トナス一家
「いや、最後誰だよ!?」
ぬ?見知らぬ天井・・・天井?ええっと?おじさんが救援要請で魔王と戦って上から光ピシャーで俺の厨二病が再発しての左腕が魔王消し飛ばしてじじいが偉そうに・・・つまり?
「お、目が覚めたのかキサラギ君、気分はどうだい?」
確か・・・ルッド・トナスとかいうおじさんか?じじいが偉そうにしたあたりで記憶が曖昧だな。
「えっと?ここはどこですか?」
「ん?あぁ・・・君は倒れたんだよ、体に致命傷もないし呼吸も安定してるから薬師様は安静にしてれば勝手に目を覚ますとは言っていたけど、丸一日眠り続けていたから心配したんだよ?」
「む・・・それは、ご心配をおかけしてすみませんでした」
「い、いやいやいやいや!謝らないといけないのはこちらだし・・・何よりも、町を救ってくれてありがとうキサラギ君」
結果的に救ったとはいえ、自分よりも年上に頭を下げられると居心地の悪さが半端ないな。
おじさんを宥めて・・・そういや
「優奈達はどこに?」
「彼女達なら妻と一緒に料理をしてくれてるよ」
そうか、料理をしているのか・・・待て・・・達?
目を見開く俺に何かを感じたのかおじさんも慌てだした。
「ど、どうしたんだい!?やっぱり怪我は重いものだったのかい!?」
「い、いや・・・そうじゃないんですけど・・・達って三人で料理をお手伝いしてるんですか?」
「うん?多分そうだと思うけど・・・どうしたんだい?震えているが」
いや、待て早合点をするな如月達也・・・美香も一緒なんだ滅多な事にはならないはず、最悪隔離くらいはしているだろう。
と、そこで部屋の扉が開かれた。
「ルッド?お夕飯出来たので食べてください。キサラギさんの方は私が見ておき・・・あら?」
「どうも、お世話になっております」
あらあらまぁまぁと、リアルに言う人初めてみた。歳は20代あたり長めの髪を途中で縛っている。色は淡い茶色・・・ルッドおじさんのほうは濃い茶色だから、子供の髪色は中間なのかな?と、おじさんの方を見る。
「おぉ、メリー今さっき起きたんだよ。紹介しようキサラギ君、妻のメリーだ」
「メリーです、この度は町を救って頂きありがとうございました、家族共々・・・もちろん町の皆も感謝しております」
「あぁ、いや・・・まぁどういたしまして」
感謝はいいんだけど・・・畏まれるとどうもな・・・ん?メリーさんの影に小さな子が見えるんだが、子供?
「ほら、エナもご挨拶は?」
「こんにちわ!お兄ちゃんって志乃のお兄ちゃんなの?」
と、唐突に何?年齢的にはともかく、血のつながりとかはないよと言う。
「ふーん?あ、でもお兄ちゃんじゃないほうが志乃はいいのか」
お兄さんに値しないというのか・・・何てことだ。と、そこで
「あ、やっぱり起きてる!ほらほらみっちゃん!志乃・・・ちゃん?あれ?」
「人形で確認したから、見なくても起きてるってわかるわよ」
うむ、一日ぶりらしいが優奈達も元気でいいな・・・志乃は?ぬ?背中に誰かがのしかかってきた。
「志乃・・・異空間で背後とるのは如何なものかと思うんです」
「ん・・・練習?」
カイロを持ってないことを確認して、ならいいかと背中にのしかかられたままでエナちゃんを見やる。
予想通りというか茶色の髪に、多分志乃とそう変わらない年齢と思う容姿をしていた。優奈よりは年下だろう。
「改めて、始めましてエナ11歳です!よろしくね、おに~ちゃん♪」
「む・・・エナ・・・ずるい」
「お、おう?」
やけに親しげなんだが、懐かれないよりはましか?
「挨拶はその辺にして夕飯にしましょう?キサラギさんは起き上がれますか?」
「あ、メリーさんたつくんは食べさせてもらうのが好きなので、私達が食べさせてあげるの!」
「あらそうなの?うふふ」
待て!何を勝手なことをいっている!起き上がれる!俺は起き上がれるんだぞー!
「はい、おに~ちゃん♪あ~ん」
・・・
「たつ、あーん」
・・・・・・
「たつくん、あ~ん」
・・・・・・・・・
「えっと、た、達也?あ、あああ・・・あ・・・あーん?」
とりあえず美香のを食べる。うむ・・・優奈が参戦した割には普通のシチュー・・・この町・・・アルランの世界の野菜を使ってるからか、独特の味と香りだが・・・これはなかなかいける。
「「「っな!?」」」
「ううう・・・何で私の食べるのよぉ」
死ねば諸共だ!恥ずかしがってる奴から撃沈していってやる!
