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虫人とお食事

「あ、たつくん材料一杯もらえたよ!」


 第一次相談会を終え、優奈を迎えにいくと昼頃見せてもらったハニカム構造とは別のハニカム構造に優奈はいた。ここでは食用ではない植物を育てていますと蟷螂の人が説明してくれる。つまり薬用とかそういうのかな?優奈も材料もらえたと喜んでいる。いや、取引前にもらうなよ・・・とも思ったが、一杯といっても種類毎に一つずつといったところか、確かに一杯である。これなら好意で済ませられるかな。


「そうか、良かったな・・・お礼は言ったんだろ?」

「うん!後でハっちゃんに登録するんだ!」


 とりあえず志乃の異次元ボックスに仕舞わせて・・・雪と蒼に護衛ありがとと撫でながら美香の方へ。どうも蟷螂の人と長老天道虫は親戚らしく、美香さんは我が家で夕食のお手伝いをしていますと言われ、長老宅へ向かうことに。小さい飛蝗の人はどこかに逃げていった。逃げたと言ったが、自分の家に帰っただけかな?


 実際の長老宅は話し合いで使った家とは違うようだ、まぁすぐ隣にあったけど。あっちも住めなくはないが普段はこちらで暮らしていると説明を受けながら中へ入る。こちらの家は木材と植物で出来ていて、下が植物で壁は木材で出来ていた。植物といってもきちんと均されていて歩きにくいということはなかった。


 それと外は薄暗いのだが、中は明るかった。天井は植物で出来たシャンデリア?に光源がついていて、本が問題なく読めるくらいの明るさだった。光源は火ではなく、光る石?いや、ガラスの器に液体が入っている?ガラスにも驚いたけど光る水?


 驚いた俺に・・・俺しか驚いてなかったが、美香が奥の部屋(多分厨房)から現われて俺が見ている物を察し答えてくれた。


「達也も気になった?ガラスみたいな器の中に植物から取れる樹液を入れてるそうよ?何でも暗くなると光る性質があるって話よ」


 光る液体自体は地球にもあった気がするが、電灯程の光源になるとはな。あまりに興味津々な俺に、良かったら少しお譲りしましょうか?と蟷螂の人が聞いてきたが、さすがにタダで受け取るのはまずいと思ったので取引項目に入れてくださいとお願いしておいた。興味はあるが成分調査はチェッカー君次第だしな。


 というか美香が気になることを言っていたな。


「ガラスみたいな?これガラスじゃないのか?」

「千那がいなかったから詳しいことはわからなかったけど、どうも体液を固めたモノみたいよ?多分そういった精製器官を持った虫人が作ったんじゃないかしら?」


 美香が蟷螂の人を見ながら言うと、正解とでもいうように拍手されていた。身振り手振りだけでも何とかなるもんだな。いや、冬華達のことを考えれば今更か。


 美香が出てきた奥から蟻の人?かな多分給仕かお手伝いさんあたりだと思うけど、2人程でお皿を並べていく。一通り並べ終わると礼をして長老宅から出て行った。俺が視線で追ってることに気づいた美香が説明してくれた。


「達也の好みはメイドさ「違う!」冗談よ、私達が泊まると聞いて色々準備してくれたのよ、集落でも運搬を引き受けてるみたいよ?」


 蟻だから?というわけではないだろうけど、種族毎で分担しているのか。まぁカブトムシの人やクワガタの人、強そうな見た目の人が戦士をしていたな。今回能力が発覚したから再編成するだろうけど、農作業に従事していたのは温厚そうな・・・肉食系じゃない虫人がほとんどだった。もちろん、本人の得意分野も尊重されているようだったけど。


 思案する俺をよそにそれぞれが席につき・・・志乃に手を引かれて優奈と志乃の間に座らせられた。しばらくすると2階から長老天道虫が降りてきて、蟷螂の人が音頭をとるようだ。


(通訳千那)

「この度は私達の食事に来て頂きありがとうございます、お口に合うかわかりませんがどうぞお召し上がりください」

「「「いただきます」」」


 俺達がそれぞれ挨拶してから食べ始めると・・・不思議そうに長老と蟷螂の人が見ているのに気づき何か?と聞く。


 そのいただきます?とは何ですか?と聞かれたので、ご飯を食べる時の挨拶みたいなものですと説明すると感心したように頷かれた。あぁそういやアルランにこの習慣なくて、ボードル宅やルッド宅から広がっていたなと思い出す。それから長老達も真似するように手を合わせた後、静かに食べ始める。


