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勉強しますか?


 結局意識はあっても丸一日動けなかった。その間のご飯は食べさせてもらう形になってしまった。腕は動くから自分で食べると言ったのだが・・・カイロを構える志乃に負けた。


「志乃?カイロは武器じゃないんだよ?」

「・・・?カイロは武器じゃないよ?やっぱりたつがおかしい、お腹冷やすから」


 ぬぐぐ、通じてるようで通じていない!次に体調崩したらどんな目にあうか・・・恐ろしい。


「ところでたつくん?あの白くなったのは何だったの?」

「そういやバタバタとしてて説明してなかったな。あれは治療優先で変化させたものでな。腕や足が黒く大きくなった時があったろ?」

「そうね、その変化した手足を振り回すとひどいことになるわよね」

「ぬ・・・威力の加減が難しいんだよ!それに、卵型のときは上手くいったろ?」

「私には疲労もあって全力で振り下ろしたけど、倒しきれなかっただけのように見えたわよ?」

「たつ疲れてた」

「ぬぐぐ、まぁ黒い時は俺が攻撃するっていう気持ちで変化させてたわけよ。なら、回復やら治療するって思いながら変化させたらどうなるかなって思ってたわけだよ」

「ちょっとまって?何で足が折れてた時にそれをしなかったの?・・・っは!?まさか看病が嬉しくて!?もぅたつくんたらぁ・・・別に足折れて無くてもしてあげるよ?っあう!?」


 何やらくねくねしはじめた優奈にデコピンして黙らせる。能力を使ってないからただのデコピンだ、手加減もしたぞ。


「照れ屋さんだなぁもぅ」

「照れたのたつ?」

「ちがわい、いや看病自体は嬉しかったけど、治療を急がなかったのは別の理由だ」

「やっぱり、倒れたこと何か関係があるのかしら?」

「そうだな、思いついたときには実行しようと思ったんだが・・・使った瞬間に死ぬんじゃないか?って気がしてな」


 何というか体のあちこちから何かを吸い取るような感覚だったなあれは


「つまり、怪我の度合いによって使うエネルギー量が違うのかしらね?」

「戦闘続きで元々の体力も低下してたからな」

「そういえば、たつくん治ってから凄いご飯食べたよね」

「ん、あーんがんばった」


 あーんは恥ずかしいが、それよりお腹の減り方がやばかったからな・・・背に腹はなんとか


「とりあえず、体力が回復するまでは待機ね」

「何も来なければな」

「それ、フラグになると思うよ?」


 ありえそうな話だからやめてくれ。







 それからさらに数日体を休めながらもやれることはした。懸念だったフラグも叩き折れたようだ。


「それじゃ行動開始よね?どこに行く?」

「それなんだがな、別の場所・・・別の町?に行こうと思うんだが」

「あれ?たつくんこの町で何かするって言ってなかったっけ?」

「東側とレベルアップについてだな、東側については真が向かっていったし、人が多いのは集団を作っているからだろ?」

「そうね、真さんが言うにはかなりの人数だったって話だし」

「真も懸念してたけど、このパーティじゃ集団に交わるのはちょっとな」

「う~ん、集団でまとまっているなら、そんな気にする必要ないと思うけど・・・」

「男女比率で男のほうが圧倒的に多かったら、面倒なことにしかならない気がする」

「おじさんいっぱい・・・?」

「おじさんかお兄さんかはわからないけど、そうだった場合にな・・・いい予感がしない」


 基本的にこの世界の男は欲望に忠実・・・三大欲求の一つにやけに忠実な気がする。極限状態になると子孫を残すべく本能がはたらくとか聞いたことがあるが・・・伊藤グループに昌吾の例があるから断定は出来ないけどな。

 いや、比率が高いだけで運が悪いだけ・・・なんか同じ事を何度も考えてる気がするな。


「ともあれ、志乃の異次元ボックスも拡張されたし機能も理解できた、別の場所にいくのは問題ないだろ」

「ん、がんばる」


 異次元ボックスに入れたものはその状態で保存されるようだ、生鮮品が腐らずに何日も保存できたので食料の心配がいらなくなった。もちろん調理出来る人がいるからだけど、俺や優奈じゃ調理出来ず腐らせて終わりな気がする。「失礼な!やれる時はやれるよ!」

 それにレベルは上がってないものの空間が拡張されていた、今は前の二倍つまり縦横高さが10mになってる。10㎥ってことか・・・高さが余計な気がするが、まぁいいだろ。

 俺の体調が回復してからは、なるべく物資の確保を中心としてたので野営することになっても問題はないだろう。なんなら狩猟を試してもいい。

 

 物資を集めてる最中・・・不思議・・・いや恣意的な何かを感じた。本が一切ないのだ。

 外に出るときに役立つだろうと思って本屋を探し、実際ブック何とかって店に入った。しかし、一冊もなかったのだ。パンフレットや広告といったチラシさえ見当たらない。そういえばコンビニの雑誌コーナーにも何もなかった。燃料か何かに誰かが使ったんだろうと思っていたが、そうでもないようだ。

 つまり、この世界につれてくるときに・・・いや、この町を持ってきたときに何者かは書物・・・人の知識?を消去してから転移か何かをさせたのだろうか。

 何でそんな手間がかかることをしたのだろうか、人間って模倣は得意だし改良には凄まじい力を誰でも発揮することがあるけど・・・初めの創造にあたっては物凄い時間をかけてると思う。

 一握りの天才がこの世界に来てるならともかく・・・おぼろげな記憶で何かを作り出すことは難しいだろう。よくある内政チートだって、国や政府・・・いや村さえ無い状態で役立つとも思えない。

 種とかは確保できたけど、育て方もわからない状態から安定供給できるようにするまでどんだけかかることやら。


「うーん、確かに本が見当たらなかったわね・・・もし、達也が言うように誰かが本を消したとしたら目的は何かしら?」

「勉強しないで済むとか?」

「そういや、優奈達の教材も探そうと思ってたんだけど当てが外れたんだよな」

「た、たつくん!?異世界にきてまで勉強はいらないよ!?」

「生きるためにもある程度は必要なんだけどな・・・とは言っても教材なしに教えることは俺には出来ないしな」

「っほ・・・じゃぁ仕方ないよね!」

「うーん・・・優奈って中学生あたりよね?中学までなら紙とペンはあるし、私が何か作っておくわ」

「お?美香って頭良い?」

「みかせんせい?」

「ん~、そうだったみたい?中学までのなら思い出しながらでも教えられそうよ」

「そうか、じゃぁそれは美香に任せよう、美香の教師役はできないけど手伝いはするよ」

「べ、勉強したって生き残れないんだよ!強くなるのが先だよ!」

「精神安定のためにも必要なことなんだよ、諦めろ」

「ん、勉強がんばる」


 ほら志乃を見習え、唸るな諦めろ。学力でいえば美香に負けてそうな俺・・・ま、まぁいいか、いっそ俺も習うか。







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