司祭様とお話
「おに~ちゃん♪ここが教会だよ!」
「見るからに教会っぽい建物だな」
世界が違うものでも教会のイメージは一緒らしい、いや日本の仏教だとまた建物が変わるか。
エナが案内してくれた教会は一般的なものはよく知らないが、教会はこれですと説明されればあぁなるほど確かにとは思うだろう。
エナと志乃に両手をひかれる状態で眺める。
「たつ・・・教会ってなにするの?」
「お祈りとかかな?後は、懺悔?」
「ざんげ?ざんげってなに?」
「え~っと・・・生まれてきたことを悔い改めて何か反省するんだよ」
明らかに違う気がする、美香が呆れたように。
「達也・・・今まさに懺悔するべきだと思うわよ・・・志乃、懺悔っていうのは自分の行いを反省するため神父さんに罪を告白して悔い改めることよ」
「たつはくいあらためる?」
その説明もあってるかどうかわからんけどな!
「やっぱり温めないとだめ?」
「何を!?」
「それでたつくん司祭さんとお話って何するの?」
「え?いや・・・何だろうな・・・多分攻撃したの司祭様なんだよな、そう考えると会っていきなり滅されたりして?」
「いやいやいや、司祭様はそんなことしないよおに~ちゃん!」
エナは現場を見てないからなぁ・・・あぁていうか司祭様が攻撃したことは内緒にされてるのか、そりゃそうか。
一応町を救った英雄に不意打ちで攻撃しました、なんてそれこそ司祭様が懺悔だよ。
あっはっは
「おや?礼拝のご利用ですかな?どうぞ・・・おや?」
一人芝居をしてたら志乃に訝しげな目で見られ・・・カイロを取り出そうとしない!それに教会の裏手からいつぞやの爺さん・・・司祭様が現れた。
「これは、お客人・・・いや、キサラギ殿でしたかな?」
「え、あ、はい」
いかん、どう接するか決めてなかったから動揺が激しい。
「おぉ、これはすみませぬ・・・あの時はわしもどうかしてたのじゃ、すまんかったのう」
っ軽!?いや、俺はごたごた嫌いだからいいんだけど・・・美香が
「いやいや!いくらなんでもすまんかったの?で済ませられる攻撃じゃなかったわよ!?」
「ぬ・・・とは言われてもな、わしも何故あんなことをしたのかよく覚えておらんのじゃ」
「おらんのじゃ?じゃない!耄碌してるわよ!何考えてるのよ!」
「耄碌なんてしとらんわい!失礼な娘じゃの!?年寄りには敬意を払わんか!」
「達也に不意打ちで攻撃するお爺さんに敬意なんて払えるわけないでしょ!」
くそ爺とか言わないだけまだ気を使ってるのかもしれないな。
「くそじじもうろく?」
志乃ー!?
「し、志乃ちゃん・・・思っても口に出しちゃだめだよ?たつくんに怒られちゃうよ?」
「ん・・・それはやだ、たつごめんなさい」
お、おう?うん?
「あちゃーミカおねえちゃんメチャクチャ怒ってたんだね、お見舞いに来てたときはそうでもなかったのに」
「そうなのか?」
「う~ん、私が見た限りだとみっちゃん目が笑ってなかったよね?」
「ん、みかすっごい怒ってた」
まぁ人のために怒れるってのはいい感情だと思うけど・・・白熱してるなぁ。
「だいたい何で小娘はそんな怒っておるんじゃ?小娘にはかんけいあるまい?」
「関係あるわよ!」
「じゃから何の関係なんじゃ?」
「達也は私の仲間よ!仲間を理不尽に攻撃されて怒らない人がいる!?」
「ふむぅ?それだけに見えんのじゃが・・・恋人じゃったか?」
「んな!?ち、違うわよ!確かに大事な人だし・・・(好きになってきちゃってるけど)」
「あん?わしは爺なんで耳が悪いんじゃよ、なんじゃって?」
「うるさい糞爺!とにかく達也にちゃんと謝りなさい!」
「さっき謝ったんじゃがのぅ・・・キサラギ殿、この通りじゃ爺を許しておくれ?」
この町でも謝るときは頭を下げるのか、いやそれより
「いや、こちらとしては・・・まぁ美香が怒ってくれたので・・・許します。」
「む、そうかありがとうキサラギ殿・・・これでいいかの小娘」
「このクソジジイィィ」
「ちょ、美香落ち着け」
今にも突っかかりそうなので羽交い絞めにして司祭様から離す。
「落ち着けよ、気持ちはわからんでもないが白熱しすぎだ冷静に冷静に」
「・・・ぁ・・・ぅ・・・ぁ・・・ぅ・・・」
おう?あーあーうん悪かった悪かった・・・羽交い絞めを解いて頭を撫でてやる。
「ぁぅぁぅぁぅ・・・た、達也?」
「はいよ?」
爆発するんじゃないかっていうくらい真っ赤でございますねお嬢さん。
「も・・・」
「も?」
「もっかい・・・」
「・・・え?」
「な、なんでもない!」
無性にやりたいけど、さすがにこの視線の中は厳しい・・・ヘタレ・・・うるさい!
