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NewYear Short Short Short 2025

挿絵(By みてみん)


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挿絵(By みてみん)


    四国八十八か所巡礼


上図は巡礼の対象になっている八十八か寺の本尊を取り上げ、空海上人も交えて描いたイラストです。


私の親友は熱心に霊場の巡礼を繰り返し行っているお遍路さんです。

定年を迎えて、自由の身の上になってから、数年に一度実行し約一カ月で、回りきって所謂「結願」を何度も達成しているほどの本格的な巡礼者です。

装いも白装束を着て金剛杖を手に菅笠を被り、輪袈裟を首に通して脚絆を履いた典型的なお遍路姿です。

その他お遍路用品、下着等日用品をバックに詰め、もちろん伝統的な徒歩で八十八の札所を巡っています。

目的の寺院に到着すると、作法手順に従って門前で合掌礼拝、手水舎で清め、あれば梵鐘した後、線香、賽銭、納札を納める。そして、般若心経等の読経をして祈願。

さらに、持参してきた納経帳、掛軸、白衣に朱印を押す等の一連の儀式を行った後、再び山門前で合掌礼拝一礼し、次の札所に向かうのです。


その彼からは、やはり日中歩き通しのため、足のつま先を痛めやすく、その他のアクシデントもあるかもしれないので、薬品は必ず持参し、暗くなるとお遍路専門の宿泊所がありますが、のんびりも出来ず、下着類の洗濯、アイロン掛け等、次の日に備えていると聞きました。

もともとが、大変な勉強家で様々な資格を取得しており、公務員、および複数の企業での勤務経験があり、非常に優秀で転職に関しても、ハイキャリアの肩書があるほどの人物です。

自ら定めた目標に向かって、最後まで貫き徹す信念を有し、極めて真面目な人格者でもあります。

もちろん私は尊敬し、長年にわたり懇意にしていただいております。


その彼がつい最近巡礼地の四国を通り越して、はるか遠くへ旅立ってしまいました。

もう再び言葉を交わせないと思うと、寂しさが募ります。巡礼に関して充分に意志を貫いたのか、いやまだ中途だと判断し、これからもかの地で続行するのか、今となっては定かではありません。


しかしながら、私にとってはその彼と知遇を得られたことは誇りに思います。


****

挿絵(By みてみん)


   キャンプに行こう


「テントは積んだし、マットに寝袋、シート類も用意したし」


「それにチェア、テーブルも持っていくわよ。食事の時に必要だから」


「ねえ、ねえ。食べるものは忘れてないでしょうね」


「お肉に野菜、それに米や卵、その他いろいろクーラーボックスに入れてあるから」


「僕、飲み物も欲しいな」


「大丈夫、お茶にジュースも用意してあるわ。ほかにも飲みたいものがあれば途中で買えばいいから」


「それじゃあ出発しようか。皆車に乗った乗った」


親子4人ミニバンに乗り、目的地であるキャンプ場に向かった。

2時間半の距離にあるが、途中渋滞もなく車中楽しく、賑やかに会話も弾み、あっという間に現地に着いてしまった。


「天気も良くってよかったな。眺めもいいし、絶好のキャンプ日和だな」


「そうねえ。周りは緑に囲まれていてとても素敵だわ」


「パパ、ママ、ここでテント張るんでしょ。私手伝うから」


「僕、お腹すいちゃった」


「アハハ。早くテントを張って、それから料理に取り掛かろうか。皆で手分けして車から用具を出していこう」


「ハァーイ!」


そして、一家全員で持参してきたハンマーやベグ等の道具を使って設営、内側にインナーシートを敷き詰め、外側に食事用テーブル、折り畳みチェアを設置しスムースにキャンプ空間が出来上がった。

そして、調理具、食器、燃料、食料等を取り出し料理に取り掛かる。

炭をおこしバーベキューを始め、肉、野菜、ウィンナー等を焼くと、周りに何とも言えないいい匂いが広がった。

その後、卵料理、米も炊いてキャンプごはんを一家全員が満喫した。


「もうお腹いっぱい。とってもおいしかったわ」


「僕も満足。ねえねえ、これから何するの?」


「暗くなったら、キャンプに来ている人たちで集まって焚火をしようっていっていたわ。にぎやかに皆で楽しむのよ」


「ワアー、それは嬉しいな」


「明日になれば、近くにアスレチック遊具やちょっとした冒険が楽しめる施設があるんだ。そこにも行ってみるよ」


「なんだか、ワクワクしちゃう」


「もっと驚くことがあるぞ。湖の方に行って仲間でクルーザーに乗ろうって話もあるんだ。船の上で景色を眺めることができるぞ」


「もう最高。早く明日にならないかな」


「あはは、休みはたっぷりあるから、充分楽しめるよ」


「あれ、なんかリリリーって音がしない?」


「そうねえ。何の音かしら」


「テントの中から聞こえてくるぞ。パパが確かめてこよう」


そして、中に入り鳴っている物に近づき止めようと手を伸ばした。


その瞬間、私は目を覚ました。

目覚まし時計のつまみを押さえて音を止める。

思い切り伸びをして起きようとしたが、もう少し寝ていたい気がする。

昨日も遅くまで残業。今日も忙しい1日が始まると思うと憂鬱である。

休日も出勤を求められて、仕事づくめの毎日が続く。

しばらくのんびりと過ごしたいと思うが、夢のまた夢。


そういえば、妙な夢をみた気がする。

思い出そうとしたが、すぐに現実に戻ってしまいあきらめた。

そして、よっこらしょっと起き上がった。



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