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集落へ向かおう

「ん、たつ一緒にはいってくれなかった・・・」

「いやいや、志乃?のぼせかけてたんだろ?」


 美香の言った通り一通り清めた後で一緒に入ると声をかけられたが、美香に止められて俺は1人で入った。千那と冬華は何やらコソコソと美香に報告をしていた。それで久しぶりに1人風呂を堪能して出てくるとご立腹の志乃がいたのだ。


「ん、たつは一緒にはいるのいやになった?」

「いやいや、志乃の体調を気にしてだからだって・・・今日の夜一緒に入ればいいだろ?」

「ん、約束」


 指きりまではしなかったけど・・・今日の夜忘れないようにしないと後が怖い。その様子をニコニコと眺めていた優奈がふと質問してくる。


「たつくん、あの人たちはお風呂いいのかな?」

「虫人のことか?一応聞いたんだけど、汚れとか老廃物は脱皮をするので大丈夫ですって言われたな」


 むしろ風呂に浸かったら命の危険がありますと言われた。まぁ身体が虫を基本としているならそりゃそうだわな。


「脱皮・・・凄いね~」

「凄いかはともかく、そろそろ移動の準備もするか」


 まだ小さい飛蝗の人は起きてはいないが、朝食を終えてそろそろ蜘蛛の人と飛蝗の人の怪我も完治が確認できたので、準備はしておくか。








「ヂヂヂヂヂヂ!」

「むぅ美香は危機感が足りぬ!」

「と、言われても・・・?ちょっと仲良くなったくらいで目くじら立ててたらキリがないわよ?」

「ヂヂヂヂ!?」

「なんと浮気を許すというのか!?」

「楽しそうに話したくらいで、浮気を疑ってもね?というか別に私達は達也とつ、つつつきあってないわよ!?」


 美香に浮気現場(仮)を報告した千那と冬華であったが適当にあしらわれていた。美香としては元々増えそうな気がするし、そんなことを言ったら冬華と千那も受け入れられていないでしょ?と諭す。

とはいっても節操ないのは困るが、別に達也が軟派野郎というわけではないので気にならないだけだ。


「その理屈で言ったら、貴方達も駄目になるわよ?」

「ヂヂヂヂ!?」

「せ、千那も駄目になってしまうのか!?冬華!」

「ヂ!」

「ヂヂヂヂヂヂ!」「美香!この件はなかったことに!」


 そう宣言すると2人は片付けすると逃げていった。それを眺めながら美香は思う。


「むしろ今日の志乃を宥めるのが大変そうよね」







”思考加速””反応強化””腕力強化””脚力強化””身体頑強””気配察知”


「そんなに警戒せんでもいいんじゃないか?」


 小さい飛蝗の人に声をかけるが、表情はわからないものの仕草で警戒しまくりな感じがわかる。さすがに助けに行くんだからそろそろ歩みよって欲しいなと思うんだが、中々上手くいかないな。大きい飛蝗の人が申し訳なさそうにしてるのもな。もしかして小さい飛蝗の人は弟とか子供なのかな?


 とりあえず集落に向けて移動開始しているのだが、虫人達はともかく蒼に志乃が乗っていても歩みはそんなに速くない。魚人はもちろんのこと、魚人以外の怪物も結構いるからな。今も冬華と千那が対処しているところだ。それを見ながら小さい飛蝗の人に話しかけるも通訳がいないせいもあってか中々仲良くなれない。


「ふはは!喰らうがいい!魔装・穿牙!」


 それにしても虎型の怪物まで出るんだな、あれだサーベルタイガーってやつか?冬華と千那が対峙しているのは、小さい頃本で・・・確か恐竜図鑑?だか太古の生物図鑑で見た、大きな牙を持った虎の怪物だ。ただし頭が2つあるけど。頭にはそれぞれ目が1つしかない。体毛は薄緑になっていて、目と口が真っ赤なせいか妙な迫力がある。大きさは軽自動車くらいか?普通横長なもんだが、こいつは手足が長いな。何と言うか・・・


「なんかあの虎さん?バランス悪いね?」


 優奈がいうように何かバランス悪いなあの虎、動きはそれなりに素早くて力強いけど、環境に対応しているとは・・・怪物もここに転移されてる形ならわからないでもないか。


 その2頭虎に千那が昨日から練習続けている両手ドリル、穿牙だったか?を当てようと奮闘しているが、両手を合わせているせいか、動きが鈍く避けられ続けている。冬華は千那が反撃されないように牽制している。いや、戦闘を任せているから文句を言うつもりはないが・・・。


「千那!練習はいいが今は先を急ぎたいからさっさと影糸でも使って終わらせろ!」

「む・・・む・・・むぅぅぅぅぅぅ!お前が避けるから怒られたじゃないか!」


 いや、怒ってないんだけど?俺の声にビクッと顔色を見てきた千那は2頭虎に八つ当たりを始める。むしろその八つ当たりの方が怒る必要あるような?


