アキレア家
あらすじ変更!でも私、要点抜き出すの苦手です。ネタバレしたくもないから中途半端なものになりました・・・か?
「兄ちゃんただいま!」
「おかえり・・・おや?」
優奈達と合流した達也は特に断る理由もなかったのでアキレアの家に行く事にした。長老のクラウスには蟻族のメイドが伝言を受け持ってくれた。ちなみに美香が張り切った為、完全再現のメイドさんが出来上がっている。それを見た優奈が喜ぶ一幕もあった。ちなみに達也はメイドに興味をしめさなかったので、自分達で着る分はお披露目の機会はないかもしれない。
ともかくアキレアの先導で達也達はアキレアとアキレア兄の住んでいる家に連れて来られた。
ドアを元気良く開けたアキレアのただいまに続いて、静かな落ち着いた声音で男の声が響いた。アキレア兄と思われる人物はすぐに達也達に気づき穏やかな笑みを浮かべると達也達を招き入れる。
「ようこそいらしてくださいました。この子の兄です」
「お招きありがとうございます、達也です・・・そういやお兄さんは名付けに来られませんでしたね」
「ええ、大丈夫だと言っているんですが・・・」
「兄ちゃんは怪我してたんだから動いちゃ駄目だ!」
「というもので」
困ったような顔でアキレアを撫でるアキレア兄を見て、達也は苦笑しつつも提案する。
「それなら今決めましょうか?というかアキレアが俺達を連れて来たがったのは、それでか?」
「ん?違うぞ!兄ちゃんがお礼をしたいって言ってたからな!」
「怪我のお礼がまだでしたから、時間があったらでいいよとは言ったのですが・・・やはり強引に?」
「あぁいや、どこに泊まるかは決めてなかったので・・・というより泊まるつもりで来ましたが大丈夫ですか?」
「問題ありませんよ、一応2、3部屋ありますが達也さん達は1部屋でよろしいんですよね?」
裏のない笑顔で言われ、一瞬2部屋に別れますと言いそうになるもすぐさま優奈と志乃が一緒に寝る!と宣言した為、体裁もとれない達也。
「ふふ、愛されてるならいいじゃないですか」
「まぁ・・・それはそうなんですけどね」
「兄ちゃん!名前付けてもらいなよ!」
「そうね、その間に台所借りてもいいですか?」
「美香さんでしたか?よろしいのですか?こちらがごちそうしようと考えていたのですが」
「いえいえ、材料を使わせてもらいますので気にしないで下さい」
「みっちゃん今日はイケル日だよ!」
「・・・いいけど、千那も来てくれる?優奈が変なことしないように見張って欲しいのよ」
「わかった!」
「なにおー!?」
「こっちだぜね~ちゃん達!」
やいのやいのと騒ぎながらアキレアを先頭に台所へ向かう4人を見送り、アキレア兄とテーブル越しに向かい合う達也。膝の上には志乃と雪、蒼を装備である。冬華は達也の隣に座った。
「それで集落の皆に名前をつけてくださっているとの話しでしたが、大変ではないですか?」
アキレア兄がそう聞くと、諦めの境地に至ったような目で達也は答える。
「この世界に来てからやたら名前付けしてるので、慣れましたよ」
「それは・・・が、がんばってください」
他にかける言葉が見つからなかったのか、とりあえず励ますことにしたらしいアキレア兄。それを不思議そうに見ていた志乃が声をあげる。
「ん、たつアキレアのおにいさんに名前付ける?」
「あぁそうだったな・・・アキレアに近い方がいいですよね兄弟ですし」
「そうですね、出来ればそうして頂けると僕も嬉しいです」
しばらく天井を見つつ、たまに雪と蒼を弄びながら考えるも良い名が思いつかないのか悩む達也。それを雪達と見ていた志乃が思いついたように達也の胸ポケットを漁りメモを取り出す。
「ちょ、くすぐったいよ志乃?・・・うん?」
メモを取り出し、一つの言葉を見つけた志乃は無言でそれを指差しながら達也に見せる。
「あ~これかぁ、志乃はこれがいいと思うのか?」
「ん、兄弟の名前は似てるもの」
「そうだな、意味も・・・まぁ良いし・・・お兄さん」
「はい」
「アキレギアでどうでしょう?」
「アキレギアですか?・・・達也さん達の様子を見ると意味がありそうですよね?聞いても?」
「いいですよ、こっちの世界で花言葉というのがありまして、アキレギアの花言葉は負け知らずですね」
「負け知らず・・・それは名前負けしそうですね、アキレアにも意味があるんですよね?」
