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会合《assembly》

夢を見ていた。

辛くて、痛くて、寂しくて、それでいて悲しい夢。

でも、不思議と夢の内容は思い出せない。

「クロ……!…………-ド!!……ク……!……!!」

誰かが、俺を呼んでいる。

それが認識出来ても体は動かなかった。

重たい鉛でも流し込まれたかのように、手足の感覚は鈍く、緩慢だった。

(まぶた)が重い。

俺はこんなところで何をしているんだろう。

思考が上手く働かない。

「クロード!……!……!クロード!起きて!目を覚ましてよッ!」

誰が俺を呼んでいるんだ?

もう疲れたよ。

このまま眠らせてくれ。

俺を起こさないでくれ。

「この……馬鹿ッ!どうして起きないのよ。アンタが居ないと……私…………」

泣いているのか?

誰が?

どうしてだろう。

でも……このままじゃダメだ。

そんな気がする。

起きよう、誰かの涙を見るのは、もうごめんだ。

意識が一気に引っ張られるような感覚。

そして、クロードは長い夢から覚めた。

「おいおい、泣いてるのか?」

「クロードッ!よかった・・・・・・だって全然目を覚まさないだもん。心配かけさせて!この私に!アンタわかってんの、私を庇って大怪我したのよ!あと泣いてないから!」

顔をグシャグシャにしたまま言われても全く説得力がないぞと言おうと思ったが、ガンガンとシンクレアの声が頭に響き、クロードは吐き気を催した。

「お願いだから、少し静かにしていてくれ……」

「あのねぇ、私がどれだけ心配したと思ってるの。アンタあんな無茶して……死んだらどうするつもりだったのよ」

「死ぬってこれはネットゲームだぞ……」

そうは言うものの、あんな光景を見た後では何の説得力がないことをクロードは理解していた。

「全く……しょうがないわね……アンタは……」

そう言ってやっとシンクレアは落ち着いたようだった。

冷静になったシンクレアと状況を確認することにする。

「グローリアはどこにいったんだ?」

「グローリアってあの襲ってきた女のこと?あいつなら私が目を覚ました時はもういなかったわよ」

「それは、おかしいな。あいつはシンクレアと俺を殺すつもりだったんだ。こんな中途半端で満足するわけないと思うが……」

そう言いながらクロードは、自分の体を確認していた。

体のあちこちに大なり小なり傷跡があるが、シンクレアが治療してくれたのだろうほぼ回復しかけていた。

ただ、一部を除いて。

「これは……」

クロードは、自分の左腕を掲げた。

左腕があったはずの場所には何もなかった。

正確には、上腕から先……が無い。

よほど、あの大剣は鋭利だったのだろう。切口はあまりに鮮やかで、逆に失血は止めやすいようだった。

クロードは数秒間黙って自分の上腕から先がない腕を見ていた。

沈黙に耐え切れず、シンクレアが口を開いた。

「どうして回復しないのかな……その……部分破損ってライフポイントが8割以上で回復するはずでしょ。クロードは、もうほとんどライフポイントを回復してるし、本当ならその腕も……」

言いたいことは分かっているつもりだが、クロードにはある種の確信があった。

自分はようやく真実の扉を叩いたのだ。

代償は安くなかったが、近づいた。

もしかしたら、これからはより一層危険になってくるかもしれない。

もし、そうだとしたら……シンクレアを巻き込むことになるだろう。

ある決心をしてクロードは、口を開いた。

「なぁ――――――」



どうしてこうなった。

神谷暮都は、思わず天を仰いだ。

気分はまさにブルーというか、ブルーを通り越してシルバームーンだ。

何を言っているのかわからないと思うが、暮都自身自分が何を言っているのかわからない。

本当なら、自身の体に起こっている異常とも言える自体に頭を抱えながら、一晩中家に引き篭もっているところなのだが、なぜか暮都は自宅から自転車で30分ほどの滅多に使わない喫茶店に訪れていた。

そうなった元凶とも言える存在は未だにこの場所に現れていない。

既に約束していた時間を軽く一時間と30分ほど過ぎているというのにだ。

それだけの時間は、いかに暮都がテンパっていたとしても少なからず落ち着くのには十分ではあった。

些かコーヒーを飲みすぎた感はあるが…………喫茶店で何も入っていないカップをテーブルに乗せ続けるのは何か悪いことをしているような気が……というのは達前で、暮都は緊張感を紛らわす為にコーヒーを飲み続けていた。

少しは効果があったのか、今はとりあえず表面上は落ち着いている。

カランコロン

喫茶店の扉が開き、扉に取り付けてある小さな鐘が小気味良い音をたてた。

もはや、条件反射になったかのように暮都の視線が機械的に扉方面へとスクロールする。

入ってきたのは壮年の男性だった。

ほっと無意識に止めていた息を吐く。

いや、もしかしたら……そんなことはないと思うが……まさか……

チラッチラッと暮都は、入ってきた男に視線を向けていたが、その男はそ知らぬ様子で暮都から離れた席についた。

はーとため息をつく。

こんなことを何回繰り返しただろうか。

いい加減うんざりしてきた。

大体こんなところに呼び出しておいて、自分だけ時間に遅れてくるとは何事か。

いや……まぁ少し遅れたというくらいなら、怒ることは無いのだが……。

「もう二時間か……一体いつになったら来るんだ……」

ついにクロードは、独り言をぶつぶつと呟き始めた。

周りの客がこいつ危ないぞ……という眼差しで見つめているのにも気づいていない。

「あのー」

なので、自分の目の前に立っている人影に、声を掛けられていることにもまるで気づいていなかった。

「大体あいつも、あんなに怒らなくても良かったはずだ……」

「あの、すいません……」

「いや、俺の話の切り出し方が悪かったのかもしれない……もっと他の言い方が……」

「ちょっと、アンタこっち見なさいよッ!!!」

「うわっ!?」

突如として響いた大声に驚いた暮都が見たのは、よく見慣れた顔だった。

同時に現実(リアル)では有り得ないはずの顔だ。

その時の暮都は、正に鳩が豆鉄砲をくらったような表情だったという。

そんな暮都の目の前にいたのはシンクレアだった。


どうも、たちまるです。

最近はニコニコでマインクラフトの動画がいっぱいあるので、ちょこちょこ見ているのですが、自分でやるとすごくめんどくさいです・・・・・・

とりあえず匠さん爆発するのやめてくださいТТ

複数の方にどうしても錬装士という名称は某ゲームを彷彿とさせるというコメントを頂きました、その為今回名称変更をさせていただきました。

それに伴い一部改稿を行うかもしれませんが、話の大筋は変わらないので、拙い文章ですがこれからも楽しんで頂けたら幸いです。

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