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森での野宿は困難

”気配察知 強””範囲強化””思考加速”


「ここであってるの?」

「多分な・・・死体はないし、跡もないから何とも言えないけど」


 俺達が今いるのは優奈と出会った・・・というよりは俺が最初に目覚めた草原だ。相変わらず何も無い。

 向こうに見える丘を登れば町が見えるだろうし、現にその丘からここまで来た訳だが。


「お猿さん・・・頭無かったけど、誰か食べちゃったのかな」

「ゆうな、おサルさんは頭がないの?」


 俺が蹴り飛ばしたから頭がないんだけどな・・・まぁ食べられたんだろう。同種を食べるかは確認してないから何ともいえないけど。もしくは土に還ったか?早すぎるか。


 その丘を挟んで町の反対側には森が続いてるようだ。ここから見ると一面森に囲まれているので、進むならそれなりに覚悟が必要そうだ。

 別にこの森を迂回してもいいとは思うが・・・また逆側に行くのも手間だし、何より全面が森だったら同じことだ。

 目的はないし、森に進むことにする。森の怖さがうんたらかんたら言われても知らん。


「危険な獣やら怪物は近づく前に達也が気づくでしょ?」


 美香が言うように生き物であり、獣やら怪物程度なら俺一人でどうにかなる。体は万全だし、今度は怪我しないようにする必要はあるが。

 何しろ拠点の確保は難しい、野宿自体経験のない四人が碌な知識無しに冒険しようっていうんだから。

 見る人が見れば自殺志願者だろうな・・・まぁ志乃がいるから物資的な意味では安心だし、優奈も光るし「ちょっと!?」美香は料理が達者だし「さすがに動物を一から調理したことないけどね、血抜きとか必要なのかしら」何とかなるだろ。








 結論を言えば何とかなった。

 獣もいるにはいた、多分狼あたりだと思うが・・・寝るときになって何匹か襲撃、いや囲んでこちらの様子を伺っていた。

 焚き火を挟んで俺も様子を見ていたが、ふいに気配が遠ざかっていった。野生の獣は本能で戦力差を知るというのは本当なのかもしれない。


 簡単に焚き火をしてると言ったが、これは結構苦労した。火自体はライターなりマッチが豊富にあるからいいんだけど、燃料がそうもいかない。一応炭とかそういうのもあるけど限りがあるのだし、せっかく森にいるのだから薪を確保しようと俺と優奈で木切れを集めた。

 一応知識として生木は駄目というのは知っていたから、優奈にも指示して集めていたんだが・・・


「っごほっごほ、た、たつくんこれはまずいよ!」


 煙が凄まじい、多分乾ききってなかったのだろう。それはもうどうしようもないので煙が出なくなるまで、優奈と二人で集めた他の木を乾かすという無茶をした。二人とも煤だらけになったけど。

 気配察知がある俺達だから、無理をしたが・・・っていうか、煙で位置がばれて襲撃される危険を考えれば俺はアホかと。テンションがあがると人間後先考えないものだ。

 志乃は煙が届かない範囲で楽しそうにしていたからいいだろ・・・志乃と美香は二人でテントを作ってもらっていた。二つ建ててくれといったが、無視された。

 ところで美香は工作系は不器用であると言わざるをえない、最初志乃と二人でやっていたがいつのまにか志乃一人でやっていた。逆に志乃は意外にも得意だったらしく、テキパキと組み立ててしまった。説明書の類も例によってなかったのにである。

 志乃曰く「ん、みか・・・とちゅうからじゃまだった」と目を逸らしつつ言ったくらいだ・・・「な、何よ!?そ、そう・・・じゃぁ達也は今夜の夕食はいらないっていうのね!焚き火で遊んでればいいわよ!」半切れしはじめた美香を宥めるのは大変だった。


 川の近くを確保できたこともあり、特製檜風呂をここでも出来たのは助かった。何より煤だらけだったし・・・相変わらず目隠しして入れさせられたが・・・あのここ外でですね?警戒しないといけないと思うんですが・・・「だめ、たつは一人だとお腹冷やすから暖める、ついでにまっくろだから洗う」スキニシテクレ。

