表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/241

第10話 馬車での夜営

 “ジュー” 熱々の鉄板で厚切り三センチのオークを焼いて貰っています。


 お兄さん達のリーダーさんはパーティー内で一番料理が上手いそうなのでお任せしました。


 表面を焼き終わり鉄板の上で肉を五ミリほどの厚さに切り分けていきます。


 後はパラパラと塩ハーブ入りで味付けをして完成だということです。


 僕は小さなテーブルを出し、その上に籠に大量に入ったパンを取り出します。


「皆さん、パンもありますので食べて下さいね」


 皆は、突然出てきたパンを見て、“ぎょっ” っと、しますが、手にとってくれました。


「ライ君パンまで提供して貰ってすまないな」


「いえいえ、沢山焼いて収納してありますから気にしないで下さい。形は僕がやったので変な形もありますが、味は保証しますよ」


 マシューさん作の生地を僕が色々形をアレンジした物ですから不揃いです、あはは。


「美味しいですわ、形もこれは角うさぎですわね、目のところまで表現していますし、可愛いですわよ♪」


「うむ、俺のゴブリンも美味いが、ゴブリン形は……リアルだよな、あはは」


 魔物シリーズは半分絶賛、半分は苦笑いをされちゃいました。


 ちなみにそれはゴブリン村長ですよ、一番時間がかかった力作です。


 各々(おのおの)、パンとオーク肉を食べ始め、おなかも落ち着いて来た頃お兄さんが話しかけてきました。


「ライ君、今日はここで夜営して明日の朝出発、夕方には街に着くからそこまでは一緒に行こう」


「はい五台も馬車の戦利品がありますからね。一番小さい僕達が捕まっていた馬車は使いますけど、それ以外は売れますよね?」


 欲しいならお兄さん達にあげても良いのですが。


「ああ、あの馬車は小さく型は古いが堅牢な造りだからな。この馬車なら金貨一枚には確実になるだろう、小回りもきくから少人数で扱うには良い馬車だ、後のは人数的に増えれば良い馬車ばかりに見える、売値も金貨二枚近くになるだろうな」


「おお♪ 凄いです! ところでお兄さん達は使いませんか? 人数もいるようですから、馬車があれば移動も楽になりますよね? あの大きめの馬車なら皆で乗っても行けそうですよ」


 九人居ますから二台でも良いですよね。


 お兄さん達は顔を見合せ少し思案しているようです。


 そして少し話し合い、答えが出たようです。


「では、あの中の二番目に大きな馬車を貰っても良いかな、人数的にあれくらいあると助かる」


「はい、貰って下さい、別に二台でも良いですよ。あっ、そうすると馬さんのお世話が大変ですね」


「そうだな、この盗賊達の馬車は二頭引きばかりだから、流石に四頭は面倒がかかるからな」


 僕達のもそうだが、全て二頭引きだ、箱車ですからね。(ほろ)なら一頭でも良さげですがそれでも上り坂の負担は大きそうです。


 盗賊達だって一台はほとんど飼い葉や馬車の修理用のパーツや馬具の予備なんかが積んでありましたから、馬さんのお世話きちんとしないとですね。


「そうですね、なら残りは売ることにします」


 辺りも暗くなり、夜の見張りはお兄さん達がやってくれると言うので、僕達は馬車で寝ることにしました。


 綺麗になった室内に木箱のベッドを二つ造り、並べただけですが、それの上に僕が作ったマット(空気を入れて膨らませます)、家族にも大絶賛のマットを置いて布団も二組ありますよ♪ 寝具をセットし終えたのですが、ティがあんぐりと口を開け僕を見ていました。


「ティ、どうかしたの?」


「ライ、そんなベッドマット公爵家の私でも使ったことありませんわ、いえ、王様でも無いでしょうね」


 なんと! 公爵令嬢様でいらしたのですね!


 素早く跪き、お許しをして貰わねば首が飛ぶよりお父さんやお母さん、兄達に迷惑がかかってしまいます。


「シャクティ様、これまでの不敬の数々、どうかご容赦をお願いいたします」


 そして深く頭を下げました。


「はわわわ! ら、ライ! 立って下さいませ! ライには感謝しかありませんから、不敬などございません、それとどうかこれまで通り、ティとお呼び下さいませ、そんな風だと私、哀しくなります」


「よ、良いの? そうだ」


 僕は深呼吸をして、自己紹介をやり直します。


「サーバル男爵家三男、ライリール・ドライ・サーバルです。ライとお呼び下さい」


「まあ、剣聖様のご子息の! では私も」


 姿勢を正し、深呼吸をしました。


「ブラフマー公爵家嫡子、シャクティ・アン・ブラフマーです。ティとお呼び下さい」


 そして、僕の肩の上からテラが。


「テラよ! そして騎獣ムルムルよ!」


「「ぶはっ!(ぷふっ!)」」


 僕とティはその様子を見て吹き出してしまい、せっかくの自己紹介が笑いに変わってしまいました。


「な、何よ! 私だって言えない肩書きくらいあるんですからね! ほらほら二人ともそんなカチカチなのはやめて、普通にさっきまでの喋り方で良いじゃん! ね! ムルムルもそう思うでしょ?」