「勇気、勇敢ですねアキレアは、さっきは自分より大きな蠍族の男を蹴飛ばしてましたから、思わずアキレアを付けてしまったんですよ」
「蠍族・・・もしや戦士団の?この時間帯の蠍族の男は1人なのですが」
言われて達也は他にも蠍族の男がいたか記憶を探り、そいつだけだったと答える。
「そうですか・・・アキレアはまだ根に持っているのかな?」
何やら深い意味はありそうだが、達也としては、勘違いとはいえ蹴っ飛ばしたアキレアの蹴りの威力を褒めたのであって、蠍男・・・ブルーノを蹴っ飛ばした意味を言及したわけではない。話しの流れが妙な方向にいっているような気もするが、他に話題もないのでこのまま聞く事にしたようだ。志乃は興味がないのかウトウトし始めていた。
「根に・・・蠍族の男はブルーノって名前何ですが、アキレアと仲が悪いのですか?」
「いえ・・・仲が悪いと言うか」
歯切れの悪いアキレギア、別にどうしても聞きたい訳でもないし、何やら良い話でも無さそうなので話題を変えるかと達也が考えていると、先に話す決心が決まったのかアキレギアが話しだした。
「蟷螂族の女性・・・達也さんに助けてもらった蟷螂族の女性がいたでしょう?」
「ええ、一応ローザという名前になりましたよ」
「ローザですか・・・なるほど、いい響きですね。そのローザとはアキレアも僕も仲が良い・・・というよりローザが姉のように振舞ってくれたので僕達は家族のように育ったのですよ」
その辺りでブルーノが何をしたかが大体予想出来た達也だったが、相槌をうつだけで何も言わなかった。
「ある時、ローザ姉さんと・・・ブルーノでしたか?そのブルーノが婚約・・・結婚直前まで話が進んだことがあったのですよ、その時はアキレアも僕も祝福してそのまま話が終わると思っていたのですが」
あぁやっぱりと顔に出さないように、それでどうなったんですか?と聞く達也。
「ブルーノ奴が・・・別の女性に熱をあげてしまったようでですね。まぁ結婚前で繁殖をしていた訳でもないので破談するだけで終わりのはずだったのですが」
「ローザさんが・・・怒ってしまったと?」
「いえ、確かにローザ姉さんが怒ったのですが、先にアキレアが怒ったのですよ」
「あ~、返り討ちにあったのかな?」
「えぇ、あれでもブルーノは戦士団の中でも上位の方です。一応アキレアも戦士の素養は高いのですが、体格の差もありますし、まだ子供です。ブルーノも一応手加減はしたようですが、ボロボロになって帰ってきたアキレアを見てローザ姉さんが・・・それはもう・・・」
あれはひどかったと呟き、苦笑するアキレギア。眠そうな志乃を気遣ってかどのくらい酷かったかは言葉にしなかったが、少なくとも子供に聞かせられるレベルのものではない、ということがわかっただけでも達也としては十分だった。
そいつ死んだわけじゃなかったのか・・・と逆に安心していたくらいだ。
「・・・ローザさんは強い・・・のですか?」
「ローザ姉さんは集落でも・・・トップレベルですね、基本的に戦闘をする一団には入っていませんが、食料調達班や、長の護衛を担っています。稽古時は戦士長が束になってやっと互角といったところでしょうか」
どこか遠い目をしながら言うアキレギアに対し、冷や汗を流す達也。
ローザさんそんなに強かったのか・・・肉体変化使わなかったら、志乃の首あの一瞬で落とされてたかもと、やはりこの世界は危険だと改めて警戒を強める達也である。
そこにアキレアが戦々恐々とした顔をして今に現われる。何で強張った顔をしているのかわからないアキレギアはアキレアに聞いているが、達也は思い当たることがあるのか、達也も顔が強張っている。
アキレアは兄に聞かれた事で調子を取り戻したのか、それとも今さっきの出来事を意識の外に追い出したのか、とにかく声を上げた。
「兄ちゃん名前決まった!?」
「あ、あぁ、アキレギアという名前になったが・・・大丈夫なのか?」
「ん?何が?」
「いや、別にいいんだが・・・」
「そんなことよりアキレ・・・ギア?何か言いにくくないか達也!兄ちゃんなんだかもっとカッコイイのがいいぞ!」
未だ呆けている達也にアキレアは近づくと名前にクレームをつけはじめ・・・志乃がそんなアキレアの胸を押すようにして精一杯睨む。
「な、なんだよ志乃」