「キサラギ君、あ~ん」
ッパク・・・!?メリーさんが何で参戦してんだよ!
「む、娘ならず・・・妻まで!?エ、エナ?お父さんも食べさせてもらいたいな~?」
「はい、おと~さん」
差し出されたスプーンにのっているシチューらしき何かは何故か青い。
人が美味しそうに感じる色は赤から黄色らしい、中でも橙色が一番食欲をそそるとテレビか何かで見た覚えがある。
逆に、食欲を減退させる色は青から黒らしい・・・つまりだ・・・ありていに言って美味しそうに見えない。
愛娘から差し出されたスプーンにのっている謎シチューとしばらくの間、見詰め合うルッドおじさん。
あの顔はせっかく娘があーんしてくれるのを固辞するのか?それは父親として男としてどうなんだ?と葛藤してる様子が手に取るように解る。
数秒間睨みあい、一度目を閉じ、それからなぜか俺に何かを託すかのように視線で訴えてきたけど、無視した・・・食べた。
「いや~娘からあーんしてもらえるとか、お父さん嬉しいなぁ!」
「あらあら、私ったら娘に妬きそうだわ」
「も~おとうさんったら、私はおとうさんのことも大好きなんだよ?」
「そうかい?お父さんとっても嬉しいよ!」
「もぅ、私にも構ってくださいませ・・・ア・ナ・タ?」
「何言ってるんだ、俺がこの世で愛しているのはメリー・・・君だけだよ」
「あなた・・・」
「ずるい!私は!?娘の方が好きだよね!?」
「もちろんさ!エナもメリーも僕の宝物だよ!」
「嬉しい・・・あなた・・・」
「おとうさん・・・」
多分・・・おじさんは幸せな夢を見ているに違いない。食べた直後に泡・・・(何故か紫色だったが)を噴いたと思ったら、テーブルに突っ伏してしまった。
メリーさんが言うには、大丈夫だからそのままにしてあげて?との事なので放置している。
放置するのもどうかと思ったが、邪魔者がいなくなったからか攻勢を増したエナちゃんと対抗心を燃やしたのか三人娘の対処で精一杯だった。
予想外にも美香が積極的だったのが、対処の難しさに拍車をかけていた「な、何よ?悪いの?」悪くはないです、はい。
「おに~ちゃん♪あーんあーんあーーーん!」
「たつ・・・食べないと温める・・・」
「何を!?」
「た、達也?えっと・・・初めて扱う材料だったんだけどどうかしら?」
「初めてでこれなら、とんでもない美味しさだと思うんだけど・・・まじで美香は料理上手だな」
「な、お嫁さんにするなら料理上手なんて・・・ほ、ほらこれも食べればいいじゃない!?」
「たつくんは天然なの?狙ってるの?たらしなの?私のも食べて?私も食べて?」
「普通に褒めただけだよな!?明らかに曲解してるよな!?優奈はまず、料理を習え!それと優奈を食ったら捕まるわ!」
警察機構はないけどな!後ろめたさに捕まるわ!
夕食という名の修羅場を乗り越え、結局あれからどうなったかわからないので聞いてみることにした。
「そうだね、キサラギ君が倒れた後からでいいかな?」
「えぇ、お願いします」
多少青ざめてはいるが・・・体調にそこまで影響はないんだろう、うん・・・うちの優奈がすみません「決め付けるのはよくないよ!」だまらっしゃい。
「司祭様は、悪魔だ!滅するのだ!って仰っていたけども、さすがに司祭様といえども町の英雄を悪魔だなんて・・・そりゃはとんでもない力だったようだけど、命の恩人にあれはないと私は思うんだよ。あぁいや、私だけでなく町の皆もそう思ってくれたらしくて、暴れる司祭様を何とか皆で宥めて手の空いた者でキサラギ君達を我が家に招いたのさ。勝手に悪いとは思ったけど、薬師様に見てもらって傷の治療はしてもらったけど・・・傷の直りが早いって薬師様は驚いていたよ」
「あぁ・・・どうりで丁寧な処置がされていると・・・ありがとうございました、ある程度傷の治りは早いとはいえ、手当ては助かります」
いや、美香へのあてつけじゃないから!ほら専門家に任せた方が安心できるだろ?薬師様がいなかったらまた美香に頼むから!何で変なところで泣きそうになるんだよ!?「泣いてないわよ!」説得力ねえよ!
