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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

広告の男

作者: 山田モタ
掲載日:2025/10/15

あらゆる不思議な経験は、何者かが故意に行う何かの影響なのかもせれない。


 動画配信サイトの広告機能というのはやけにめんどうである。スキップするまで数秒間待たなくてはならず、視聴者を苛立たせてきたクソ仕様である。サブスクリプションに入らないと広告は消えない。だからと言って毎月の支払いができるほど金銭面に余裕がない。

 この成人も、広告機能に悩まされている一人である。成人の名は強力(ごうりき) (りき)

 強力はフリーターで彼女なし。経済面に少々問題があり、危機迫る日々を送っている。帰宅すればWi-Fiが繋がった環境で動画配信サイトに没頭する日々。

 そんな娯楽の時間を、たかが数秒の広告に悩まされる。イライラが募り、広告が流れては、ひじ掛けや枕として活用する毛布に当たる。気の小さい男なので、物に当たることに関しては全く問題ではないのだが、広告が流れるにつれて殴る力が強くなる。特出すべきは、苛立ちを喉から吐き出すかのような行動である。

例で言えばこうだ。

 動画の視聴中に、いきなり美容クリニックの広告や株を進めてくる詐偽広告といった広告が流れてきたとき、強力は毛布を殴り、「くそ!」と暴言をはくのだ。声に出すのは広告に対してだけなのだ。

 広告が流れた瞬間、スキップ表示が出るまで音量をゼロにする。視界に入るのは防ぎようがない。せめてもの抵抗として、不快な音だけは排除したい。彼は広告のお陰で、広告が表示された瞬間に音量を瞬時にゼロにするスキルを獲得した。音量をゼロにするスキルは、日本中で強力に勝てる者はいないだろう。ちなみいこのスキルは有象無象の分類に入るくその役にもたたないので習得する必要はない。


 彼の脳内で広告が流れたのは、フリーター歴5年目のこと。

 浴室でシャワーを浴びていた強力は、広告の音源に気づき、その発生源を探ると強力の近くであることは容易にわかる。

 強力はわけがわからず混乱していた。そして数秒ほどたつと、広告の音が止んだ。あの音はどこにでもあり触れた広告の音源であり、内容も株の詐偽広告で、とるに足らないものであった。

それが数日も続き、強力は気が滅入り痩せ掘ってしまった。顔色は妙に青白く、足取りもおぼつかない感じだ。

 広告が入る頻度は動画配信サイトと同じである。耳を遮っても、脳内から発する音だから、無音応対になることはない。病院に一度受信したのだが、原因がわからないので治療法方がわからない、と言われ、病院には行っていない。

 睡眠時間はあってないようなもので、広告の音でたたき起こされたせいで目の下の熊も、日を追うごとに濃くなっていった。バイト仲間に心配されるほどに、そのやつれかたは異常であった。


 しばらくたってから強力は死んだ。疲労が溜まり、首をつって自ら死んだのだ。この音から逃れるため必死だったのだ。だが、彼は知らなかった。死んだあとは広告から逃れられるものだと思っていたのに。




 「館長。ニンゲンの私生活を監視していたのですが、ニンゲンが死にました」

 とある星から地球の大気圏にやってきた宇宙人。ニンゲンの生態を知るべく、大気圏に制止させた宇宙船でニンゲンの行動を優秀な化学力で監視し、実験してどのような動きをするのか見ていた。この宇宙人はサドノンという名前であり、サドノンは宇宙船の館長、サイオジョウに死亡したニンゲンの報告をした。

 「わかった」

 「ニンゲンが作り出したシステムを延々とこのニンゲンに流し続けた結果、予想通りの行動をとりました」

 「わかった。ご苦労である」

 この宇宙人たちは、ニンゲンの生態を調べ、ニンゲンを根絶やしにするかを判断するためにこの星へ来た。地球の下調べをしていたから、地球周辺に回る人類が作った衛生に宇宙船の存在を気づかれぬよう、ステルス加工を施した宇宙船できた。

 「しかし広告の内容は同種を陥れるような内容が含まれていて、ニンゲンを根絶やしにする方向にまた一歩踏みましたね。どうしニンゲンは他者を陥れようとするのでしょうか?」

 サドノンがサイオジョウにそう問いかけた。

 「うむ。ニンゲンは傲慢で、己の利益に目が眩んだらなにがなんでも突っ走ってしまう。我々と違うところは、思いやりの欠如である。我々は利益に目が眩むことなどない。これがニンゲンと我々との違いなのだよ。よく覚えておきたまえ」

 この宇宙人は、宇宙の秩序を保つためにいる組織であり、異星人同士が協力して正す存在で、異星人同士は協力関係にある。この協力する条件は知的生命体に限った話である。当然人間も宇宙人たちと宇宙船に乗り宇宙の近郊を保たなくてはならない存在なのだ。過去に地球へ訪問し、国にその話をしたのだが、人間はそれを了承せず、結果的に宇宙人を殺害し解剖してしまった。

 人間を乗組員にすることで多大な利益になる。だから根絶やしにするには惜しい人材なのだ。

 「新しいモルモットを探すしかない。では頼んだぞサドノン。私は再度監視に回る」

 「ラジャー」



 これから宇宙人は人間を根絶やしにするのか、それを決めて実行に移す。今、私たちは宇宙人に見られているのかもしれない。私たちができるのは、規律正しい行いをして、外から来た者に友好的な生命体であることをアピールすることである。強力のような目に遭うのは、次はあなたなのかもしれない。幸運を祈る。

何者かが我々の生活に触れても、なす術はない。

友好な存在であることを、アピールしなくてはならない。

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