前途多難な四人組・・・それぞれの願い
ガラガラガラ・・・崩れた建物から磯田文哉は這い出てきた。
「いつつ・・・俺じゃなかったら死んでるだろ、いや直撃してたら死んでただろうけどさ、容赦ないなぁ彼も」
よほど腹にきたのだろうか?やっぱり彼には何もしないのが一番じゃないのだろうか?とは考えるが誠二の指示なので諦める文哉である。
別に誠二の能力がかかっているわけではなく、誠二と文哉はあれで仲が良いのだ。男同士の一目ぼれである。
今では親友といっても過言ではない彼が、やたらと如月達也を気にしてるのだ。親友としては気が気でない・・・あれ?
「とにかくまぁ帰るか」
「ただいま」
「あぁ文哉お帰り・・・ってどうしたんだい!その格好!?」
「あぁいや、ばれて折檻くらいかけた」
間違ってはいない、即死級の折檻ではあったが。
「け、怪我はないのか!?大丈夫なのか!?」
「大丈夫だよ、誠二・・・俺は平気さ、それよりもお前が行かなくて良かったよ・・・お前じゃ怪我をしてただろうし」
「そんな!?文哉が傷つくなら僕が行くさ!」
「・・・誠二・・・ありがとう」
そんな二人を眺める女二人
「・・・男同士の友情って素敵ね・・・ね?優子」
「私、達也君と一緒に行きたかったなぁ」
前途多難な四人組である。
「つまり、彼の能力は肉体強化系であると?」
「あぁそうだ・・・見てることは気づかれていたらしくてな、コンクリート塊を投げられたあたりで、逃げ出したから最後の強化は見てないけどな。コンクリート塊を投げつけられただけで建物が崩れて下敷きになったくらいだよ」
「投げただけでそれかい・・・右脚の負傷もあるし、別の能力も考えられるね」
「あれに加えて能力がさらにあったら手に負えないぞ」
「そうだね・・・一旦彼に対してのアプローチは打ち切ろうか」
「そうだな、次は命がヤバイ気がする。今回は彼の足が治ってないから追撃がなかったんだろうし」
ちなみにこの二人椅子に座っているわけだが・・・距離が近い・・・もう一緒の椅子に二人で座ればいいのに?と思う距離である。
「それで誠二?これからどうするの?」
「そうだね、情報集めと物資集めは基本として・・・達也君が言っていた別の町に行ってみようかと思う」
「例の中世風とかいう?」
「そうだ、誰も真相を知らないんだ、行ける地域を把握しとくのがとりあえず出来ることだと僕は思うんだ」
「そうだな、誠二が言うならそうするか」
「ありがとう文哉」
「まぁ二人がいいなら私達も構わないわ・・・優子?」
「あ、うん、そうだね?達也君達には伝えないの?(達也君私を浚って!?)」
「今は彼には何もしないで町を出よう・・・彼に対抗するためにも力をつけないとね」
「何いってんだ、危ないことは俺に任せとけよ誠二」
「・・・文哉」
「いいわぁ」
「(達也くうううううううん)」
前途多難である。
「そんじゃ、俺様達は別の町とやらに行ってみるぜ!」
「あぁ気をつけていけよ、昌吾一人じゃないんだから隠せるものは隠しとけ」
「わかったぜ!た、達也も気をつけろよ!足も怪我してるんだからよ」
「だから、男のデレは気持ち悪いだけだと・・・」
「如月様ありがとうございました。またどこかで会ったら、友達になってあげてくださいね」
「え!?まだ友達じゃなかったのか!?」
「何を言ってるんです昌吾様?友達道とは険しく厳しいものです、コミュ障脱却してない昌吾様が友達作ろうなんて・・・おこがましいにも程があります!恥を知りなさい!」
「やっぱお前俺のこと嫌いだろう!?」
出かける前から泣くなよ・・・もぅ行けよ・・・
昨日は六人でご飯を食べて一夜を共にし・・・予定通り今朝、二人を四人で見送った
チラチラ後ろ見るなさっさといけ・・・視線がうっとおしいので家に戻る。
「たつくん、どうするの?伊藤さん達をやっつけにいっちゃう?」
「駄目よ優菜、やっつけるにしても達也の足が治ってからよ」
「あ、そっか・・・それまだ痛む?」
ん?あぁいや、大分良くなってはいると思うんだが・・・歩けるか?と言われると無理ですとしか言えない。
「ん、たつはたたかってばっか、すこしやすむ」
「それもそうだね、休憩だよたつくん」
まぁ平和に過ごすつもりだったんだけど、あの馬鹿が襲ってきたからな。