 基本的に食材は俺達でも食べられるものだった。虫・・・昆虫料理とか出るかと思ったが、よく考えたらこの大きさだと同族食いで嫌かもしれないな。まぁ普通に野菜で作られたスープや蒸かした芋がだった。さすがに肉はなかったが魚肉(多分魚人)のステーキや、蛸の足を使ったサラダもあった。まぁなんだ・・・


「普通だな」

「そうね、厨房も特に不思議なところはなかったわよ?むしろ火の扱いが上手で吃驚したくらい」


 火・・・そういや普通に火は使うんだな、それに生では食べないらしい。食べられないこともないが人間と基本同じみたいだな。


 食事が終わる頃になると長老天道虫に何か言われたのか蟷螂の人が立ち上がりガラスのような物で出来た瓶とコップを2つ持ってきた。もしやのお酒か?


 飲めますか?と聞いてくるように長老がコップと瓶を指差したので、蟷螂の人からコップを受け取り注いで貰う。一応美香達を見たが、あの瓶だけならいいわよ?と言われたので、ありがたく頂戴することにする。


 長老とコップ(これもガラスのような物で出来ていた)をぶつけ合い、キンといい音を鳴らしながら一口飲む。


「これは・・・蜂蜜?」


 アルランで飲んだ果実酒よりも甘いが、喉にからみつくことなくスッと胃に落ちていく感じがする。それに少し温かい?生姜水みたいな独特なポカポカする感じがする。


 俺の様子から起きに召したようですなと頷いた長老は千那を通して説明してくれた。


 どうやら蜂蜜ではなくハニカム構造で作っていた花から取れた蜜を発酵させて作られた酒とのことだ。虫人達のお酒といったらこれで、他にも樹液酒や野菜酒があるそうだが、これが一番人気があるそうだ。確かに甘すぎることはないし、度数もそんなに高くないようだ。それに生姜に似た成分があるせいか、一口で身体に染み渡る感じがするので飲みすぎるということもないだろう。


 優奈達もアルコールが入っていない、発酵させていない蜜水を気にいったようで飲んでいた。特に志乃が一番喜んでいた、何でもお腹が温まっていいと大変ご機嫌なご様子だ。これも取引項目に追加かな。


「あははは!世界がグルグルしてるぞ!」


 千那?・・・酒の方飲んだなこいつ。いや、一杯で酔ったのかよ?酒に弱い魔王とかすぐに討伐されそうだなおい。あーあー蟷螂の人に絡み始めたよ。まぁ蟷螂の人も楽しそうにお酌してるから別にいいか。


「あはははは!あれ?達也がいっぱいいる・・・1人くらいなら千那専用でもいいよな?」


 よかねえよ、あ、こら!俺に絡んでくるな!顔近いわ!吐いた息も全然アルコール臭くないし、一杯で完全に酔ってるのかこいつ。


「達也ー達也ー」

「あーもぅ次からお前酒禁止な」

「おまじぇない!ふぇんな!」

「はいはい、千那は次から酒禁止だからな」

「ふぇんな!うぁー」


 千那と格闘していると蟷螂の人が寄ってきて何やら千那に耳打ち・・・いや、俺達は聞こえないから耳打ちする必要あるのか?


「んぅ?うー?でけるんじゃいあ?ふぇんなにまふぁへとけ!もとまおうしゃまはさいろうだぞ!あ、たつあのほうがさいほう?」

「・・・もはや呂律も回ってないなおま・・・千那」


 というかお前蟷螂の人に何を頼まれたんだ?膝の上に納まった千那は両手を掲げ何やら力を放出したかと思ったら、力尽きたように膝の上に丸くなった。・・・感知強化もしてなかったから正確にはわからんが、かなりの力放出しなかったかいま?


「おい、千那、今何した?」

「んにぃ・・・にぃ・・・ぬぅ・・・うふぇ~」


 駄目だこりゃ。


― ミシミシミシ ―


「たつくん?また何か強化してるの?」

「何か間接が軋む音してない?」


 優奈と美香も聞こえたようだな、いや俺じゃないぞ?最近じゃ強化で軋んだりしない。段々身体も別の物に変わっているのかもしれないな。ま、まだ人間だよな?