「た、たつくん!まだはやいよ!その段階は早いよ!ずるいよ!」
「ん・・・へたれ?」
「おに~ちゃん私も~」
優奈が意外にも初心ですね、そして志乃が容赦のかけらもねえ!エナは抱きつくな!
「ふぉっふぉっふぉ、とりあえず中にどうぞキサラギ殿・・・エナはお茶の手伝いをしておくれ」
「わかった司祭様!」
裏手から教会の中に入る、礼拝堂の裏手にあたるようだ・・・司祭様は教会の中に住んでいるらしい。
リビングらしきところに通されて、エナがお茶をいれてくれて一息つく。
「ふむ・・・こちらに訪ねてきて頂けたということは体の方は大丈夫でしたかな?」
「ええ、まぁ2日程寝たら大分よくなりました」
「それは、重畳・・・わしはこの町で司祭をやっておりますコーンニドル・デバスと申すものです・・・さて、改めて町をお救い頂きありがとうございました。」
「ええまぁどういたしまして」
「それに、あのような攻撃をしてしまい誠に申し分けありませんでした」
「それなんですが・・・覚えていないというのは?」
「・・・信じてもらえるかはわかりませぬが、わしが授かった力でわしは神の声が聞こえるのですよ」
「神の声?」
「ええ・・・とはいってもわしが神様だと思っていたのじゃが・・・あのようなことをわしにさせるとは思わなんだ」
「つまり、あの攻撃は洗脳かなにかで?」
「それが・・・気づいたらわしも住民に介抱されておっての・・・わしがキサラギ殿に攻撃をした後倒れたと言うのでの」
「攻撃したことはわからないけど神様に何かされたのはわかるんですか?」
「うむ・・・町を出る直前神の声をわしは聞いたはず・・・なんじゃ」
「・・・一応聞きたいんですけど、それは眼鏡をかけた男ですか?」
「む・・・?めがね?」
「あぁ・・・えっと・・・こう、四角いガラスをはめこんだ仮面?みたいなものをつけた男でしたか?神様って」
「ふむ・・・?いや、神は声しかわしに届けてくれんのです、それも妙齢の女性の声でしたのでキサラギ殿が言ってる者とは違うかと・・・お知り合いなのですか?」
「いえ、一応確認しただけなので・・・その男は別の場所にいるはずなので」
「そうですか・・・まぁとにかくも聞いたことも攻撃したことも覚えておらんのですよ」
伊藤グループが関与していたわけじゃないか・・・まぁさすがに疑いすぎか。
「じゃぁ、魔王の核ってのも覚えていないんですか?」
「ふむ?魔王の核?」
「ええ・・・魔王らしきかい・・・魔物を倒した時に出てきた珠です」
ってあれ?そういやあの珠どこにやった?
