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不法侵入からの一夜

 改めて町を見渡す、理由はわからんが怪物たちは東側に集中している、何かあるのかもしれない。西側から侵入するか。この娘どうするかな。


「俺は町にいこうと思うが、君はどうする?」

「え?置いていかないで欲しいです」

「ん?まぁ安全面での保証は出来ないけど、ついてくる?」

「っはい!・・・ところで如月さんは、おいくつなんです?」

「先月成人式を迎えた二十歳だ」

「おぉ大人ですね」

「いや、自覚がないうちは、まだ子供だな」

「ってことは達也お兄さん・・・いや、たつにい・・・いっそのこと、たつくんだね!」

「どうしてそうなった!?・・・もしかして同年代か?」

「しっつれいな!私は十四歳です!」

「君の方がよっぽど失礼だよな!?」

「そんなことより、たつくん?何で西側から回り込んでいるの?南からの方が近いよ?」

「そんなこと・・・丘の上から見た限りでは、東側に怪物が集中してたんだよ。一応人?っぽいのもいたが・・・様子が変だし、接触したくはないな」

「あの距離から見えたの!?」

「あぁどうやら”肉体変化”ってのは意識すれば、身体の一部を強化できるようだな。レベルがあるから、そのうち全身強化もしくは変身出来るようになるかもな」

「なるほど、そうなると”機械掌握”って何だろうね?異世界にも機械があるのかな?」

「現実を見ろよ、現に目の前に近代風の町があるんだから」

「き~こ~え~な~い~」


 他愛もない話をしながら、町に侵入する。地面との境目には亀裂がありデコボコしている。・・・後から町ごと移動してきた感じか?転移してきた?町を?何のために?


 袖をひかれたので、思考を保留する。


「とりあえず、近くの民家にいってみよう、どこに何がいるかわからないから、慎重にな?」

「うん、わかったよ」


 周囲を警戒しながら一軒の民家に近寄る。庭付きの平屋だ、半開きの外門を通り侵入する。―ギギギィ―うおお!?音でかいな!?ビクビクしながら玄関に辿り着く。


「チャイムおしてみる?」

「電気通ってないだろ?」

「じゃあ、ノックだね!」


―コンコンココン― ―ガチャ―


「あれ、空いてるよ?」


 うおい、最近の若いもんは躊躇って言葉を知らないの!?驚愕している俺をよそに彼女は家に入っていく・・・って待てコラ


「ふぎゃ!?」


 襟首を掴み、引っ張る


「けほけほっ、な、なにするの?」

「何があるかわからん、先に俺が中の様子を伺うから待ってろ。何かきたらすぐに知らせろよ?」

「うん、わかった」


 やれやれ、返事だけはなんとやらだな。ともあれ、家の中に入り様子を伺う・・・気配のよみかたなんてわからん、耳に意識を集中してみるか・・・何かが流れる音が聞こえる。


 日本人の感覚では違和感があるけど、緊急事態につき目をつぶってもらおう。土足で上がりこむ、廊下から各部屋へ繋がっているようだ。音は正面、多分リビングのほうから聞こえる。


 手前の部屋から人がいないかを確認し、音のするリビングまでくる。どうやらキッチンから聞こえてくるようだ。水道がもれてんのか・・・?いや、冷蔵庫の氷が溶けて流れ出てるのか・・・ってそんな音よく聞こえたな、強化しすぎもあれだな、調整が難しい・・・っと!?すぐ後ろから呼吸音が聞こえ!?


「来ちゃった♪」


 坂口さんがいた・・・


「どうしてここに?っあ、何かが来たのか!?」

「ううん?暇だったから入ったの」


 そうか、暇だっただけか・・・よし教育的指導チョップ!!


―ビシィッ!―


「痛いっ!?女の子に何てことを!」

「あほう、待ってろって言っただろ」

「アホって酷い!」

「うるさいおバカ、何かがあってからじゃ遅いんだぞ」

「心配してくれたの?」

「・・・いや?目覚めが悪くなるのが、嫌なだけだ」

「な、何それ!?・・・ふぁっ?」


 機嫌悪いままだと面倒そうなので、適当に撫でておく・・・っと、そんなことより


「とにかく水と食料の確保だ、それから使えそうな物だな」


 水は貯水タンク分はもつだろう、食料や缶詰はともかく、生鮮品は早めに処理しないとな、氷が溶け出してるってことは、今日辺りは大丈夫だろう、あぁそうか救急箱みたいなものも必須だな。心のメモ帳に必要物資を書き込みつつ、仕分けを続ける。火の問題は坂口さんが棚から、ガスコンロを見つけてきた。後はライターくらいは欲しいな。


