一本のナイフ
「オルタシア、ここは俺に任せてくれ」
「フェリックス……でも」
「いいんだ。今までの君を誤解していた……だから、せめてもの償いがしたいんだ」
わたしを守るように前に立つフェリックス。その顔にはもう以前の憎しみはなかった。すっきりした顔で暗殺者たちを睨んだ。
「…………」
「暗殺者共、逃げるなら今のうちだぞ」
「……フェリックス、貴様如きが我々に敵うとでも? こっちは五人もいるのだぞ」
「馬鹿にするな。これでもフィンガル王国を立て直したんだ……。今まで散々ロクでもないヤツ等に狙われてきたさ」
ナイフを取り出すフェリックスは、目にも止まらぬ速さで動き回り、暗殺者集団に斬撃を浴びせていた。
「ふん、当たってなどいないのではな――ぐはああああああッ」
バタバタと倒れていく暗殺者たち。
……うそ、フェリックスってこんなに強かったんだ。
さすがの異常事態に、ヨハネスも足を止めた。
「……なんだと!? フェリックス、貴様……暗殺者集団をナイフ一本で皆殺しとはな」
「俺を舐めるからそうなった」
「どうやら、貴様の力を見くびっていたようだ」
「なら、諦めるか」
「そんなわけないだろう。こちらは剣だ」
腰に携えている剣を鞘から抜くヨハネス。それを構えた。
刹那、ナイフと剣が衝突して火花を散らしていた。
フェリックスは、わたしを守ろうと必死に戦う。
……わたしにも何か出来ることはないの……?




