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公爵令嬢オルタシアの最後の切り札  作者: 桜井正宗


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失われた時間

「――というわけなの、ヨハネス」

「なんだって……信じられない。でも、君は死んだって一週間前(・・・・)に聞いたんだ」


 あれから一週間も経過していたの。

 そうか、いくら蘇生できるとはいえ直ぐではないんだ。


 あの時は二回も殺されたから。


 わたしは一週間も死んでいて、今日になって生き返ったようだった。そんなに時間を失うなんて……。だけど、その程度の代償で済むのなら安いものだ。



「わたしは、わたしを捨てたフェリックスとビアトリスを許せない。特に義理の妹であるビアトリスは……」


「ビアトリスか。君の妹はフェリックスと共に屋敷に住んでいるようだよ」

「なんですって……」



 フィンガル王国へ帰っていない……どういうこと。

 国の再建を果たし、わたしに復讐したのならビアトリスと共に帰国している予想していたのだけど、違った。


 なら、今すぐにでも屋敷へ向かわないと。


「まった、オルタシア」

「止めないで、ヨハネス。わたしは直ぐに行かねばならないの」

「気持ちは分かるが、君のドレスはボロボロだし……その、汚れも。だから、一度家へ来るといい。新しいドレスも用意しよう」


「そ、そうですね……このまま出歩くのは貴族として恥。その、いいの」

「ああ、歓迎するよ」



 わたしは、ヨハネスに同行した。

 彼の屋敷は帝国の中央噴水広場より南側に位置する場所にあった。


 辺境伯だけあって、立派なお屋敷が見えてきた。


 綺麗なお庭を歩き、ようやく建物の中へ。

 そのままメイドに連れられ浴場へ向かった。


 そこには神殿のようなお風呂があった。



「……これは中々」



 ヨハネスはお風呂にこだわりがあるようで、とても凝った造りになっていた。なんて美しい彫刻。女神や猫など動物の像もあるし、アロマの匂いも気持ちを落ち着かせてくれた。


 ……ヨハネスがここまで持て成してくれるなんて。



 一週間の汚れを落とし、わたしは体を清めた。


 お風呂から出ると、新しいドレスがあった。メイドに手伝ってもらって、わたしは生まれ変わった。


 そのまま一階にある大広間へ。


 足を踏み入れた瞬間、怒声が響き渡った。


 ……この声、まさか。



「どういうことなの! ヨハネス! お姉様が生きてるって!!」

「……ビアトリス。言葉の通りだよ。君たちの計画は失敗だ」

「ふ、ふざけ――ハッ」


 ビアトリスは、こちらに気づいて青ざめていた。


 わたしは微笑んで挨拶を交わした。


 ……さあ、どうしてやろうかしら。

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