 とりあえずの食料の確保は出来た、まぁ近々コンビニかスーパーに行くべきだな。今日は状況の把握と、落ち着ける場所の確保と考えよう。


「とりあえず飯の準備はしとくか」

「うん?お外まだ明るいよ?」

「電気が使えないんだ、光源がカセットコンロはまずいだろ」

「あ~じゃぁお肉とお魚だね!」

「それはそうなんだが・・・坂口さんって料理出来る?」


 俺は御多分に漏れず、料理は出来ない。創作自滅タイプじゃないので、レシピがあれば頑張るタイプだ。


「か、家庭科で習ったから大丈夫!料理は気合だよ!」

「あ、はい・・・肉はフライパンで焼くだけにするかね。魚も焼けばいいだけのやつにしよう、あとは捨てる」

「ここって女子力を見せつける場面じゃないの?」

「犬にでも食わせとけ、適当に作っておくから・・・そうだな空きカンはあるから、糸を探してくれないか?」

「縛るの?」

「そうだな、勝手な行動しないように縛ろうか?」

「い、いってきまーす!」


 そんなやり取りの後、料理をする。肉と・・・もやしでいいかいっぱいあるし、もやし万能。ご飯も炊いてはみたが、ちょい水が多かったな。炊飯器以外で炊いたの初めてだし、まぁ上々だろ。各種料理(焼いただけ)を済まし、戻ってこない坂口さんを呼びに行く。


 寝室で家捜してるのを発見する。


「糸あった?」

「裁縫道具一式あったよ、それと懐中電灯発見した!」

「おぅでかした、懐中電灯は心強いな」

「えへへ、偉い偉い?褒めて?」


 適当に撫でて機嫌をとり、受け取る。


「っふぁ、ん~にゅぅ」

「変な声だすな。先に食べてていいぞ、俺は警報装置をし掛けてくる」

「うん?警報?じゃぁ先行ってるね」


 さてと玄関には鍵はかけられるから、さほど心配はしてないが、念のためだ。外門までいき、見えない位置に空きカンを置いて、糸で細工する。外門を開くと引っ張られ空き缶が盛大に鳴るようにしといた・・・突風吹いたら誤報になりそうだ。ま、まぁ警戒しすぎってことはないだろ、家に戻るか。


「本当に焼いて味付けしてるだけだった!ご飯は水多い!」

「済まんな、女子力が低くてな」

「あ、あう・・・お、美味しいよ?」


 食事を済ませ、再びの家捜しタイム。・・・結果どうやらこの家は三人家族らしい事がわかった。タバコを吸う人がいなかったようで、ライターは見つからなかったがチャッカマンがあったので、よしとする。まぁ明日あたりコンビニ捜索だな。


 日が沈む前に布団を引っ張り出してくる。地球だと秋頃だったが、ここもそんな感じだ。


「これからどうするの?」

「テンプレだと帰る方法を調べるか?」


 まぁ望みは薄いがな。


「そもそも、異世界かもわからん。異世界人の姿がないだろ」

「う〜ん・・・ここで暮らすの?」

「いや、明日から探索してみようと思う。それと能力のレベルアップも模索したいな」

「うぅ機械掌握ってなんなのぉ」

「そうだな・・・これ持ってみ」


 懐中電灯を手渡す。


「どうするの?」

「スイッチに手を触れずに明かりつけてみ?」


 っと言った瞬間、パッと明かりがつく、スイッチはオフのままだな、懐中電灯を取り上げてみると、明かりは消える。これは、想像力が武器になりそうだな、漫画家とか有利そうだ。


「おお!?私エスパー!?」

「メチャクチャ地味なエスパーだな」

「む、むぅ、たつくんだって見た目変化ないから地味じゃん」

「見てわかる能力よりは、利点多いぞ」

「う~もぅ寝る!」


 ありゃ不貞寝した。まぁ寝るか、月明かりはあるけど夜目は効かない、意識して光量調整と念じる・・・大分見えるようになった、知識なくてもアイデア次第だな。っと一応少し離れるか、女の子だしな。


 離れる気配を感じたのか


「どこ行くの?」

「うん?少し離れて寝ようかなと」

「やだ、傍で寝て!」

「お、おう?男の傍とか嫌じゃないか?」

「たつくんなら平気、そうだ手を繋いで寝よ!」

「え、え~」


 一日で随分懐かれたな、計算かもしれんが・・・いや、素直に心細いってことにするか。

 手を繋いでお互い布団で寝る。


「おやすみ」

「おやすみ、離したらひっつくからね!」

「勘弁してくれ」

「喜ぶところだよ!?」

「シャイなんです」

「ぬ、ぬう」


 そんなこんなで異世界?での初めての一日が終わる。これからどうなることやら。


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