たまごの殻はモザイク画の材料
挿絵の画像を作成する際には、「AIイラストくん」を使用させて頂きました。
夏休み序盤に共同戦線で宿題を仕上げるのは、確かに名案だと思うの。
計算や漢字のドリルは競い合えば捗るし、友達同士で相互監視すれば気が引き締まって怠けないからね。
それに一人じゃ手間も時間もかかる工作や自由研究も、協力すればすぐだもん。
そこで今日も四年一組の友達である吹田千里ちゃんと猪地乃紀ちゃんに家へ来て貰い、工作の宿題に共同で取り組んだの。
その甲斐あって、絵の具で彩色した卵殻を用いたモザイク画は今まさに完成したんだ。
「ここに最後の殻を貼り付ければ…やった!何処から見ても、浜寺公園の薔薇園だよ!ふぅ、骨が折れたなあ…」
「上手いもんだよ…さすがは県の美術コンクール入賞者の乃紀ちゃん。私だったら、こうは上手くいかなかったろうな。」
図工の成績優秀な友達の腕前に感心しているのは、今回の共同戦線の発起人である吹田千里ちゃんだ。
この二人の協力無しじゃ、宿題もここまで捗らなかったね。
本当に感謝してるよ。
そして私達の共同戦線は、最後に残った宿題である七日分の日記にも応用する事にしたんだ。
要するに、日記のネタの段取りを三人で考えるって寸法だね。
「今日の午後は映画鑑賞として、その次は?乃紀ちゃんも千里ちゃんも、何か案はある?」
「共同戦線の発起人としては大浜公園での海水浴を推したいね。『千里ちゃんの新しい水着が凄かった』って遠慮なく書いて良いよ、明花ちゃん。」
千里ちゃん、新しい水着が余程に嬉しいんだね。
黒いビキニとは大胆だけど。
まあ、私もピンクの水着を新調したから気持ちは分かるけど。
でも日記のネタ欲しさに「ポロリ」をやる気なら、全力で阻止しないとね。
流石に洒落にならないよ。
何にせよ、まずは腹拵えの昼食だね。
堺市立土居川小学校家庭科クラブ所属の腕前、見せてあげるよ。
「サッサと作りたいから…卵炒飯と解き卵のスープで良いよね?」
「うん、良いと思うよ!材料が沢山あるもんね!」
千里ちゃんの言う通り、殻を割った卵を有効活用しなくちゃ。
さて、白米にゴマ油を用意して…
「あっ、塩が足りない!お母さん、買い置き何処に置いたっけ?」
今更気付いても遅いね。
何とか軌道修正しなきゃ。
そう言えば、先日の大叔父さんの御葬式でお清め塩を貰ったっけ…
「仕方ないなぁ…この小袋の塩で間に合わせよう…」
少し罰当たりかも知れないけど、背に腹は代えられないよ。
それにキチンと有効活用するんだもの。
大叔父さんの魂も、多目に見てくれる筈だよ!