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男?女?

「ギャギャギャギャギャ」


 正面の一体は満足したのか道を塞いで動かず、背後の二体が最初に突っ込んできた。足やら手やらがわしゃわしゃ動いて移動するのは中々の光景で思わず、目を背けたくなるがそうもいってられん。


「右は抑えるから左頼める?」

「わかった」


 真が右を抑えると言った途端、右側の卵型が地面に蹲る・・・いや、蹲っているわけでなく這いつくばってる?卵形を上から何かが押さえつけているような感じで、卵形は困惑したように咆哮をあげそれでも進もうと地面を擦っている。


「あまり長くは抑えられないから、急いでね」


 真を見やれば額に汗をかきつつ卵形を睨んでいる。別に手をかざしたりする必要はないらしい。ともあれ、真が作ってくれた隙を生かすべく行動開始。


”反応強化””思考加速””脚力強化””脚部硬化”


 右側が蹲っていようがおかまいなしに左側の卵型がこちらに駆けてくる。

 タイミングを見計らって俺は卵型の正面に体をさらす。


「ギャーギャギャギャ ギャギャ」


 唐突に怪物が跳び上がる、飛ぶ感じではなく手足を使ってジャンプした感じだ。

 攻撃手段が押しつぶししかないのか?空に上がる卵型をみやりつつ、タイミングを計る。

 反応強化に思考加速を併用することで、ゆっくり落下してくる怪物にあわせて横にかわす。

 そういや、怪物の下に口がついてるってことは、歯が当たって痛そうだな・・・そんな益体もないことを考えつつ・・・地面に着地した瞬間真が抑えてる怪物の方向に蹴り飛ばす。


 しかし、楕円形の形をしていたせいか卵形は真っ二つになってしまった。とはいっても衝撃全ては受け止め切れなかったらしく、半分にわかれた卵型は・・・まぁ色んなものを撒き散らしつつ真が抑えてるほうの怪物のそばまで吹き飛んでいった。


「えっと・・・なにこれ、君の足はどうなってるのさ?あいつらってかなり頑丈だよね?」

「まぁ、卵型だから柔らかいのかもしれないぞ・・・」

「達也が怪物と戦うと皆千切れたり破裂したりしてなかったかしら?」


 こら美香余計なこと言うんじゃない。ほら、真が胡散臭げにこちらを見てる。


「いや、いいんだけどさ?じゃぁまぁ抑えてるほうもお願いできる?倒すまではちょっと厳しい」

「わかった、もう一匹の方は任せる・・・なんか満足したのか動かないけど」


 通せんぼしたまま動かない怪物を確認しつつ、真が抑えていた怪物の方に進・・・足がもつれて転んだ。


「たつくん!?え、今ドジっ子アピールするの!?」

「違うわ!」


 ちょっとまて・・・脱力感が凄いぞなんだこれ


「たつ、凄い汗出てる・・・お腹冷やすから?」

「それは、関係ないだろ・・・ってうん?待て・・・動けないぞ」


 膝をついたまま立ち上がれない、右脚の治療で想像以上に体力を持っていかれたらしい。結構治りかけていたと思うんだけど、あれの治療でこの脱力感だと・・・大怪我の治療したら意識失いそうだな。

 優奈と志乃が汗を拭いてくれたり、水を飲ませてくれたりするが膝をついたまま立ち上がれそうに無い。


「えっと・・・如月動けないのかい?僕の方も抑えるのがそろそろ・・・」

「ギィギャギャギィギャギャギャ」


 体を引きずりながらもこちらに進もうとする怪物・・・動けない俺・・・どうする?


「たつくんたつくん、フラッシュする?」


 いやフラッシュだと足止めだしな、昼間とはいえあの光はかなりきついし。

 

「真、俺の手前まで誘導できるか?ここから動けそうにないから、いっそ目の前に連れてきてくれ」

「え?いや、え?うん?わ、わかった・・・大丈夫なのかい?」

「わからん、けど結局抑え切れてないなら同じことだろ」

「そうだね・・・わかった・・・如月に賭けよう」


 真が押さえつけていた念力を解いたらしい、多少つんのめりつつも卵型は体勢を整え改めてこちらに気持ち悪い動きでくる。

 手振りで優奈達を遠ざける。

 卵形は飛び上がらずに膝をついてる俺に直接覆いかぶさろうとして・・・直前で真が上から思いっきり押さえつけた。


「今だよ!」


”左腕変化 黒”


「おおおおおぉぉぉぉぉぉぉ」


 掛け声で気力を振り絞り、左腕を振り上げ・・・「りゃあああああああああああ」振り下ろす!