 ぷるぷる


「ほ、ほら、ムルムルだって、“そうだ~” って言ってるわよ! たぶん!」


 たぶんかい! そうだよね、そっちの方が僕も嬉しいけれど。


「そうですわ! ライ、今まで通りでお願いいたしますわ」


「うん、よろしくねティ」


 うんうん、嬉しそうに笑うティってやっぱり凄く可愛いです。公爵様の元にお帰しするまでは、このまま楽しく行きたいですね。


「はい、では明日は出発が早いとの事ですので寝ましょう」


「うん、じゃあ光は小さくしておくね」


「お願いいたしますわ」


 ティは僕に背中を向け何かを待っているようです。


「えっと、もしかして、服を脱ぎたいのですか?」


「はい、侍女が居ませんのでお願いいたします」


「ティ、脱ぎ方教えるから、やってみない?」


「え? よろしいの? 侍女はやらせてくれませんから、教えて欲しいですわ」


 え? えっちな事は考えてませんよ。お着替えなんて前世の時もナースさんにやって貰ってましたから普通ですよね? ライリールに生まれ変わって初めて自分でお着替え出来た時はそれはもう嬉しかった物です。


「このドレスだと前のボタンを外せば脱げますね。ティ、ほら首元のボタンここね」


「はい、これですね、これをどうすれば?」


 胸の少し上に一番上のボタンがあり、ティは胸元を引っ張り僕に示してきますので、僕のシャツのボタンを、見せ外し方、止め方を教えて行きます。


「ほら、こんな感じで」


「うんしょ、こらしょ、どうですか? 上手く出来ていますか?」


「うん、出来ているよ。ボタン外せばスルッと脱げるから脱いだ後は皺にならないようにこのハンガーに掛けておくと良いんだよ」


 このハンガーも僕のお手製DIYの成果です。


「侍女もなぜこれを教えてくれないのでしょうか?」


「なんでだろうね? 家のメイドさん達も最初は教えてくれなかったし、僕が自分で着替えだしたら兄さん達も自分で着替えだしたよ」


 悪戦苦闘まではいきませんが苦労しながらもおなか辺りまでのボタンを外し、袖から手の抜き方を教えました。


 “パサッ” っとドレスが床に落ち、コルセットだけを嵌めたティの出来上がりです。


「ライ♪ 脱げましたよ♪ あっ、コルセットは確かここの紐を引っ張ってましたね」


 ティはコルセットの縫上げてある紐の結び目を引っ張りほどいて、コルセットも外せました。


 見ると体にコルセットの跡が残っていますが、すぽぽんティの完成です。


「ティ、おめでとう♪ そうだパジャマがないよね? それにパンツは?」


「はい、寝間着ありませんわね。パンツは用を足した後、履き方が分かりませんから履けませんので履いてませんわよ? 脱ぐ時も苦労しましたわ」


 そっか、僕は前世ではずっとオムツだったから、パンツの履き方も知らなかったから一緒だね。よし、じゃあパンツは僕の予備で良いかな。


「そっか、なら僕の使っていないパンツ履きなよ。えっとね~、ほいっと!」


 普通の白色で紐で縛る物しかありませんがパジャマとパンツをティに渡し、履き方が分からないと言う事で、僕も着替えのため全部脱いで、見本を見せてあげました。


「うふふふ、出来ました♪ これで侍女に自慢して、弟にも教えて差し上げるわ」


「ねえ。ライ、ティもだけど……あなた達ってお互い裸を見られても恥ずかしいとか思わない訳?」


「「()」」


「はぁぁ、まあ、良いわ、ゆっくり私が教えてあげるわ」


 僕達は顔を見合せ何を教えてくれるんだろうと少しわくわくしながら、隙間があったお互いのベッドを引っ付け、真ん中でテラ、ムルムルも交え、朝までゆっくり眠りました。

 読んでくれて本当にありがとうございます。


これからも読んでもらえるように頑張ります。









 この後書きの下に⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️がありますので、お気軽に応援してもらえると励みになります、もちろん無しでも大丈夫です。

 

『ダメダメです』

『頑張って下さい』

『面白いです!』

『早く続き書いて!』


 とか思われた方はお好きな様に。


 ブックマークでも応援して貰えると喜びます。




 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
「ねえ。ライ、ティもだけど……あなた達ってお互い裸を見られても恥ずかしいとか思わない訳?」 10歳になっているのだから、それなりに恥ずかしさを知らなければ、家庭環境がどの様だったのかと疑問に思うよ。…
[良い点] えっちシーンのはずなのに何だろうこのほのぼの ライ君がいると色んなシーンがほのぼのしますね!!!天性でしょうか!!!
[一言] まだ幼いと言う事で大丈夫なのです!(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