「ガアアアアアア!」

「うるさい!せっかく見せようとしたのに怒られたじゃないか!魔装・影糸!冬華!動きを止めるから仕留めろ!」

「ヂヂヂ!」


 そっから先は一方的なものになった。千那の影糸は避けられず身体を拘束された2頭虎は、冬華に身体の下に入り込まれ、冬華は胴体の中央、腹の辺りに両手を掲げながら当て・・・


「ヂ・・・ヂィィィィ!」


 ズドンッと音ではなく衝撃波がこちらに来たような錯覚が起こる一撃を、2頭虎に叩き込んだ。


 千那が拘束していた2頭虎が白目を向き、口から泡を吹き出しながら横倒しになる。倒れた後に目や口から血が流れている。なんだいまの?


「冬華?あれは合手あいのてなのか?」

「ヂヂ?ヂヂヂヂヂヂ」

「いえ?今のは鳴手なりてですといっておるぞ・・・達也?」

「うん?どうした千那?・・・怪我でもしたのか?」


 見事に討ち取ったのに何で落ち込んで・・・あぁ。


「怒ってないよ、穿牙当たらなくて残念だったな?」


 頭を撫でながら励ましてやる。


「う、うむ!次は当てるからな!期待していいぞ!?」

「あぁ・・・それで冬華に聞いてほしいんだけど」


 冬華曰く、あれは鳴手といって振動を複数箇所から、私の場合指の一本一本別の場所から当て、それを一点に集中させることで内部にダメージを与える技です。かなり難しいのでタツヤ様にはまだ早いと思います。と言われた。いやいや合手も騙手もまだ習得していないのにそんなもんが出来るわけあるか!つうかそれが秘奥義じゃないのか!?


 いえこれは奥義ですねってしれっと返された・・・なんか腹立つ。


「ヂヂヂヂヂヂ!?」

「なんか腹立った、反省はしない」


 冬華のドヤ顔(俺はそう感じた)にイラっときたので、尻尾をわしゃわしゃと撫で回してやる。雪と違って大きいから肉厚だがこちらのほうが撫で回すのに適している。ちなみに雪は気持ちよさそうにするだけだが冬華の場合は、身悶えて痙攣し地面に伏せる。


「ヂ・・ヂヂヂヂ・・・ヂヂヂ・・・」

「チチチ!?チチチチチチ!」

「いやいや、冬華は死ぬわけではなかろう?むしろ恍惚としておらんか?」

「ん、たつ私も!」

「いやいや、志乃に尻尾ないじゃん・・・」

「ん、お腹!」

「ってこら!お腹出さないの!風邪引くだろ!」

「たつくん怒るべきところおかしくない?」


 志乃がお腹を出して迫ってくる、仕方ないので服の上から虎の解体が終わるまで撫でることで許してもらった。その内何かが生まれたりして?


 手早く首を落とされ、血を千那に吸い取られた2頭虎は、解体はせずに異次元ボックスに収納することにした。急いではいないとはいえ、ここのんびり解体するわけにもいかない。いや、食べられるかも定かじゃないけど。


 虫人達は多少遊んだとはいえ、本気になった冬華達があっという間に2頭虎を仕留めたのを見て、何やら希望を見つけたような雰囲気を出していたが、もしかして虫人の戦力って高くないのかな?だったら急いだ方がいいかもしれない。


 蟷螂の人の先導でなるべく急ぎめに・・・途中美香を背負うくらいには急いで集落にたどりついた。道中出てきた怪物は手加減なしに素早く仕留めろと冬華と千那に頼み、倒したら血抜きもそこそこに異次元ボックスに入れた。休憩も最小限に昼食もそこそこに進んだおかげか夕方になる前には虫人たちの集落にたどり着いた。


 集落の位置はアルランから見て北西にあった。川は一度西に曲がった後、さらにカーブしているのか、近くに川も流れている。魚人はそこからではなく、俺と宗二が斬りあった地点から歩いてきているようだ。何でかは知らない。


 集落は土で作った家が多い、一応木や植物の蔦で作ってある家もあったが、大きな木をくりぬいて家にしているような住居もあった。あまり期待してなかったんだけど結構技術力は高そうだ。まぁ技術力が高いから何だっていう話ではあるが。集落の周りには壁・・・板とか石ではなく藪みたいなもので覆われていた。簡単に突破されそうではあるが、何か仕組みがあるのだろう。魚人も門の方に襲撃をしかけているようだ。門の周りに死骸が多い。というか、処理しきれてないせいか臭いが凄いな。


 俺達は集落についたはいいが、さすがにすんなり中に入れてもらうことは出来ず、小さい飛蝗の人と門の前にいる。門といっても藪のアーチだけどな。触って見ると触った部分から俺の手に絡み付いてきたので慌てて引き抜いた。小さい飛蝗な人が慌てたように俺を引っ張ってくれたのもある。