「ん、たつからじゃない、ちょうろうさんから」


― ミシミシミシ ―


 志乃が指差したのをやんわりと降ろす、確かに長老さんと蟷螂さんからも音がしているような?


 俺達が注目していると蟷螂さんは冷静に脱ぐ仕草をしてくる。目を塞がれた・・・いや、脱ぐ動作であって脱いでないだろ?というか、虫人達服着てないだろ!


「ん、たつみちゃだめ」

「たつくん!レッドカードだよ!お説教だよ!」

「はいはい、見ませんよ。それで?蟷螂の人的にはそれ脱皮しそうです、あたりか?」


 蟷螂の人は頷いたようだ、美香が教えてくれた・・・というかいつまで目を塞ぐんだ?


「何か見ちゃいけない気がするよ?」

「ん、何かおかしいきがする」


 何かってなんだよ・・・普段から感知力がやたら高いな君達。美香は特に何も感じてないのか、不思議そうに優奈達の行動を見ながら料理の後片付けをしている。気配察知から判断した雰囲気だけどな。


「優奈?志乃?一体何を警戒しているの?」

「みっちゃんは感じないの?なんか見ちゃいけない気がするんだよ!それこそたつくんえっちぃだよ!」

「ん、たつは見ちゃだめ、私のみる?」


 見ねえよ!何をだよ!いや、見ても別に何も感じないけどな!NOロリータNOタッチ!


「ん、たつは失礼だと思う」


 志乃にまで心を読まれるのかよ!美香だけにしといてくれ。いやいや、今の志乃さんに反応したら俺は駄目人間だからね?志乃が俺を好きなのは構わない俺も志乃は好きだぞ?でもそういうことではないのだ!


「ん、好きならゆるす」

「志乃ちゃん?」

「ん、内緒」


 優奈は読めないのか、まぁいいや、それで蟷螂の人達は大丈夫なのか?


「美香?蟷螂の人達は大丈夫なのか?」

「苦しそうではないけど・・・あ、先にお暇しますって言って・・・るのかな?そうみたいね、わかりました後片付けはこちらでしておきます、いえいえご馳走になったのはこちらですのでお気になさらずに」


 どうやら長老と蟷螂の人はそれぞれの部屋に引き上げたようだ。


 ようやく目が開放されたので残った皆で・・・え?俺は動かなくていいのか?


「だって、千那ちゃん動かせないでしょ?」


 確かにしがみついていて離れないので、後片付けは3人娘と冬華に任せる形になった。そういや冬華も酒の方を飲んでたよな?


「冬華?」

「ヂヂヂ?」

「冬華はいくつなんだ?」

「ヂヂ?」

「あぁ年齢の話だ」

「ヂヂヂ!」







「ん、たつ顔ににくきゅう?」

「たつくん女の子に年齢聞いちゃ駄目だよ?」

「まぁ・・・さすがに自業自得かしらね?」


 確かに俺が悪かったが・・・顔の形が変わるかと思う一撃を食らった。まだ冬華怒っているし、雪と蒼が頬を舐めてくる。ヒリヒリするから辞めて欲しいのだけど?


「チチチ?」「クルゥ?」


 まぁもう好きにしてくれ。後片付けが終わった後、美香の案内で用意されていた一室で寝転がっている。部屋2つ借りれば良かったんじゃと思ったが、分けるにしても俺と俺以外になるし、どうせ侵入してくるだろうから意味ないか。


 ベットは水袋といえばいいのだろうか、植物の茎で出来ていてその茎が大量の水を保持するらしく、表面がブヨブヨしていてベットの変わりになっている。布団は自前で出したが、下が仄かに温かいので寒さを感じない。虫人達の家具凄いな。どうなってんだこれ。

 

 ともあれ、寝るか・・・それにしても脱皮ってそう頻繁に起こるのかね?








「ん、たつお風呂は?」

「・・・あ~明日朝風呂作るからそれで許してくれ」

「ん、おこる」

「いたたたた!そっちのホッペは触っちゃ駄目だって!」

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