思惑
俺に戦闘は
――― 司祭 コーンニドル・デバス ―――
「い、今なんと!?」
【力が欲しいのだろう?神の威光を見せたいのだろう?魔王というのは核があってな?それを使えば力を得られるぞ】
「し、しかし今は彼のものが戦っております」
【確かに、あやつなら倒せそうではあるが、お前はそれで良いのか?】
「よ、良いも何も!魔王を倒してくれるならいいではないですか」
【確かにそうかもしれん・・・が、あやつが魔王を倒せば英雄だ、しかも魔王の力を取り込んだな】
「それがどうしたと言うのです?!」
【お前は力が欲しいのだろう?ほら・・・あやつが魔王を弱らせてくれておる・・・あやつは神の使徒でありお前の手助けをするために派遣されたのだ】
「な、わ、私めの為にですか?使徒様が!?」
【そうだ・・・奴は貴様の為だけに礎となってくれる、都合の良い生贄なのだ】
「い、いけにえ」
【そう、魔王と一緒に滅ぼしても誰も困らぬ、どちらかというと魔王を殺されるとお前が手に入れるはずだった力が奴のものになってしまうぞ】
「わたしのちから・・・」
【魔王とその使いを殺せる力は既に持っておるだろう?】
「わたしのちから・・・」
【さぁ・・・コーンニドル・デバス・・・神の使徒よ!今こそ神の指令を果たすのじゃ!これは神令ぞ!】
「お任せください」
「司祭様!?」
ぬ?いかん、意識が飛んでおった・・・眼下を見れば・・・救援に・・・いや横槍に入った者が魔王と相対しておる。
魔王はかなり追い詰められているようで頑丈そうな鎧も剣も盾もボロボロだ。
対して両腕が黒くなっている禍々しい者は傷らしい傷もない。これではどちらが魔王かわからんな。
「司祭様?」
「止めはわしがさす、護衛と一緒に外に出るぞ」
「し、司祭様!?」
止めようとする町人を跳ね飛ばし、護衛をひきつれて町の外に・・・煮えたぎる溶岩は冷えてはいるようだが、今だ高熱を発している。そのような場所・・・そう地獄のような場所で戦っているものが英雄なわけがない。
私が魔王を倒し、新たに力を経て・・・そう神の使徒となるのだ。素晴らしいことではないか。
私の授かった力は”神の代行者”そう、つまり神の力を一部だけでも使えるのだ・・・つまり光神の力を!
食らい!慄き!跪け!今、神の代行者たる私が!貴様らに鉄槌を下してやる!
”おお、神よ我等が願いを!祈りを!悪しき魔に!我等に救い与えたまえ!神の裁き!”
魔王が悪魔に切り裂かれ膝をついたところで私の詠唱が完了し・・・天から光の奔流が放たれる。
私の天撃は爆発などおきない、光が全ての悪を焼き尽くすのだ、派手さなど必要なく、ただただ悪を滅することを重視した光の奔流が周囲の魔物ごと焼き尽くしていく。
「し、司祭様なにを!?」
「神の代行たる私が天罰を下してやったまでよ・・・それより」
直前に魔王が白くなっていたような・・・ふむ?まぁいいだろう・・・護衛に命じて魔王の核なるものを回収せねばならんな。
「お前たち、魔王の核・・・いや・・・残骸を私の元までもって「し、司祭様!?」・・・なんだ?」
「あ、あれを!」
光が消えたそこには悪魔が地に伏せ・・・白い魔王が屹然と立っていた。
―――――――
何が起こった?・・・イタイ・・・生きてるのか俺は?・・・イタイ・・・天から光の爆撃みたいなもんが俺と魔王を襲って・・・イタイ・・・魔王はどうなった?・・・イタイ・・・うるせええええええ!
がばっと身を起こす・・・体中に痛みが走る・・・致命傷はないがズタボロだ・・・魔王は?
【人間・・・不本意ではあるが我の勝ちだな?】
白い魔王がこちらを見下ろしている・・・奴は無傷どころか・・・もしかしてさっきの爆撃を無効もしくは吸収した?いや、爆撃したのはどこの馬鹿だ・・・爆撃地点のすぐ傍にアルランの住人らしき集団がいるが・・・まさか味方が攻撃してきたと?いや、味方と明言はしてないけど。
【人間・・・貴様はあの町を守りにきたのではなかったのか?なぜ攻撃される?】
あぁそうかい・・・お前が答えをくれるのか・・・裏切り・・・ってわけでもないだろうけど、攻撃してきた真意がわからん・・・おまけに魔王は回復したっぽいぞ・・・どうすんだよ。
・・・ミナゴロシニシヨウ・・・足手まといすぎるだろ・・・ミカタナゾイナイ・・・守ってやったつもりはないけどさ・・・スベテコロソウ・・・なんだかなぁ・・・コロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテ・・・
【壊れたか・・・貴様の力は少々おかしい・・・なぜ、その状態で保てているのか、まぁよい】
魔王が大剣を振り上げる・・・折れたんじゃなかったのかよ
【貴様はここで死ね!】
・・・好きにしろ・・・スキニスル・・・は?
