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第233話 好敵手じゃなかったようです

「嘘だろ! 昨日の今日で俺達を抜いたのかよ!? おかしいだろ! 俺達は片道一週間かけて五十階層の地龍を倒し、やっとの事で攻略したんだぞ! それがなぜ昨日の夕方にスラムにいた奴が今ここにいて、八十三階層まで行ったなんてあり得ねえ!」


「そうなのですか? でもダンジョンカードを見てもらえば分かると思いますが、昨日の登録で、きちんと八十三階層になってますよね?」


 あっ、もしかすると、倒したお兄さんはSランクですけど、他の方はAランクでしたよね? やっぱり一ランク違うだけで凄い差があるのでしょうね。


(ライ。たぶん違うわよ。あなたは私とアミーを背負子に乗せたりお姫様抱っこしながら走っているのよ。この気絶させた奴より何倍も強いはずだわ)


(そうじゃな。こやつらは強いじゃろうが、ライの足下にもおよばんじゃろうな)


「Sランクでも、強さが段違いの差があるとは聞くが、ライ達はこいつらより強かったって事だろうな」


「スゲーな。このまま完全攻略しちまえるんじゃないのか? くぅー、俺も絶対追い付いてやるからな! ってかギルドマスターこの踏まれた薬草は駄目だと思うけど、残りは買ってくれるんだろ?」


「それは構わんが、まずはこいつを衛兵に引き渡しておかなきゃな。おい! 衛兵を呼んでくれ!」


 あ、まだ呼んでなかったのですね。


 受け付けに向かってギルドマスターさんが依頼して、近くにいたおじさんを捕まえた受付のお姉さん。そしてギルドを走り出ていくおじさん。


 じゃあ、起こしておかないといけませんね。少しだけ魔力を戻して、起こそうとしたのですけど。


(ライ、言い忘れてたけれど魔道具は外しておいた方が良いわよ。流石Sランクって事かしら。色々と持っているわ。擬装や隠密とか逃げられそうな物や、攻撃系の物も持っているわ)


(うん。すっかり忘れてました。収納! あっ、パンツだけになっちゃいましたね。でも、良いですよね)


(まあ仕方ないわね、何か適当に服を着せておきなさい。女の人もいるんだからね)


(うん。ほいっと! うん。ちょっとピチピチですがこれで良いよね)


(裸じゃなきゃ良いわよ)


 そして魔力を少しだけ戻して起こしましょう。まわりのみんなは裸になったお兄さんに驚き。今度は一瞬でピチピチの格好になりましたので驚いています。


「お兄さん起きて下さい。あなたは悪い事しましたので、僕が捕まえました。この後は悪い事禁止です。後は、みんなの言う事は素直に聴いて下さいね」


「うぐっ、ん? なんだ······なんで床に俺は倒れてるんだ······っ! あっ! お前は!」


 倒れた状態から、さっと立ち上がったお兄さんは、僕を睨み付けてきます。


「はい、動かないで下さいね、もうすぐ衛兵さんが来てくれますから」


「何っ! どういう事だ! 痛っ! ゆ、指が! 俺の指がおかしな方向に曲がってるじゃないか! チッ! お前がやったのか!」


 お兄さんは曲がっちゃいけない方に曲がってしまった指を握りこんでまた殴りかかろうとしたのですが、折れちゃってますからそれもできずに痛みを感じたのか、一瞬呆然としましたが動くなと命令しましたので動く事もできません。


「はい。お兄さんは冒険者ギルドで暴力を振るい、剣を抜いて斬りかかってきましたから、僕が剣を握っているところを蹴り、握れなくして捕まえたのですよ」


「そうだ。私達、ギルドにいるみんなが目撃したから言い逃れはできない。ギルドは除名で犯罪奴隷になるため衛兵に来てもらうところだ」


「なぜそうなる! 俺はSランク冒険者だぞ! それも大陸最強と言われる俺がなぜだ!」


 ん~、案外仲間の方が強いんじゃないのかな?


(それはないわ。ほらほら、思ったより早く衛兵が来てくれたわよ)


(早かったですね。ってお返事しないと駄目ですね)


「それは、お兄さんより僕の方が強かったって事ですよ。あっ、衛兵さんこっちです」


「この俺がお前より弱いだと······」


 衛兵さんが来たのですがお兄さんはブツブツと呟くだけになりました。ちょうどそこに冒険者さんが二人の衛兵さんを連れて僕達のところに到着しました。


「ギルドマスター衛兵を連れてきてぞ」


「ああ。受け付けで報酬をもらってくれるか」


「おう。酒代にすぐ化けるがな」


 そう言うと小走りで受け付けに向かって行ってしまいました。


「で、ギルド内で剣を振り回した奴は?」


「ああ。こいつだ、すでに奴隷の魔道具も嵌めてあるから逃げる心配はない。普段からの素養の悪さ、今回は剣を抜き襲いかかったんだが、あまりにも躊躇無く抜いていた。私は今回の他にも余罪もあるだろうと思う。そのあたりもきっちり調べてくれるか?」


「ふむ。分かった。って、こいつSランクパーティー『疾風怒濤』のリーダーじゃないか」


 おお。衛兵さんもお兄さんの顔を覚えていたんですね。


 そして衛兵さんに命令され、後ろに付いていくのですが。


「待て! 俺は教会の騎士に今度選ばれる事になってるんだぞ! 教国の騎士団だ! そんな俺を捕まえるだと!? すぐに教会から開放しろと命令が来るはずだ! その時はお前らを捕まえ、一生犯罪奴隷にして鉱山送りにしてやる! くそったれがぁー!」


「喧しい! 黙って付いてこい! まったく。考えてみろ、犯罪を犯した者を騎士団にするなどあり得ない。いくらSランク冒険者と言っても、犯罪は許されるものではないくらい分かるだろ?」


「でしょうね。僕もそう思いますよ」


 教国の教会関係者、そのほとんどが悪者の国でも入れる前に犯罪者と知られてしまった者を騎士団になんて入れるわけ無いのですから。


 衛兵さん二人がお兄さんの前と後ろ挟む形で冒険者ギルドを出ていきました。


 好敵手になるかもって思った事が恥ずかしくなりますね。


 そして僕達とアルは冒険者ギルドの用事を済ませ、スラムに帰りました。

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― 新着の感想 ―
[一言] この犯罪者達の予想する教会が残っていればの話ですけどね
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