さすがにまずかったとか?」

「いや、あれくらいで丁度いいだろう殺してないだろ?」

「そりゃまぁ怪我もしてないと思いますよ多分」

「いっそ怪我でもして引っ込んでてくれると助かるんだが・・・」

「え?」

「何でもない・・・とにかく護衛は頼む、俺達も戦えるには戦えるがキサラギ程じゃない」

「わかりました」

「それと・・・」


 おや?後ろから近寄ってくる気配が・・・俺に一直線だな後ろを見やると


「うお!?気づかれた?さすがキサラギさん!いや兄貴!」

「そいつはケイだ・・・お前が助けてくれたんだろう?」

「ケイだ!兄貴も護衛に参加するんだろ?それを聞いて俺も参加することにしたんだ!っえ?」


 俺はケイと名乗る少年の両肩に手を置く。


「よくぞ生きていてくれた!」

「へ?」


 いや~仕方なしとはいえ、あの仕打ちはさすがに責任を感じざるを得ない。


「い、いやあれは仕方なかったんだろ?俺を助けるために」

「まぁ・・・もうちょいマシなやり方があったかも知れないじゃん?ってか、よく無事だったな」

「いやー兄貴が鎧に俺を乗せて投げたときは死ぬかと思ったけど、上手く地面を滑って魔物がいないところまで逃げられたんだよ」


 バランス感覚悪い奴だったら、擦れて死ぬ確立の方が高いだろうし。


「そんで兄貴はレイクとオルトの野郎に絡まれてたみたいだけど?」

「さっき投げ飛ばした奴のことか?」

「あぁ、あいつら口だけは立派なんだけど・・・魔王がきたときも裏方に引っ込んでたし」


 弱くはないんだけどなぁと言うケイを横目にしてると件の二人が復活したようだ。


「っててて・・・なんだってんだ・・・お前どんな怪力なんだよ」

「魔王を倒したのは伊達じゃないってことか?」


 お調子者タイプみたいだなぁ、一応自己紹介をして先ほどの件はお互い様ということにした。

 

 しばらく待っていると馬に引かれた馬車が数台・・・結構あるな、眺めてる俺にデニスさんが近寄ってきた。


「全部で12台ほどだな、大体5日での収穫を予定している」

「結構・・・農地あるんですね?」

「いや、どちらかというと殆ど収穫できとらんのだ」

「農地ていうなら外でしょうしね・・・まぁ頑張りましょう」

「頼りにしているぞキサラギ・・・ケイはともかく後は使い物になるかわからんのだ」






”反応強化””思考加速””気配察知 強””範囲強化””範囲強化”ぬ・・・いや、広さが必要だから耐えろ俺。

 

 結構きついなぁこれ・・・気分転換もかねて周囲を目で見渡す。

 人数が多すぎても俺がカバーしきれないのを考慮したのか全部で30人程の男性が中心だが女性もちらほら子供はさすがに俺達だけだったが。

 護衛専門は俺だけの予定だったんだけどオルトとレイクは既にさぼってやがる、ケイは優奈達と一緒に収穫の手伝いをしている。

 俺も収穫に参加したほうが早いだろうけど、広範囲すぎるので護衛にだけ集中させてもらっている。


 収穫が始まってから結構経つな・・・もうそろそろ昼休憩かな?


「おーし、そろそろ休憩にしよう!食事を配るから来てくれ!」


 俺の昼食は後で済ませばいいだろと思ってたら優奈達が来た。


「たつくん、お疲れ様ご飯だよ~」

「いや、俺は立ってただけだからな、優奈も収穫なれてなかったろ?お疲れ」

「やー結構楽しいね!こんだけ出来るなら料理も上手でしょって褒められちゃった!」


 アァソウダネ個性的ではあるね。


「たつご飯」

「俺は皆が食べた後食べるよ」

「・・・?なんで?」

「何でって・・・え~と護衛だから」

「守るなら食べないとだめ、お腹減ったら戦えない」

「あぁいや、そうじゃないんだけど・・・わかった食べるよ」


 範囲内には何もいないしまぁいいか。


「達也は志乃に甘甘よね~」

「何とでも言うがいい・・・勝てる気がしないんだよ」


 皆で固まってパンに何かを挟んでいるものを食べる・・・これはレタス?


「レタスに似た何かでしょうね・・・適当に味付けはされてるけど野菜だけだと微妙ね」

「明日は料理部隊に美香も参加するか、俺達のは美香に頼んでもいいかもな」

「ん~私達だけだと問題が起こるかもしれないから手伝えそうなら手伝ってみるわ」


 不味くはないけど・・・現代日本になれてると舌が肥えるんだな。


 っと、範囲内に何かが入ってきたな。


「美香悪い、これ食べといて・・・ちょっと行って来る」

「何かきたの?」

「多分な、結構遠いからその間に追い払うなりなんなりしてくる」

「たつきをつけて」


 あいよ・・・”脚力強化”と駆け出そうとしたところで


「兄貴俺もいくぜ!」

「え~」

「な、何だよそのあからさまに嫌な顔は!」

「いやだってなぁ?」

「お、俺だって戦えるぞ!」


 まぁ押し問答とか時間の無駄か。


「わかった、方角はあっちだお前はゆっくり来ていいぞ」

「いやいや!?ついていくし!ってはええええええ!?」


 別に戦闘に参加してもいいぞ?おいつけたらなぁ!