「たつはすぐみかを泣かす」
「志乃ー!?」
「えっと・・・改めて町を救ってありがとう・・・住人一同感謝しているよ」
「おに~ちゃん、ありがとう!」
「ええ、感謝してもしきれないですよ」
いや、まぁ・・・それはもういいですはい、お腹一杯受け取りました。
「たつくんが照れてる~可愛い~あ、それはだめだよ!」
お仕置きを察するようになってきたな・・・。
「そうだ一つ聞きたいのですが、アルランの町としてはこの世界の状況をどう認識していますか?」
「ふむ・・・司祭様がいうには別世界だと言うんだが・・・私達も最初は半信半疑だったのだがね」
「あのね、おに~ちゃん川があるはずなんだけど無かったの!隣町も丘を登れば見えたはずなのに見えなかったの!」
「っと、言ったように目に見える変化もあるしね・・・最初は街中に魔物がいたから大変なことにもなってしまったが、それに関しては司祭様や力を授かった人が何とかしてくれたんだよ」
「そういや、何で外で迎い討ったんですか?」
「それに関しては何とも・・・血気盛んな若者の暴走・・・いや、町を守りたいという意志が強すぎて外に出てしまったんだろう・・・って言われていたよ」
「誰も止めなかったんですか?」
「止めたらしいんだけど、何分ほとんどが力を授かっていた人だったらしくて止められなかったらしい」
能力を持った自信から招いた傲慢・・・いや、町を守りたかったのに嘘はないから志は評価できるが、あれは・・・
「出来れば数を見て判断して欲しかったですね・・・」
「そうだね・・・1:1なら対抗できたかもしれないけど、10倍は差があったからね」
1:1も怪しいものがあったけどな・・・戦闘に関係ない能力でも突撃してたみたいだし。
「ところで・・・件の司祭様は今どちらに?」
「いや、よく解らないのだけど暴れてたのが嘘のように・・・いつもの慈愛溢れる司祭様になっていたんだよ。キサラギ君にも感謝していたし、是非お礼が言いたいって言っていたよ」
「そうですか・・・まぁ悪魔呼ばわりされたのは置いておいて少し話は聞きたいですね」
「そうかい?それじゃ、明日あたり尋ねて・・・いや、お礼を言うのはこちらだから司祭様をお呼びしたほうがいいかな」
「あ、いや、一日寝てたらしいですし、体を動かすついでに会って来ますよ」
「む・・・そうかい?無理はいけないよ、教会は・・・まぁ誰に聞いても教えてくれるだろうし」
「私が案内するよおに~ちゃん!」
「そうかい?エナが案内してくれるなら問題ないかな」
「そうですね・・・よろしくエナちゃん」
「うん!っというかエナでいいよ!」
「わかった、エナ」
とりあえず・・・司祭様とやらに話を聞いて・・・何を聞こうか・・・まぁあっちもそう情報を持ってるとは思わないし、情報交換といったところかな?
「じゃぁたつくん、明日は司祭さんのところ?」
「そういえば、あのハゲには一度説教をする必要があったわね!」
「ん、お腹温める」
お腹温めるのは拷問か何かなのか・・・俺は拷問をされていたのか!?
「じゃぁ今日は体を休めるといいよ、また明日になったら話そう」
「ありがとうございます・・・そういえばお部屋をお借りしてて・・・すみま・・・いえありがとうございます」
「うん、気にすることはない。幸い部屋は余っていたしね」
「じゃ!たつくん寝るよ!着替えるよ!」
「傷の手当は・・・今日はもぅしてあったわね」
「みか残念?」
「おに~ちゃん私も~」
「あら、エナは今日もここで寝るの?」
「うん、おかあさんいい?」
「いいけど、キサラギさんはお疲れなのだからご迷惑はおかけしてはだめよ?」
「は~い」
「ま、待て!今日も?も!?私は聞いてないぞメリー!?」
「あなたに言うとめんど・・・じゃなかったそういう野暮なことをするお父さんは嫌われますよ」
「それとこれとは別だろう!?」
「はいはい、行きますよ~」
エ、エナー!?メリー離せ!私たちの愛娘がどうなってもいいって・・・いや、違うそうじゃない!待て!私が悪かった!話合おう!待ってくれ!お願いだ・・・メリー!?
何やら断末魔が聞こえるが・・・こちらはこちらで・・・
「さぁたつくん!脱いで!着替えるよ!」
「志乃?異次元ボックスあけて頂戴」
「ん・・・今日はどれ着せる?」
「ふふふ・・・おに~ちゃん今日も脱ぎ脱ぎしましょうね~」
意識を早々に手放して寝ることに専念しようと思う。
「「「「あ、体も拭く(わよ)から」」」」
好きにしやがれ!




