↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/41

#21 破壊竜アカネ


 ようやく吹雪が収まり、雲が開き太陽が差し込んできた。

 そして、二人は休憩を終え、また進み始めたのだった。

 

 「すっかり睡気が覚めたよ」


 ミミィが真っ赤に腫れた両頬を撫でながら雪をかき分けながら進む。その後を追うようにジンも小走りで進んだ。


 「元気そうで何よりだよ」


 それにしても、ミリエルはいつまで俺の身体のなかにいるんだよ、もしかして消化しちゃった?

 

 「え、あれって!」


 俺の目の先には、真っ白で赤い瞳のウサギがいたのだった。

 実はこういう小動物が好きなのだ。


 「おいで……」


 手を仰ぎ、腰を引くく落とし、ウサギを気さくに誘う。

 雪ウサギというのだろうか、なんとも愛らしい顔をしているんだ。

 ウサギはジンの方へ、ピョンピョンと跳ねながら進む。


 「お兄ちゃんそれは……!」


 そしてウサギは俺の人差し指を勢いよく噛む。


 「いっでぇぇ!!」

 「『サンダーアタック』!」


 ミミィは、ジンの指を噛むウサギに向けて電撃を放ち、それを受けたウサギは、バタッと倒れてしまった。

 ミミィは深いため息を吐き、ジンに駆け寄る。

 

 「大丈夫? だめだよ、あんな恐ろしい猛獣を呼び込んじゃ?」

 「愛くるしかったので……」

 「よくもまぁそんなことが言えるね、雪兎は、すごく肉食性が強いんだよ」

 「まじかよ……」

 「次から気をつけなね?」

 「ありがとうございます」


 もお、というような少し御立腹の様子でミミィはまた歩み始めた。

 


 そしてしばらく歩くと、頂上に着いた。


 そこには、雪は積もっておらず、下からは蒸気のようなものが噴出している。

 そして、地面は荒々しく削れており、何か大きな生き物が暴れたのではないかと思わせるほど不自然であった。


 「あったかぁい」


 ミミィが歓声を上げ、辺りを走り回る。


 「見てこれ、木がまるまる灰になっているよ」

 「ホントだ、すげぇ」


 トボトボとそこを探索していると、中心部あたりに、岩に差し込まれた一本の剣を見つけた。


 そしてその隣には


 [選ばれし者にしか抜けない剣]


 と書かれた看板がある。


 すごく、嫌らしい文章だ。胡散臭い。


 「え、選ばれしもの!」


 ミミィが剣に真っ先に飛びつき、剣の柄を持ち引き抜こうとする。

 しかし剣は抜けることは愚か、微塵も動かないのだ。


 「ホントに抜けないのか?」

 「はぁ、はぁ。ホントだって。お兄ちゃんもやってみな?」


 ミミィと場所を入れ替え、引き抜いてみることに……。

 ……びくともしない。


 そんなジンを見てミミィはニヤニヤする。


 「なんか、自分が選ばれてない見たいでムカつくな」

 「でも、抜けないんだから仕方ないよ」

 「いや、発想の転換だ! この剣さえ取れればいいのだ」


 そして、剣へ向けて掌を見せる。


 「『空槍』」

 「こわしちゃうの!」


 バゴーン! と音を立てて崩れる岩。

 剣が抜けないのであれば、その周りの岩を崩せばいいまでだ。


 「お兄ちゃん、セコッ!」

 「いいんだよ、本当に脳のある鷹は爪を隠さない! 自分の知能をフル活用するのだ!」

 「それっぽいこと言ってるけど、ダサいからね?!」


 ジンは次々に岩を壊して行く。

 ついに、剣を片手で引いても引き抜けるぐらい、崩した。そして剣を引く……。


 見た目の割に軽く、新品のようにテカテカした刃は太陽の光を反射し神聖さまで感じさせる。


 そして、おまけのように剣先に刺さっている、楕円型の物体。

 

 「「なにこれ?」」


 二人は口を揃えて言った。


 きっと卵だ、ダチョウの卵くらいの大きさの卵なのだが、中身は不明。

 見た目も、ダチョウのような色と反して、光を吸収するような漆黒だ。


 すると、タイミングを見計らったように鼻の奥から何かが込み上げてくる。


 「ああ、よく寝たのだ」

 「ミリエル……! てっきり消化されたのかと思った」

 「いやまあ、最初は居心地が悪かったのだがな、だんだんヌシの体がワシに《適応》したようでな、割と気持ちよかったのじゃよ」

 「……不思議な体になってしまった」


 ミリエルの目がジンの持つ剣に目が行く。


 「おお、それは破壊竜の卵じゃな?」

 「破壊竜?」

 「おっ、その剣が邪魔しているのじゃな?」


 ミリエルは卵と剣を引き剥がす。


 すると……卵は真っ二つに割れ、眩しい光を放った。


 中から、親指ほどの大きさのドラゴンが出て来たのだった。


 「ちょっ、なに勝手にやってんだよ。誰が散歩に行くとか、餌を、欠かさずやるとか、ペットを買うのは命を買うのと同然の行為なんだぞ(?)」

 「破壊竜のメスじゃな、名前はどうするのじゃ?」


 ジンのことばを無視して話を進める。


 「ミミィ2号!」

 「ちょっとそれはいいかな……」

 「じゃあお兄ちゃんはなにがいいのさ」


 ペット……長い間を共にする……。

 メス……女の子のこと……名前………。


 「アカネとか……?」

 

 自分で言っていて悲しくなる。元カノの名前。


 「アカネ、良いではないか。あかねに決定じゃ!」


 ミリエルはそう言うと、アカネは喜んで俺の鼻の穴に入ってくる。


 「お兄ちゃんの鼻、人気者だね!」


 ミミィが茶化す。


 「全然嬉しくない」


 するとミリエルが……


 「それにしても何故アカネにしたのじゃ?」

 「……淡い、思い出かな」

 「「⁇⁇」」


 忘れたい、忘れられない、苦い過去………………………………。
















 

 

脳ある鷹は爪を隠す? いや脳ある鷹は爪を隠さない(?)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。