「ん、アキレギアは私がつけた、かっこいい・・・(はず)」
「なんだ志乃がつけたのかよ、カッコイイかぁ?」
「ん、それにアキレアとアキレギア、兄弟っぽくていい」
「確かに似てるな!ん~でもアキレギ・・・ア、アキ・・・レギア、やっぱり言い辛いぞ!?」
「ん、あいしょうつける」
「あいしょう?」
「ん、家族なんだからレギアとか呼べばいい」
「おぉレギアか!カッコイイな!レギア兄ちゃんだ!」
年長者そっちのけで愛称を決めると、アキレアはアキレギアに飛んでいき、志乃は改めて達也の膝の上に座りなおす。
「おっとと・・・レギアね・・・確かに愛称というのはいいね、僕もアキと呼ぼうかな?」
「アキか~、まぁレギア兄ちゃんならいいぜ!」
兄弟同士の愛称も決まったようでご満悦なアキレアはそのままアキレギアの膝の上で、思い出したかのように報告する。
「そ、そうだ・・・た、達也!」
「うん?なんだ?」
「こら、アキ!さんとか敬称をつけなさい!」
「え?達也じゃだめなの?レギア兄ちゃん」
俺は別に構わないけどなぁと思っている達也だが、兄弟間の教育に口を出す気はないのか推移を見守る。
「だめだよ、親しい仲にも礼儀ありだよ?礼儀がないのは兄ちゃん良くないと思うな?」
懇々と諭すように話すアキレギアの目を見ていたアキレアは尚不思議そうだったが、突然思いついたように声を上げる。
「なら達也兄ちゃんならいい?」
「・・・あぁまぁそれならいいかな?達也さんどうでしょう?」
「いいですよ、ってもアキレアが弟ねぇ・・・」
「な、何だよ!」
「いや、俺はいいぞ?「ん、だめ」・・・って言うと思ったけど駄目?」
「ん、たつはお兄ちゃんになりすぎ、妹、弟いっぱい?こだくさん?」
「いや、呼び方・・・だけだぞ?」
「ん、やだ」
これ以上兄呼ばわりする者が増えるのが嫌なのか、頑なに志乃は拒否する。達也も意志を曲げる必要性も感じない、がそれだとアキレアの方も納得しないだろうなとアキレアの方を見る。
「むぅ・・・確かに兄ちゃんの弟が増えると俺も嫌だな・・・」
納得してんのかよ、と兄2人は苦笑して顔を見合わせる。どちらもじゃぁどうするんだ?といった疑問府を浮かべながら推移を見守る兄2人。
「ん、普通にさんづけ?もしくはさま」
「さま!?・・・達也にかぁ?様って感じじゃないぞ?」
「ん、それもそうだった・・・ならクマ?」
「くま!?達也はクマなのか!?変身するのか!?」
キラキラした目で達也を見るアキレア、達也はコラと志乃の頭をぐりぐりしながら真面目にやりなさいと指示する。
「ん、や!」
とは言うが自分から頭を胸に押し付けている志乃である。そんな志乃を見てアキレアも俺も!とでも言うようにアキレギアの胸に頭突きした。
「ぐほっ!?」
「あれ?レギア兄ちゃん?」
胸というより鳩尾に綺麗に頭突きが決まったのか、アキレギアは瞬時に気を失った。
「アキレア・・・兄ちゃん気絶させてどうすんだよ」
「ん、たつは気絶しなかった」
「志乃じゃ気絶させることは無理・・・でもないか」
アルランで色んな男を撃沈したことを思い返し、俺にはしないでくれよと念を押しながら撫でつける。
「ん、美香がたつにはしちゃだめっていってた」
「いや、他の人にもしちゃ駄目なんだけど・・・」
「ん、ぜんしょする」
「善処って・・・まぁ最近の勉強の成果が出てるようでなりよりだよ」
「ん、ゆうなとがんばってる」
勉強も予定よりは大分遅れているが、美香がドリルや参考書を作っているので志乃の語彙も増えているようだ。方向性が間違っているのは美香の思惑なのか、それとも志乃がそっち方面を集中的に覚えているのかは定かではないが。
「むぅ・・・レギア兄ちゃんが唐突に寝てしまった・・・どうしよう・・・達也・・・にい・・・達也・・・さん?」
「別に無理にさんづけする必要はないぞ?」
「駄目だ!レギア兄ちゃんは怒ると怖いんだ!ん~た、達也さま!」
「それはやめろ」
「駄目なのか・・・わかったよ達也さんな達也さん達也さん・・・」
ぶつぶつとさんづけを練習するアキレアをよそにぐったりとしたアキレギアを見た達也は呟く。
「さて・・・アキレアは台所で一体何を見たのかな」
「ん、がんばれたつ」
食べるのは達也と決まっている。決まっている故に達也は考えることを放棄して、膝の上のいる3人をめでることにした。