 志乃の中でお腹教が出来てきてないだろうか・・・お兄さん心配です。


 寝るときには見張りが必要なので俺が焚き火の傍に陣取ることにした。

 交代制が望ましいが・・・俺はともかく三人とも子供だ、そういう生活に慣れてるならともかく睡眠時間を減らすのは得策じゃない、三人は私達もやるって言ってたけど、昼寝の時間をもらうことで諦めてもらった。というより、この三人が見張りをしたとして対処できるか以前に多分、気配を絶たれたら気づかないんじゃないか?

 それは、見張りしてるとは言わないだろ?さすがにそこまでは言ってないけど、美香はそこに考え付いたのか途中から宥める側に回ってくれた。


 狼が去った後は焚き火の傍で木を乾かしつつ、美香が夜食って言って作ってくれたサンドイッチをもそもそと食べている。

 こういったサバイバルには憧れもあったが、実際は中々しんどいものがあるんだな・・・そりゃ俺達の世界が野犬の心配のないところでキャンプしてただけなんだろうけど、見張りなんて必要なかったし怪我したら病院行けば良いだけだった。

 今は見張り無しでは野営は無理、町にいるときだって一応罠やら気配察知はつけたまま・・・気配察知をつけたままだと休んだ気にならないんだよな。怪我をしたら、薬もあっても使用容量がわからないから簡単には治療は難しい。そりゃ、俺には能力で回復できる当てがあるけ他の人にはそれがない。

 三人娘用に鎧でもと考えたこともあったが、作れないし・・・体力がないと身に着けただけで潰れるのがオチだろう。


 考え事をしているとテントからなにやら・・・志乃?


「・・・といれ・・・ついてきてくれる・・・?」


 志乃を連れ立って簡易トイレ(穴掘って衝立しただけだけど)に、連れて行き・・・テントに戻そうとしたところで


「ん・・・たつのとこでねる」


 と、膝の上で丸くなってしまった、小さい子の特権である。

 うーん・・・それこそ風邪を引きそうだからテントで寝て欲しいんだけど、運ぼうとするとぐずるので諦める。

 気温も低いし・・・雪が降るほどではないが、肌寒さからいってそろそろ冬なんじゃないかな。

 一応それを見越して布団や衣類は万全にしてあるけど・・・志乃が寒くないように自分が羽織っていたローブ代わりの毛布もかけてやる。

 俺はまぁ・・・肉体変化の影響か”身体頑強”しておくと、寒さの耐性もつくらしい・・・便利だな。


 優奈も外に出てきた・・・俺達を見て・・・トイレの方に行って戻ってきたと思ったら隣に座った。


「優奈・・・お前はさすがに膝の上には乗らんぞ?」

「あはは、魅力的なお誘いではあるけど・・・志乃ちゃんに悪いし、なんか目が覚めちゃって」

「いや、誘ってねえよ・・・寒いからテントで寝てろ。眠くなくてもだ」

「なんで~?いいじゃん、なんならたつくん寝ててもいいよ火は見とくから」


 いや、見張り能力皆無だろお前・・・といいかけて寒さからか震えてるのが目に止まる・・・まぁ寒いからにしといてやろう。

 志乃をいったん持ち上げ優奈に抱きかかえさせてから、改めて二人とも毛布に包んで抱えてやる。


「わぷ・・・たつくん寒くないの?」

「俺は能力のおかげか寒さにも耐性があるみたいなんだよ」

「便利だねぇ・・・」

「人間発光も相当便利だぞ?」

「ぶー」


 頬をつつきつつ火の番をし・・・優奈が寝静まるのを待ってからテントに二人とも戻す。夜はまだ明けそうにない。テントに戻すとき美香と目があった「お疲れ様」何か小声で言っていたが、別に美香も来ても良かったぞ?「私は今度でいいわ」まとめてのほうが面倒がないんですが。








夜はまだ明けそうにない。

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