”左腕変化 黒”
ガキンっと・・・俺の腕が勝手に上がり、大剣を受け止めた。
【ぬ?まだそれほどの力が残っているのか】
いや?は?左腕が勝手に膨れ上がり伸び魔王をなぎ払う。
いや、まてまてまてまて俺の左腕の封印がああああは中学生で卒業したはず!何で今!?・・・スキニシテイイ・・・スキニスル・・・
【っぐ・・・一体貴様は何なのだ人間・・・!】
「うるせえ!少し黙ってろ!」
で?何で左腕が喋ってるの?・・・ヒダリウデジャナイ・・・じゃあなんだよ?・・・シラナイ・・・ええええええええええええ?・・・スキニシロッテイッタ・・・お前にじゃねえよ!・・・ヒドイ・・・あぁくそなんだこいつは!頭も割れそうに痛いしなんだこれ!
【・・・大丈夫か人間?】
「うるせええええええええええ!」
俺の叫びに呼応するかのように左腕が近づいてきた魔王を叩き潰す。
「魔王が!人の心配するんじゃねえ!」
理不尽だろうが何だろうが頭が痛い!そんなことはおかまいなしに左腕は魔王をひたすら叩き潰している。
【ぐああああああああああ!?】
感触がおかしいな・・・物理的なものでなく、何か中身に殴りつけてるような・・・俺の意思は関係ないようで何度も左腕は魔王を叩き潰す。
【っぐ!?ぐあ!?な、なぜ!?我の本体にダメージが!?グアアアアアアアアアア!?】
うるせえ・・・頭痛いんだから・・・頭の中で喋るな・・・もう死ね・・・殺せ・・・アイ・・・
【グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?】
一際大きく肥大化した後、勢いよく叩き付け左腕は魔王を消し飛ばした、地面に影響がほとんど出てないんだが?威力的にまたクレーターが出来そうなものだが。
・・・ヤッタ・・・コロシタ・・・いいからもぅ黙れ・・・ヒドイ・・・だ!ま!れ!・・・アイ・・・
疲れた・・・とりあえず脅威は去ったとみていいだろ、残りの怪物も退いてるようだしとりあえず町のほうは助かったと見ていいだろ。
「き、貴様!なぜ生きている!」
そんであそこの一団は何なんだ?
左腕を元に戻して”再生治癒””回復強化””気配察知””思考加速”ん?魔王が消えた跡に何か珠が落ちてる・・・拳大だな結構大きい、黒色で透き通っていて何やら中が黒く光ってるような?黒く光るってなんだよ?その光を包むかのように黒い霧で覆われている・・・そんな珠だ。どんな珠だよ。
一応・・・つんつんと指先で突き、爆発とか熱かったりしないのを確認して拾いあげる。
改めてみると、ただの綺麗な珠にしか見えないな。人によっては不気味というかもしれないけど。
「そ、その魔王の核を渡せ!悪魔め!」
「あ゛あ?」
「ひ、ひっぃぃぃぃいいい!」
いや、そこまで怯えられてもショックなんですが・・・いかにも教会のものです!宗教家です!って感じのおじさ・・・ん、初老?おじいさん?がこちらを偉そうに見ている。威圧したら仰け反った。
そもそも何で悪魔扱いされてんだよ・・・。
「で?この珠が欲しいってこと?」
穏便に・・・
「そうだ、この悪魔め!それは私のものださっさと渡せ!」
カッチーン
穏便に・・・
「まぁ、別にいいけど・・・何すんのこの珠で」
「貴様には関係ないし、それを受け取ったら次は貴様を滅する!」
なーんだ、お前は敵か・・・ミナゴロシ・・・いや、落ち着け
「とりあえずまぁこれは渡せないな・・・渡したら殺されるんだろ?」
「貴様あああああ!それを渡せ!お前ら!奪い取れ!」
護衛はとまどっているのか、じいさんの命令に従う様子はないようだ。
「貴様らも悪魔の手先に成り果ておったか!」
どうしたもんかな・・・ん?
「いい加減にしなさい!」
おや?美香?っと、志乃・・・あぁ異空間か、いきなり気配が現れるとお兄さんびっくりしますよ?
「ん・・・たつボロボロ」
「たつくん・・・毎度大丈夫?」
まぁ大怪我はしてないから今回はお腹冷やしてないことは証明できたかな志乃?「ん・・・温めてないから怪我した」準備運動か何かなの!?「あははは、今日の夜も大変なことになりそうだね?」
「貴様らはなんだ!その悪魔に手を貸すきか!」
「悪魔じゃないし!怪物から町を守ったのにこの仕打ちはあんまりじゃない!?」
「ぬ・・・しかし、お前らは悪魔の手先で・・・」
「悪魔の手先があんたらを助けるかああああああああああああああ!」
ごもっともで・・・じいさんは衝撃を受けたのか尻餅をついてる。おや?護衛っぽい方々なにか用?
「あ、あの怪我も負ってるようですし、町で治療いたしませんか?」
「そ、そうです!司祭様はちょっと混乱してるだけで私達は感謝しております!」
「兄ちゃん凄いな!魔王を一瞬で倒しちまいやがった!」
うん?じゃぁもぅ寝ていい?疲れたんだよね・・・「たつ、おやすみ」・・・おう寝るわ・・・ミナゴロシ?・・・しねえよ、お前も寝ろ・・・アイ・・・我は?・・・お前も寝ろ・・・わかった。
長くは書けない!