仕返ししようにも出来なくなった。熱が出たのだ・・・それも立って歩けない程の高熱が。
どうやら、傷自体は塞がってはいたけど、雑菌が入り込んで潜伏・・・今までは能力であげた治癒力で相殺されていたものが、昨日の戦闘で一時的に切れたためこれ幸いとばかりに活動を活発化したらしい。
文哉さんが言っていた足を切り落とせは、もしかすると雑菌の心配も含んでいたのかもしれない。
まぁ熱は出てるけど、足は腫れあがったり熱をもったりはしてないから、一時的なものだろう・・・多分。
「えっと、化膿からの発熱って抗生物質?とかいうのが必要なのよね?」
「抗生物質?お薬かぁ・・・病院にいけばあるかな?」
例えあったとしても、医学知識がないなら下手に薬は触れないだろ。それに移動手段はともかくとして自衛手段が乏しいから、拠点を移動するわけにもいかない。
優菜と美香はひっきりなしに汗を拭いたり額の布をとりかえてくれる。
「・・・ん・・・みずのむ?」
志乃は俺の左手を掴んで離さない、時々水を飲ませてくれる。
思考自体は問題ないんだけど、熱のせいか少し感覚がおかしいな・・・いったい何℃出てるんだろう。 能力で熱を下げる手も考えたが、たしか熱って戦ってる証拠だったよなって思い直す。
「熱の上がり方が凄いんだけど・・・これって40℃はとっくに超えてるわよね」
「体温計が壊れちゃったもんね」
最初に体温は測ろうとしたんだが壊れた。爆発とかはしなかったけど、反応が一気に消えたからかなり高い熱が出てるんだろう。優奈と美香も体を拭いてくれる前には手を冷やしていた。
志乃・・・熱くないのか?低温火傷とかしそうで怖いんだが。
「大丈夫、手はそんな熱くない」
そうか?ん、まぁ・・・少し寝とこう。
「熱・・・下がらないわね」
達也が寝てから半日が経った、今はもう太陽が沈みかけている。この世界が地球と一緒かはわからないが、気温と太陽の角度、日が沈む時間を考えると、日本の秋に準じるのではないか。
美香はそこまで考えて達也の寝顔を見る。高熱を出す者特有の息苦しさなどは特にないようで、口をもごもごさせたときは志乃が水を飲ませている。完全に寝ているわけではないようだ。
この状態でも警戒しているのだろうか・・・私達の一団・・・優奈が言うにはパーティ?そのパーティには戦闘力がある者が達也だけだ。
策敵という面では私の人形も使えるが、達也程の策敵範囲はないし、なにより対応力がない。人形がいない方向や、死角から来られた場合には、簡単に奇襲されるだろう。
レベルが上がれば人形に意思を与えることで、巡回させたりも出来るんじゃないかと達也は言っていたが、よくわからない。レベルが上がれば出来るようになるのかしら。だけど、まともな訓練方法は知らないし、時間も多くはとれない。
なぜか、このパーティは敵との遭遇が多いのだ。いや・・・会う人皆に戦闘を仕掛けられてるだけで、運が悪いだけなのかもしれないが。
その戦闘も全て達也が対応している。そういえば・・・達也は人を殺したりすることに抵抗はないのだろうか、怪物はともかくとして、こういうのって大抵苦悩するものじゃないかしら。
苦悩する達也を慰めて、そこからはじまる・・・ふぅ落ち着きましょう。苦悩はあるのかもしれない、ないのかもしれない。
あるのなら支え・・・いえ、私達も戦闘に参加出来るようにすべきだろう。この世界は弱肉強食の面が濃い。力がないものから真っ先に食われる。
私達、女三人が未だに生きていて・・・穢されていないのは達也が守ってくれているからだ。
とは、言っても現代日本人の女の子がいきなり殺し合いをしろって言われても、対応できるわけでもないし・・・その辺は追々相談していこう。
「ご飯の用意してくるわね」
みっちゃんがたつくんの傍から離れてご飯の用意をはじめた。たつくんの熱は下がってない。
志乃ちゃんはたつくんの左手を握っているけど、ときおり熱いのか冷やしたりしている。たまに、たつくんが唸ると水を率先して飲ましてあげてる。甲斐甲斐しい姿には思わず頬が緩む。
たつくんが寝ている・・・高熱を出している原因は足の怪我らしい。今は塞がっているけど、傷口から雑菌が入り込んで、体の中で免疫と戦っているそうだ。
