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一人百物語

チーン

作者: 犬猫夜行
掲載日:2026/07/19


チーン、とどこかで音がして目が覚めた。自転車のベルの音の様だった。

枕元の時計を見ると、朝の6時前だった。十二月の早朝の空はまだ明けていない様で、部屋の中は薄暗かった。

起きるには少し早かったので、再び眠った。


その翌日の朝。

また、チーン、という金属音で目が覚めた。

時間は昨日と同じ、まだ暗い6時前だった。

音は玄関の外で鳴っているようだった。

またそのまま眠ってしまった。


そして翌々日の朝。

また、チーン、という音で目が覚めた。

時間も同じ、6時前だった。

その日はいつもより早くに出勤する予定だったため起きだし、玄関外のポストの新聞を取るために、寝ぼけまなこでドアを開けた。

すると

外側に押し開けたドアが、ドンと何かに当たった。

ドアの外に何か……誰かが立っていた。

それはどういうわけか

競技用のヘルメットをかぶり、競技用のぴっちりとしたシャツと短パン姿の、立派な体格の知らない若い男性だった。

しかも、左肩には競技用の自転車をかついでいた。


男性はその格好で、無言で部屋に入って来ようとした。


「……なっ?!ちょ、ちょっと!?」

わけがわからないまま玄関先でドタバタしていると

いつの間にか男性の姿は消えていた。


以後、チーン、という音がして目が覚める事はなかった。




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