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ギルド《セブンスエッジ》は、俺が一人で結成した所謂ソロギルドという奴だった。
名前の由来は、当時の武装連環士が使えた最大武器種の七から取ったという安易なものだったが。
他職と比較しても扱い辛く日の目を見なかった武装連環士のソロギルドということで、ギルドメンバー(通称:ギルメン)も集まらず、ソロで活動していた期間はなかなか長い。
最初のメンバーであるシエラを加えた辺りから徐々にギルメンも増え始めその頃には、ギルド戦や領主争いにも参加するようになったが……。
俺が引退する時のギルメンは、シエラを抜いても5人だったはず。
それが、どうしてセラがギルマスになりこんなにも力を付けているのか。
そもそも、他の4人が黙っているはずもない。
(そうだ……レイリアスや、キリクは特にセラとは仲が悪かった。だとしたら……)
「セラ、一つ聞いてもいいか」
俺はセラの瞳を真っ直ぐ見つめて、視線がはずれないようにしっかりと固定した。
そうすると、セラは俺の顔から出来るだけ視線を逸らそうとする。
セラは何故か、俺とだけは視線を合わせようとしない。
いつからこうだったのかは覚えていないが、こうすればセラは嘘や誤魔化すことをしなくなる。
「な、なによ……」
先程俺に向かって憎まれ口を叩いていた時とは打って変わって大人しくなるセラ。
俯きがちの上目遣いで、こわごわとこちらを伺う様子は可愛らしい。
(いつも、こうだったらセラもあいつらともっと仲良く出来るのにな)
ゲームキャラとはいえ、容姿だけで言えばセラはもの凄く可愛らしい。
小さく整った目鼻立ちに大きめの瞳が、バランスよく配置されていて愛嬌を増している。
背丈も俺よりだいぶ低く、触れば折れてしまいそうなほどに細く華奢だ。
それだけに、ギルマスとして威厳のある格好をしようとしているのだろう、黒塗りのマントがついた豪奢な衣服を身に纏っている。
ギルマスは、ギルドの顔として相手に舐められない為にも容姿に気を配らなければならない。
実際、今のセラは昔と比べてもずいぶんと態度がでかいというか、自信がありそうだ。
きっとこれまでに、何回も苦難を乗り越えてきたのだろうと思う。
それだけに、分からない。
「どうして、セブンスエッジのギルドマスターなんかになったんだ?」
セラの視線が完璧に俺からはずされ、大広間の意匠をこらしたガラス窓へ彷徨った。
「それを聞いてどうするつもりなの。どんな答えを期待してる? 私は変わった。このギルドも。変わるしかなかった。クロードにいはまだ気づいてないだけ。一年前よりこの世界は、変容してるのよ」
変容。
そこまで言うほどに、WEOは変わっているのか。
復帰したばかりとは言え、俺はここ数日でWEOがそこまで変化していないように感じていた。
もちろん、じっくり昔と比較したわけじゃないが。
「その様子じゃ、クロードにいは昔と変わらず今もにぶちんってことね~だいぶ変わっちゃったのかと思ったけど。そうでもなかったのかしら」
フフン、と鼻を鳴らしてセラは目を細めた。
どうやら俺を馬鹿にしているつもりらしい。
「そういうセラはだいぶ変わったな、見違えたよ。綺麗になったな」
「ば、馬鹿じゃないの!?き、綺麗だとかいきなり何言っちゃってんの!?」
ばふん、という音が聞こえそうなほど顔を真っ赤にしてセラは怒鳴った。
昔から、セラは褒められると過剰なほどに反応が返ってくる。
そこが可愛らしくてついつい、いじめてしまうのだが。
「全く……そういう歯の浮くような台詞は言わないでって……そんなこと言っても聞くわけないか……」
諦めたように、フーとため息わついてセラは俺を睨みつけた。
どうやら、彼女もこの一年で俺に対する認識を深めたようだ。
最もその一年は空白だったわけだが。
「内面も成長しているとは……一年とはかくも長いものだったか……」
「クロードにい……さっきから私のこと馬鹿にしてない……?」
まさか、と言って曖昧に誤魔化す。
照れた顔のセラが愛らしくてついつい、いじめてしまうなどと口が裂けても言えるはずがない。
「それにしても、驚いたな。シンクレアが俺をここに連れてきたってことは……どういうことなんだ」
「あのね、クロードにいは、もう少し頭使ってからしゃべった方がいいと思うよ」
辛辣な言葉を投げつけられて、返す言葉もない。
「シンクレアがクロードにいと一緒に居るっていう情報があったからね。あの女にクロードにいを一度ここへ連れて来るように言っといたのよ」
情報と聞いてまず思いついたのはOZの顔だった。
あのやろう……俺の情報を売ったな。
「どうせ、クロードにいのことだし。何のアテもなく行き当たりばったりで過ごしてるんだって分かりきってたからね」
そこでセラは、言葉を切り唇をぺろりと舐めてにんまりと笑った。
「そこで、私から提案があるの」
更新するする詐欺ですいません……。
PSO2が……
新クラスまだですか!?