その戦うときに熱を発し、それが高熱に繋がってるとたつくんは言っていた。たつくんもお医者さんではないから間違ってるのかもしれない。っというより、普通の人間がこの高熱に耐えられるとも思えないので、多分間違っているのだろう。
だからといって、熱を下げようにも全然下がらないし、体温計はとっくに壊れた。
たつくんが怪我したのは・・・そうだ、怪我した戦闘は私達の為ではなかったっけ。伊藤さんグループに足止めに使われたって、話し合いの後たつくんが説明してくれた。
たつくんが優しいのは知ってるし、敵に容赦がないのはかっこいいと思うけど、危険なことはあんまりしてほしくないと思う。私に力がないのが悪いのだけど、それでも怪我をするなら逃げちゃえばいい。
私の我侭で行動決めて欲しいとは思わないけど、怪我をしてほしくないのは他の人も思ってると思う。
そういえば・・・この傷でたつくんが死んじゃったらどうしよう・・・やだなぁ・・・死んじゃったら・・・何かどうでもいいし・・・何もかも・・・そう・・・ナニモカモ・・・コワシテ・・・ツブシテ・・・「大丈夫だと思うよ?彼の治癒力なら、これくらいじゃ死なない。明日には復活してるだろうよ」・・・ソウナノ?・・・「そうだよ、君のたつくんは大丈夫」・・・ソウ・・・ならいいんだけど。
あれ?えっと・・・たつくんなら大丈夫だよね!よし、それはそれとして水をかえようかな。後、着替えも用意しておこう、大分汗凄いしね。ふふふ、さぁ私に全てをさらけだすのだぁ!
みかがご飯作りにいってから、ゆうながおかしい・・・なんかすごい顔してた・・・顔というか、なんかどろどろしてた。けど、もっとどろどろしてるのがゆうなに話かけて、ゆうながもとにもどった。
ゆうながたつの服とか水をかえに、異次元ボックスに入っていった。たつの左手はすごく熱い。たまに冷やさないとさわってられない。
たつが口をあけたら水をのみたいってことだから、水を飲ませる。たまに顔の汗をふいてあげる。体の方は、ゆうなとみかがやってる。
たつはかぜをひいたのだろうか・・・お腹出して寝たのだろうか・・・怪我のせいとか言っていたけどお腹を出して寝たんだと思う。きのうはしょうごおにいさんと一緒にたつやは寝ていた。警戒のためだったらしいけど、お腹出して寝ちゃだめ。今日からは私が気をつけてあげないといけない。
しょうがない、男はいつまでも子供ってたつが言ってた。つまり私がお姉さん。お姉さんは弟を暖めるのだ。でも、この手は熱い・・・冷やしたほうがいい?
はやく元気になってほしい。膝の上にのせて、なでてほしい。なでなくてもいいから、元気になってほしい。私はおしゃべりじゃないし、話がじょうずでもないから、たつはつまらないかもしれないけど。でも、いっしょうけんめい話そうと思う。
たつの話は大抵意味わかんないけど、楽しいからいいと思う。ゆうなもみかもたつが寝てからへんだから、たつは元気じゃないといけない。寝てるのはいい、苦しそうなのはだめだ。お腹は冷やしてはいけないのだ。
「だから、たつ・・・早く元気になる。あと、お腹は冷やしちゃだめ」
・・・どっから、だからって出たんだ?お腹?わけわからん・・・あっつ・・・もぅ夕方っぽいな。大分体の調子は落ち着いたようだな。明日には動けるようにはなってるだろ。幸いなのかはわからんが、今日は襲撃ないし、まぁ襲撃が毎日あっても困るんだけど。皆仲良くしないか?
それはそうと・・・手寅「何だい?」優菜にちょっかいだしたろ?「ちょっかいとは心外だな!君の変わりに宥めてあげたというのに!」ん?そうなのか?「そうだよ!それを君は、せっかく珍しく私がおせっかいを焼いているっていうのにそれを君は!」あぁ待て、悪かった・・・助かったありがとう「・・・最初から素直にそういえばいいんだよ・・・ぶつぶつ」にしても、ナチュラルに会話できるようになってんなぁ・・・「まぁそれだけ君が異端なんだよ、誇るといいよ」何を誇ればいいのやら。
もしかして、襲撃がないのは手寅のおかげか?「いや、それは周囲に何もいないからだね。私は直接は手を貸さないよ」そうか、まぁ優奈に関してはありがとうよ「別にいいよ、どうでもいいことで潰れても面白くないし」そうか、まぁ俺はさっさと体を治そうかね「それがいいと思うよ」




