帰還の後
久しぶりの洋平視点です
別世界から戻ってから2日間学校を休み、今日は久しぶりに登校する
愛梨「お兄ちゃん…本当にそれを持って行くの?」
洋平「ああ、そうだけど」
俺は別世界の友人から貰った刀を腰に付けたホルスターに差しながら言った
愛梨「魔力を感じるけど、それって剣?だよね…」
洋平「一応これは剣じゃなくて刀な」
愛梨「よく許可が降りたね」
洋平「魔力を調節すれば人は斬れないからだろう」
この刀の刃は魔力で出来ている
抜くときに流し込む魔力の量で切れ味が変わる
あいつが抜けなかったのもこの仕組みが原因だ
で、最低限しか流し込まなかったら、木刀のようになる
洋平「ほら行くぞ愛梨」
愛梨「待ってよお兄ちゃ〜ん」
学校の校門から教室に入るまで、まるで死人を見るような視線を受けながら歩き、教室に入ると周りから質問攻めにあった
一通り質問を返してから自分の席に座り、そして顔を机に伏せて寝る体制をとり、ゆっくり目を閉じて寝る
洋平「…なんで自分の席に座るまでにこんなに疲れるんだよ…」
ぼやきながら意識を手放した
???「洋平〜お帰り〜」
背中に痛みが走り、手放したはずの意識を強制的に戻された
洋平「ッテェ〜、誰だ!って花音か…」
花音「洋平が居なくなって寂しかったんだよ」
洋平「そうか…それは悪かった」
花音をよく見ると目に涙を溜めているように見える
花音「洋平と…もう会えないかも…しれないと…思って…」
洋平「……」
何て言えばいいかわからなかった
涙混じりに聞こえてくる花音の声に俺は言葉を失った
洋平「…花音、本当に心配かけてごめん、もう二度居なくなりはしないから」
花音は俺の言葉を聞いて、栓が取れたように涙を流して、俺の膝に顔を伏せて泣いた
洋平(……視線が痛い)
朝の教室、もちろん他の生徒が沢山いる
そして花音が鳴き始めてから教室内の注目を集めた
てか愛梨と深雪からは殺気を感じる…って黒谷さん、相澤さん、三枝さんの3人からも殺気を感じるんだけど…
洋平「か、花音…取り合えず泣き止んでくれないか?もうすぐ先生来るんじゃないか?」
花音「…ぐす、うん、そうする…」
花音はまだ泣いていたが、自分の席に戻って行った
そして少しして先生が入って来て、俺と深雪を見て驚いてから、SHLを始めた
洋平「ん〜、今日は久しぶりに魔法を使うか〜」
俺は背伸びをしながら言い、そのまま火の下級魔法を伸ばした手から出した
火の弾が空に向かって飛んで行き、消えた
洋平「腕は鈍ってないかなっと」
地面を踏み、少し離れた場所に地柱を出した
洋平「あらよっと」
右手を下から上に動かして氷の柱を出した
洋平「これくらいでいいかな」
あとは実戦の中で思い出せばいいや
洋平「よーし、先生、準備出来ました」
「そうか、ならお前ら遠慮はいらねぇ、全力でヤれ」
「おー!!!」
先生が男子生徒に言うと、一斉に詠唱を始めた
この状況になった理由はSHLのときにある男子生徒が先生に俺が弱くなったんじゃね?てきなことを言ったから俺が、なら勝負するか?と言い返したのが始まりだ
それがエスカレートして、俺一人VSクラスの男子全員になった
洋平「負ける気はさらさら無いから、さっさと終わらせるか…」
俺は最低限の魔力を流し込んで刀を抜いた
洋平「まず一人」
近くにいたヤツの腹に峰打ちをして、気絶させた
「これでもくらえ!」
前方、左右の三方向から火と水が飛んで来た
が、互いにぶつかって相殺したりして、結構抜け目があった
洋平「チームワークが無さすぎる…」
避けながら前進して、避けきれないのは刀で斬った
そして、刀に魔力を流し込んで、横に振り、魔力の塊を飛ばした
洋平「意外と出来るんだな」
思い付いたからやってみたが、意外と出来た
洋平「残りはこれでいいか…、万物を司る四つのエレメント、我に仇なす敵を滅せよ」
俺の四方に四つの球状の魔方陣が展開し、俺は自分の周りに結界を張った
洋平「エレメントボム!」
魔方陣がそれぞれ光、爆発した
さすがに加減はしたので、病院送りのヤツはいないはず…
「全員の気絶を確認、この勝負、片桐の勝ち!」
私闘に近いから試合開始と終了の鐘はならない代わりに先生が取り仕切っていた
俺は結界をといて、刀を鞘に戻した
観戦していた女子が一斉に歓声を上げた