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接触《contact》

頭を悩ませていたクロードのテケロッティが無くなった頃、ファーブのドアが開き、新しい客が入ってきた。

何気なくクロードは視線をその客へと移す。

真っ先に目に入ったのは、ウェーブがかかったプラチナブロンドの美しい髪。薄暗い店内の中でも、まるで光輝くような存在感を放っている。

端整な容貌と身に付けている装飾過多なドレスが相まって、クロードのような人間には少し近寄りがたい雰囲気がある。どこかの貴族の令嬢だと言われても信じてしまいそうだ。

ファーブの店員が、その女の子と何やら話を始めた。

(そういえば、この店はプレイヤーが運営しているんだな……)

WEOの世界で運営されている店には、二種類ある。

NPCが運営している店と実際のプレイヤーが運営している店だ。

ファーブは後者で、プレイヤーが運営している店だった。

プレイヤーが店を開く利点は二つある。

一つは、WEOで通貨として使われているゴールドを稼げること。

そして、もう一つはSP(スキルポイント)を得ることが出来るという点だ。

厳密に言えば、WEOの世界に経験値というのは存在しない。そして、レベルも存在していない。

様々なスキルを覚える為には、SP(スキルポイント)と呼ばれるものが必要になる。

俗に言う、スキル制という奴だ。

クロードは、このシステムを気に入っていた。

従来のレベル制とは違い、スキル制は遥かに自由度が高いからだ。

狩りをしてSP(スキルポイント)を集めるもよし、ファーブのように店を開いて業績を上げることでSP(スキルポイント)を稼ぐのもよし、他にも様々な方法でSPを稼ぐことが出来る。

戦闘以外の方法で自身のキャラクターを強化する方法があるおかげで、WEOでは今までのゲームとは一線を画した自由度を提供することに成功している。

更にスキル制は、戦闘にも多大な影響を与えている。

まず、レベルが存在しないことで、高レベルプレイヤーに低レベルプレイヤーが一方的に狩られるということがない。

もちろん、SPを多く取得しているプレイヤーの方が戦闘に置いて有利であることには変わらないが、WEOで勝敗を分ける一番の要因は、スキルをいかに上手く使いこなせるか、である。

職やクラスによって、最初の方から使える基本的なスキルから、様々な前提スキルを取得することによって使えるようになる上級スキルなど多種多様なスキルがあるが、基本スキルでも使いこなせればそれは十分戦力になり得るし、上級のスキルでも使いこなせなければ大した戦力にはならないこともある。

つまるところ自身のPS(プレイヤースキル)が、大きく戦局を左右するということだ。

WEOが大人気であるのは、何もRVM(マスク)を使った最新型のオンラインゲームだからというだけではなく、こういった細かいところまで作りこまれているからだとクロードは思っている。



いつの間にかシンクレアがしかめっつらでこちらを睨みつけているのにクロードは気づいた。

(ん?俺を睨んでいるんじゃないな……)

よく見ると、シンクレアが見ているのはクロードの後方、そこでは先程入ってきたプラチナブロンドの客がいた。

どうやら空いている席を探して移動していたらしく、クロードからは死角になっていて気づかなかった。

この時間帯は、狩りやダンジョン攻略から帰還してきたプレイヤーが多いため、店内は結構混んでいる。

プラチナブロンドの女の子はキョロキョロと辺りを見回していたが、何かを見つけたのだろう、一直線に歩き始めた。

そして―――

「相席してもよろしいかしら?」

目の前に来た。

クロードは驚いたが、元々このテーブルは4人相席出来るし別段断る理由も無かった。

いいよ、と応える為に口を開きかけて―――

「他のとこ行きなさいよ」

シンクレアが先に応えていた。

(おいおい、感じ悪すぎだろ……)

「あら、誰かと思えばシンクレアじゃない、影が薄すぎて気づかなかったわ」

プラチナブロンドの少女は、まるで今気づいたと言わんばかりに目を丸くして見せる。

(絶対、演技だなこれ……)

クロードの後方から来たのだから、シンクレアが視界に入っていないことは、まずありえない。

名前を知ってるってことは、もしかして―――

シンクレアの小さめの額に青筋が浮かぶのが見えた。

「クロエ、アンタ喧嘩売ってんの?買うわよ、表出なさいよ、爆死させてあげるから」

「もしかしなくても、お知り合いでしたか……」

クロードは、静かにため息をついた。とても、仲が良さそうには見えない。

「はじめまして、クロエですわ、以後お見知りおきを」

シンクレアを華麗に無視してドレスの端を持ち上げて一礼するクロエ。

「クロードです、よろしく」

挨拶を交わすとクロエは、クロードの隣の席に腰を落ち着けた。

「何しれっと座ってんのよ」

「あら、貴女(あなた)の許可が必要なのかしら、隣の方は迷惑そうじゃありませんけど」

「まぁいいけどさ」

ここで悪いと言えるほどクロードは、心が狭いつもりはない。

睨みつけてくるシンクレアの視線が怖いが……。

「クロード、アンタ私を裏切るつもり?」

「いや、まて落ち着けよ、この程度の事が裏切り行為に(あたい)するというのか?」

「判決、有罪!」

「判決早いよ!?せめて弁護士を呼んでくれ!」

クロードとシンクレアのやり取りを見たクロエがクスクスと笑う。

「何がおかしいわけ?」

「いえ、シンクレアが他の方と一緒にいるなんて珍しいなと思いまして」

「フンッ私はこいつに迫られて仕方なく付き合ってあげているだけよ」

そう言ってシンクレアは、そっぽを向いてしまう。

「ふーん、ああ言ってますけど本当のところは?」

「いや、本当だよ俺からパートナーになって欲しいって頼んだんだ」

とはいえ、シンクレアが言った仕方なく付き合ってるというところには、釈然としないものを感じる。

「意外ですわね、あのシンクレアがパートナーなんて了承するなんて、どんな方法で篭絡(ろうらく)したんですの?」

「これといって、特別なことはしてないが……」

まさか、首に剣を突きつけて脅したと言えるはずもなく、クロードはお茶を濁した。

というか、篭絡ってなんだ篭絡って……。

「その話は、もういいでしょ!そんなことよりクロエ、何か私に話があるんじゃないの、そうじゃなきゃアンタがわざわざ私が居るところに来るとは思えないし」

「ご明察ですわ、実は今度1on1の大会があるんですの、良かったら貴女(あなた)も出ないかしら?」


どうも、たちまるです。


以下、小説に関係のない後書き。


FEZ(ファンタジーアースゼロというオンラインゲーム)でアニバーサリールーレットが出ましたね。

でも、正直今回はあまりいいものがないような・・・・・・。

友人の反応もかなり微妙でした。

でも、回しちゃうんでしょうね~

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