開催!
「それではここに開催を宣言する!」
大会の開催宣言が終わり、いよいよ大会が始まった。
大会は一週間行われ、団体、個人の順で進んでいく。最初の団体戦は一日に三回戦って、勝利数の多い4チームが三日目の決勝トーナメントで戦う。
そして個人戦は四日目から最終日まであって、最後は五、六人程度でバトルロアイアルして最後の一人が次のトーナメントに進める。あとは三日かけてトーナメントを進めるらしい。
洋平
「まぁ取り合えず作戦どうりにいこうか」
深雪
「そうですね」
花音
「洋平、背中は任せて」
相澤
「…頑張る」
黒谷
「必ず勝ちましょう」
三枝
「勝よ」
全員やる気満々で試合場に出た。
大会ってだけあって観客の数は驚くほど多かった。
俺たちと同じタイミングで相手のチームも出て来た。相手は7人、団体戦のルール上最低5人で最大10人までOKだから問題はない。
洋平
「まぁ大丈夫だろう」
俺は刀を抜刀して、構えた。
他のみんなも構えて詠唱する準備をした。
相手のチーム全員も構えていた。
微かに緊張が流れる。
試合開始の合図が鳴り、互いに詠唱を開始した。俺を除いて…
洋平
「詠唱が遅いんだよ!」
俺は一人相手チームに突攻した。
一番近い人物を刀でダメージを与え、詠唱を中断させた。
当然狙いは俺に集中した。火の塊やら風の刃など周りから飛んできたが、俺はそれを避けたり刀で防いでいた。
洋平
「もうそろそろかな…」
周りを囲まれていたから、俺は抜け出すために再び一人に刀でダメージを与え、怯んだ隙に抜け出した。
少しの間、俺は下級魔法を無詠唱で乱射して牽制し、その場から移動させなかった。
花音
「…グランドウォール!」
深雪
「…アクアパニッシュ!」
黒谷
「…サイクロン!」
上級魔法の詠唱が終わった三人の声が聞こえた。
岩の壁が相手チームの周りを囲むように出てきて、あとは岩の壁の向こうから悲鳴しか聞こえなかった。
深雪と黒谷さんの魔法が壁の向こうで発動したんだと悟った。
壁が無くなるとそこにいたのは気を失っている相手チームのメンバーだった。
そして試合終了の合図が鳴った。
その後の試合も難なく勝って、一日目は終わった。
洋平
「…さすがに痛い」
大会が開催されている場所は住んでる街から離れていて、今は学校が用意した宿屋の部屋にいる。
洋平
「魔法を刀で防ぐのも考え物だな」
最初の方は軽く防げたけど、後半になるにつれて防ぐ度に手に痛みが走っていた。
みんなには気付かれてないだろうけど、手の感覚が殆どない。
リナ
「大丈夫ですか洋平様?」
洋平
「結構ヤバイかも…」
リナ
「見せてください。回復できるかもしれませんから」
リナは俺の手の近くまで移動した。
リナ
「これならある程度には回復できます」
洋平
「それじゃあ頼むよ」
リナ
「はい」
リナに両手に回復魔法をかけてもらった。完治はしてないだろうが、だいぶ痛みはひいた。
洋平
「いつもありがとうリナ」
リナ
「いえ、回復は私の担当ですから」
洋平
「それでもリナには助けられているからな」
俺はリナの頭を指で撫でた。
リナ
「洋平様が自分の事は気にしない戦い方をしているからですよ」
洋平
「リナがいるから安心して前に出られるんだよ」
リナ
「もう…、自分の体は大事にしてください」
洋平
「努力はするよ」
リナ
「約束ですよ」
俺とリナはその後も少し話して、眠りについた。