「ん・・・たつわたしがもってる・・・だ・・・ん・・・どうする?」
あぁ志乃が異次元ボックスにいれといてくれたか・・・ここで開いていけないのに気づけるとか賢いな志乃は、言いかけたのには目を瞑ろう。
「いや、それも覚えてないならこちらで処理しておきます」
「そうかの?苦労をかけるのう」
その後は普通に雑談となった。情報交換といっても司祭様達・・・町のほうでもまともな情報は持っていないのだから交換するほどでもない。
「そうですか、キサラギ殿達も別の世界から町ごと飛ばされてきたのですか」
「ええ・・・ただ、アルランの町とは中身が違いますけど」
「ふむ?」
「なんというか、俺達のほうは町の住人だったわけじゃなくて一緒の世界から来たという共通点しかないんですよ」
「ふ~む・・・それでよく生き残れましたな」
「それはまぁ・・・能力でなんとか・・・魔物よりも人間からの襲撃のほうが多かったですし」
「そう、その能力?ですじゃ・・・キサラギ殿はどのようにお考えで?」
「・・・?といいますと?」
「ふむ・・・キサラギ殿達の町ではみな能力を頂いているようだという話でしたな?」
「ええ、確認してきた限りではですけど」
「わしら・・・アルランの住人は少人数だけ力を授かったのじゃよ」
「もしかして司祭様もそれに問題を感じてます?」
「あたりまえですじゃ・・・力を授かったものと授かってないものがいると言うことは」
まぁ俺が前考えたみたいに迫害やら戦争やらの引き金になるよなぁ
「さすがにアルランではそのようなことは起こっておりませぬが・・・時間の問題だと思うのです」
「でしょうね・・・けど、力を授かった人は大体が・・・」
「ええ、血気盛んな者は何人か亡くなってしまってのう・・・防衛戦力が大幅に消えてしまったのです」
「迫害とか戦争云々の前に町が危機ですよね、それ」
「そうなのですよ・・・魔王もきてしまったし、幸いキサラギ殿が撃退してくれたものの・・・依然町の防衛力は低下したままです」
「・・・あー予めいっておきますけど、ある程度の護衛はともかく町に定住する気はないです」
この辺はキッパリ言っておこう、期待させても悪いし・・・誰かを人質にとるようなら・・・センメツ?・・・手段としてそれも取りえるな
「いやいや、さすがに客人にそこまでしてもらうつもりはないぞ、町の誰かは言いそうだがそんなことをしていたら遅かれ早かれアルランは滅びるじゃろうよ」
「一応、冬?があるかは知りませんが、その前に作物の収穫護衛と周囲の調査には協力しますので」
「む、そうなのですか?ありがたい・・・さきほど言ったように戦力が消えたのが痛くてのう、頭が痛い問題だったのです」
と、そういえば
「司祭様・・・そちらの世界の言葉って何語ですか?」
「わしらの言葉・・・?そういえば・・・」
言葉が通じるのは助かるから今まで気にもしてなかったが、落ち着いたら凄い違和感が出てきた。
話は通じるし、文字も書いてもらった限りでは日本語で読み取れる、こちらの文字も読み取れるらしい。
言語能力は共通で与えられたのだろうか・・・出来すぎてるな、確実に黒幕がいるってことだよなこれ。
「不思議なこともあるもんですのぅ・・・いや、これも神のお導きか」
その神様に唆されたけどね爺さん
「その神様に唆されたのはどこの爺よ」
「ぬ・・・まだ怒っておるのか小娘・・・そんなんじゃキサラギ殿の心は仕留められんぞ」
「な、うぅぅぅぅるさい!クソジジイ!達也は関係ないでしょ!」
「ふぉっふぉっふぉ?ほれ、また怒る・・・はぁそんなんじゃ婆さんになっても無理じゃろうのう・・・嘆かわしい」
「こ・・・の・・・く・・・そ・・・じ・・・じ・・・いいいいいい!」
・・・楽しそうだな爺さん・・・何だよ俺を見てウィンクするな・・・え?なに?また羽交い絞めにしろと?爺さんが小声で
「(ほれ、今ですじゃ!がばっと!抱きしめて!)」
いや、やらないぞ?「っな!?それでも男ですか!?」知らんがな
「ふふふ・・・覚悟はいいかしらお爺さん?」
ほれ、般若・・・いや、えっと麗しの姫が怒ってらっしゃいますよ・・・ワニ君4体くらい出してるけど・・・骨は拾ってやるよ爺さん
「キ、キサラギ殿!?ノザキ殿が持っておる禍々しいものはいったい!?」
「大丈夫よ・・・ご老体に鞭打つようなことはしないわ・・・そうこれはマッサージよ腰やら体に効くね」
「ぬおおおおおおおおおおお!?」
初老の割には機敏な動きで爺さんが逃げる・・・追う二足歩行のワニ(ぬいぐるみ)
「美香?4体も操れるようになったのか・・・?」
「ええ・・・レベルは上がってないんだけど、気負わずに操作できるようになったわ」
こんだけ出来てもレベルが上がらないってのは・・・何かきっかけが必要なのかな?にしても
「暇なときにやってる特訓は効果あったんだな・・・」
「そのうち達也の援護できるようになるかもね?」
「・・・おじいさんすごくはやい」
「ぬおおおおおおおおお!わしもまだまだ捨てたもんじゃないのぅ!ふはははは!ほれ、わしを捕まえてみやがれってんじゃ!」
「そろそろ許してやれば?」
「えっと・・・」
なぜ目をそらす?
「その・・・あれって実は自動で動いてるの・・・」
「まじか・・・」
俊敏に逃げ回る爺さん・・・追いかける二足歩行のワニ・・・よくわからん光景だな。
あかん、この物語の方向性がわからん