「ギィギャギャギャギャギャィギャ!?」


 羽は千切れて背中も陥没しているが、致命傷にはまだ足り無そうだ。


「っふ!」


 そこに真が念力か何かで怪物を吹き飛ばした。


「ギッギィッギギギギャギャ」


 満身創痍なくせにこちらをたくさんの目で睨んでくる怪物・・・殺しきれなかったか。

 しかも、まだ一匹いるんだよな。


「たつ、卵が逃げた」


 志乃に言われて視線をやれば最初の一匹が走り去っていくところだった。

 

「こっちのほうも逃げるみたいだよ」


 視線を転じれば満身創痍な方も逃げるようだ。まぁ追撃は無理だから俺達にはありがたい。







 その後、騒音やら血の匂いで別の何かがやってくるのを恐れて、志乃の異空間で移動した。

 俺の体は真が念力で運んでくれた。立って歩けるようなるまでは、かなり時間が必要そうである。

 落ち着いたところにたどり着いた所で、改めて自己紹介してみる。


 相田真あいだまこと19歳・・・男?しんと名乗っていたのは荒くれ達に襲われないようにするため、あれ?つまり女?って聞いたら殴られた。痛い・・・結局どっち?スタイルは・・・わからん、どっちとも取れる。

 能力は念らしい。レベルは2って言ってたけど、一応能力はそう口にだすなと説教しておく。笑ってかわされた。

 基本的には俺達と状況は一緒、目覚めて荒くれと行動していたが荒くれに辟易としてたところに俺達と遭遇、今に至るらしい。

 これからどうするのかを聞くと。


「そうだね・・・達也のハーレムに加わるのも吝かじゃないんだけど、少し気になる場所があるからそっちに行って見るよ」

「ハーレムってことは女だよな?」

「え?男だってハーレムに加われるよ?」

「待て!俺は正常だ!ノン気だ!後、ハーレムじゃない!」

「ふふふ、嫌よ嫌よも好きのうちっていうじゃないか?」

「やめろバカ!」

「ノン気ってなにたつ?」


 ほらぁ!志乃が変なことに興味もっちゃったよ!どうすんだよ!ってか、気になる場所ってなんだよ!


「うん?あいつらと行動してるときに見つけたんだけど・・・集団で行動してるところがあったんだ」

「ほぅ、それは俺達も興味あるぞ」

「いや、達也達はこのまま情報収集してみたら?食料も豊富にあるんだし、僕は今手持ちにないしその集団がどういったものかもわからないから、優菜ちゃん達を連れて行くのは早いんじゃないかな?」


 まぁ・・・優奈達の能力は便利系だし、容姿もまぁ・・・可愛いし・・・照れるなよ、戦闘能力がない分利用されやすい条件を満たしてるんだよな。確かにおいそれと人前に晒したくは無いんだけど。って、何この思考・・・俺はなに保護者?いや保護者か・・・いや、そうじゃなくて。


「それだと真だって安全かわからんだろ」

「まぁそうかもしれないけど、僕の能力なら逃げることも戦うことも出来るからね、一人の方が潜入はしやすいよ」

「目的が潜入になってるんですが・・・」

「これは言葉のあやだよ・・・細かいこと気にしてるとハゲるよ」

「誰がハゲだ!」

「・・・達也、そういう反応する人はハゲやすいから気をつけてね?」


 まじか!?反応したらハゲるのか!?「・・・たつがハゲてても私はがんばる」何を!?ねぇ何を!?


「はぁ・・・まぁいいや、じゃぁここでお別れって事か?」

「そうだね・・・僕としては達也と行動を共にしたいんだけどね?」

「すればいいじゃん、別に俺達側からは問題ないぞ」

「そうだよまこちゃん一緒に行こうよ!」

「そうね、年上で落ち着いてる人は貴重だと思うわ」

「ん・・・まことも一緒にお腹温める」


 どんだけ、お腹が重要なの志乃・・・


「あはは、お腹?まぁ気持ちはありがたいけど、その集団に気になる子がいてね?その子に会いたいのもあるんだよ」

「む・・・そういうことなら仕方ない・・・か?」

「うん、まぁその子が別人だったり僕の見当違いだったら達也達の所に合流するよ」

「合流つったって俺達は移動してんぞ?」

「あぁそれは僕の能力で何とかなると思うよ?特に達也はわかりやすい」

「・・・ごく最近ストーカーが出来たばっか何ですが」

「そうなの?そのストーカーさんとも友達になれそうだね」


 何でや!類は友を呼ぶか!ってか、男のストーカーは嫌だ!女も嫌だけど!


「じゃぁそういうことで僕はここらへんでね?またね達也・・・優奈ちゃん達も元気でね?達也とがんばってね」

「まこちゃんも気をつけてね!」

「何かあったらすぐに合流してほしいわ」

「まこといつ戻ってくる?」






 真と別れた後・・・まぁ俺はまたも寝たきりになったわけだが・・・志乃・・・落ち着け、それはいらないと思うんだ。


「やっぱりたつはお腹冷やすから倒れた」

「むぅ志乃ちゃんが言うならそうなのかもしれない?」


 んなわけあるかー!


「ま、足は治ったみたいだけど、そのまま看病されてなさい」


 看病はいいんだけど、カイロはやめろおおおおおおお

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