「ふむ、こやつがいうには、この壁は触れた物・・・虫人以外が触ると拘束してしまうようだな」

「なにその不思議壁・・・いや藪か」


 道中で気が変わったのか少しだけ仲良くなれたのだけど、今ので手のかかる奴だな!という認識に変わってしまったようだ。見張るように俺の傍から離れなくなった。

 

 俺が背負った美香はともかく、優奈と志乃を乗せてもらっていた蒼もさすがに疲れたのか俺の傍で2人揃ってへたり込んでいる。俺達は志乃にシートを出してもらい、その上で寛いでいる状況だ。志乃と雪が労うように蒼の身体を拭いたり水を飲ませたりしてやってる。優奈もさすがに疲れたのか美香に膝枕してもらって動かなくなった。


 それにしても、蟷螂の人遅いな・・・門の所にいる見張り役の蜂の人と蝶の人の視線が辛い。悪感情とかではなく物珍しげなのが救いか。


 今は魚人の襲撃が一段落しているのか、特に問題はないようだけど・・・ん?


「何か・・・きたな、魚人もいるけど、魚人じゃないやつがいる気がする」

「ヂヂヂ?」

「千那達には何も感じないが、達也がいうならそうなのだろう、どっちから来るのだ?」


 集落から見て南の方から・・・”気配察知 強””範囲強化”結構な一団だな。


 まぁ所詮魚人と、怪物が1、2匹程度だろ?とノンビリ待ち構えようと俺が思っていると、小さい飛蝗な人が慌てたように俺の襟首を掴んで揺さぶってくる。俺が戸惑っていると門の方へも何やら声をかけたようで蝶の人が慌てたように門に入っていった。蜂の人は確認するように俺達の方に来た。


「-―――--―---―---!?」

「ふむ?何をそんなに慌てているのだ?確かに達也がいうには魚人だけじゃなく別のモノも混じっているいるらしいが、千那達に任せてよいぞ?」

「―------―‐――――!!!」

「ふむ?そんなにヤバイのか?」

「千那?」

「達也、結構ヤバイモノらしいぞ?まぁそれでも元魔王千那に勝てるとは・・・おも・・・なんだあれは」


 千那が途中で言葉を切り、魚人達が向かってくる方向見て驚愕しているのを見て嫌な予感を感じながら俺もそちらを見ようとするのと冬華が飛び出したのが同時だった。


 魚人に囲まれたようにゆっくりと移動しているそれは・・・何というか、そう


「達也、あれって蛸よね?」

「ん、あし・・・8本ある」

「どうしたのみっちゃん?・・・ぉぉぉ!?たこやき!?」

「チチチ?」「クルゥ?」


 蛸だ陸に蛸がいて地面をこするように移動している。しかも色が青緑色だ。高さが4mくらいか?全長はさっぱりわからん。たまに魚人を捕まえて捕食しているように見えるのだけど・・・非常食なのかそいつら?


 ちなみに優奈のトラウマはアルランでエネス婆さんによって解消されたようだ、どうにも昌吾の触手が駄目なだけで、元々そこまで忌避していたわけでもないらしい。触手が駄目と言うより昌吾が駄目なのか・・・昌吾イキロ。


 冬華は蛸ではなくもう一方の怪物とぶつかる。気配はあったが蛸のインパクトが強すぎて見落としていた。そいつは気配を隠していたのか、俺と冬華以外は気づいてなかったようだ。


「えっと、冬華と戦ってるの・・・クラゲよね?」

「おお!?透明なのに冬華ちゃんよくわかったね!?」

「ん、クラゲってなに?」


 クラゲはね~と優奈が説明してるのを聞き流しつつ、戦いを見守る蛸はまだ遠い。冬華が拳を叩き込んでいるのは全長2mくらいのクラゲだ、半透明なせいか気配察知でないと位置を捉えずらいな。とにかく、そちらは冬華に対処を任せて俺は蛸をどうにかするか。


 志乃に異次元ボックス(危険物)を開けてもらって黒塊には劣るだろうが、トムスさんからもらった頑丈そうな大剣・・・グレートソードだっけか?を取り出して千那に指令を出す。


「千那は待機しててくれるか?魚人も蛸も俺がやるから」

「む・・・千那の方が相性は良いのではないか?武器になってもよいぞ?」

「冬華も手が離せないし・・・これで終わりじゃないかもしれないからな、このシートから動かなければ千那も守りやすいだろ?」

「そういうことなら千那に任せとけ!魔装・影糸首切ギロチン


 千那を中心として影糸が周囲に張り巡らされ、シートの上を囲む。これは俺が考えておいたもので、糸を張り巡らせ・・・まぁ千那のは糸というか切れ味のいい触手に近いので空中にも固定できる、それを利用して影糸に触れたら、トラップのように触れた対象を攻撃するといった感知系の防御だ。名前は適当だけどな。


 それに美香がワニ騎士達を取り出しシートの周りを警戒させている、これなら俺が離れても大丈夫だろう。


 さて、俺は蛸達の処理をしようか。



 

イアイア!

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