 フーッハッハッハーと声を残して駆ける。


「ケイ君?行くなら行きなさい?すぐ終わっちゃうわよ?」

「お、おう!」


 ようやくケイっぽい気配が動き出したが、遅い遅すぎる!戦いは始まる前に終わってるのだよ!






 っとと・・・あいつか。

 


 

 全長・・・5mはありそうな熊っぽい・・・あれも怪物だろうなぁ。

 何せ目が一杯ある多すぎて口がどれかわからんくら・・・あぁなるほど顔中に目があってその中央に口がついていた。

 中々気持ち悪い顔をしているな、体は毛で覆われていて鱗や装甲の有無は確認できず。

 後は・・・気性か怪物は例によって敵対心高いけどこいつは?

 隠れるつもりはないので姿をさらすと数秒見つめあう状態に。


「グルル・・・?グルアアアアア!」


 ファーストコンタクト失敗、熊型は獲物だとばかりにこちらに突進してくる。


 人型よりは耐久や力は高いと考えた方がいいだろうな。


”思考加速””反応強化””脚力強化””腕力強化””身体頑強””気配察知”


 そういえば魔王が率いてた中に動物型はいなかったな・・・操れなかったか?

 熊型は突進の勢いそのままに突っ込んでくる。

 力比べをするにはまだ早いかな・・・ギリギリまで引き寄せて飛び掛ってきたので頭を踏みつけながら後ろに抜ける。

 踏みつけたときに思いっきり力を込めたので地面に頭がめり込んだ。

 勢いあまったのか頭を支点にそのまま宙返りでひっくり返っていった。

 もちろん頭は地面に埋まったままのわけで。


―― ゴキンッ ――


  


 えっと?


 


 あれ?




 ふむ?




「あ、兄貴?やっと追いついた・・・ふぅ・・・あれ?敵は?」

「追いついたかケイ・・・あれだ」

「あれって・・・うお!?でか!?あれって熊・・・か?兄貴もう倒したのか?」

「うむ・・・倒したというかなんというか・・・まぁなんだ?こいつどうする?」

「う~ん、食えるなら持ち帰りたいな・・・狩が出来ないから肉は貴重なんだ」


 あぁ明日の昼食が美味しくなるなら持って行くか。


”気配察知 強””範囲強化””範囲強化””腕力強化””脚力強化”


 血抜きとかはさっぱりわからないのでとりあえず担いで・・・ケイに手伝ってもらっても引き摺る形となったが。





「また、えらいもんを狩ってきたんだな・・・どうやったんだ?傷一つないが」

「そりゃあれだぜデニスさん!兄貴が何か凄いことしたんだよ!」

「いや・・・まぁ・・・うん・・・一発入れたらこうなった?」

「ほう・・・たった一発か、キサラギは本当に強いのだな・・・いや、頼りになるしこいつの肉は食べられるかわからんが、どちらにせよ毛皮は助かる」


 担いで帰ってきた当初は、熊の魔物!?と驚かれて警戒されたが俺だとわかると歓迎された。

 その後ルッドさん主導で血抜きをする、さすがに年季の入った狩人(後で聞いたら町一番の狩人だったらしい)の手による解体は鮮やかなもんだった。

 血の匂いを危惧したが、熊型以外の反応はなかった。


 そういえば、魔王を退治して人型の怪物も結構倒したけど全部じゃないはずなんだが・・・残りはどこにいったんだ?優奈がいうにはしばらく動きを止めた後まるで統率が取れた人間のように撤収したとのことだが、どこに撤収したんだ?







「ふむ・・・今日は助かった、予定よりも多く収穫できた・・・これは嬉しい誤算だったが君のところのお嬢さん方の収穫率も良かったのが助かったよ」

「へぇ・・・女性しかいなかったけど役に立ちました?」

「とんでもない、そこらの男よりはかなり使えるぞ・・・ノザキは明日は昼食作りの手伝いをしたいと言っているんだが?」

「あぁしていいならさせてあげてください、彼女料理得意ですよ」


 収穫よりも料理で士気を高めてくれそうな気がするな。

 

 さて、とりあえずは一日目は終了かな。


「あ、兄貴!俺に修行を特訓をつけてくれ!」

「いや、無理だから」

「な、何でだよ!?」

「俺の力は修行とかで身につけたものじゃないから指導とか出来ない」

「いや修行といったら他にもあるじゃんか?」

「他?」

「滝に打たれて精神修行とか!丸太担いで走り回るとか!」

「それ俺は別に必要ないだろ?」

「・・・あ」


 うむ、一日目終了!

戦闘があっさりとしすぎた?

いや・・・気づいたら熊の首が・・・ね?


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