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「実るといいね」





「第二王子殿下に好きな方が出来たそうですわね」

「まぁまぁ、ユンクライ様はあれだけ好き勝手やっていたのに面白いことですわ」




 インエルとマーデダの婚約が解消されたのち、噂になっていることがある。

 ――それはインエルがとある伯爵令嬢と親しくしているということである。



 インエルは隠していたが、幾ら隠そうとしてもずっと隠し通せるわけではないのだ。その噂が出てくると同時に、マーデダがとても荒れているらしい。取り巻きたちの数が少し減り、それも踏まえて不機嫌そうだ。




「それにしてもインエルは本気でユッテミア様に惚れたのね。あんなに恋か分からないなんて言っていたのに」

「俺にも『俺、彼女にキスしたいって思ったから、恋だと思う』って報告してきたからな」



 インエルはその伯爵令嬢――ユッテミアに惚れているらしい。そしてそのことをジスレニスとバトアンにもインエルは報告していた。

 ユッテミアは伯爵令嬢であるが、領地は小さな方で、あまりパーティーなどにも参加しない家だったらしい。この学園でインエルと会い、仲良くなったようだ。



 ジスレニスとバトアンも既にユッテミアと挨拶を済ませている。

 ユッテミアは、ジスレニスの毒食の趣味に関しては驚いていたが、その趣味を受け入れてくれていた。優しそうな少女だったので、ジスレニスとバトアンも友人としてほっとしたものである。


 あと王家の方でもユッテミアについてはきちんと調べられているらしい。インエルは仮にも王族なので、周りにいる者達のことはしっかり調べられるものである。もちろん、ジスレニスとバトアンのこともきちんと調べられている。


 王侯貴族だと色んな思惑をもって、近づいてくる人たちが沢山いるものなので、そういう警戒心というのは重要なものだ。




「本人にも割と素直よね。インエルは。素直なことは良いことだと思うわ。ユッテミア様は困っていたけれど」

「でも素直に言っているインエルを見て嫌そうではなかったから、上手くいくんじゃね? それよりもユンクライの方が暴走しないかって話だけど」

「そうよね。この前、ユッテミア様のこと、凄く睨みつけていたもの」



 ジスレニスとバトアンは、相変わらず仲良く喋っている。

 マーデダがこれから暴走しそうだとそれに関して二人は心配していたりもするのだ。


 マーデダはこのまま引き下がる気配は全くない。




「何すると思う?」

「分からないわ。直接的に何か仕掛けてくるか、裏でやってくるか。私のことは正直どういう風に言われていてもどうでもいいけれど、ユッテミア様はそこまでメンタルが強くなさそうだからなぁ」

「そこまで言うほど弱くもないと思うけどな。ジスレニスは周りの目を気にしなさすぎだと思うが」

「だって、周りのことなんてそんなに気にしても仕方ないもの!」



 ジスレニスは前世の記憶があり、色んな経験をしているからというのもあるだろうが、基本的に周りの目を気にしていない。

 学園を卒業してバトアンと結婚したとしても、ずっと毒食は続けていく予定である。


 

 寧ろ死ぬまでずっとジスレニスは、毒を食べ続けることであろう。

 ジスレニス本人は公爵夫人になったらもっと毒を収集し、珍しい毒も食べられるように整えようなどと思っているほどであった。






「ふふ、インエルがユッテミア様と恋仲になったらダブルデートしましょう。きっと楽しいわ!!」

「それは楽しそうだな。インエルをからかうのも面白そうだし」

「よね。あの二人って何だか初心そうだし、からかったら面白そう。付き合ってもキスの一つも出来なさそうな感じだよね」



 インエルは少しジスレニスとバトアンが仲よくしているだけでも、顔を赤くしたりするので二人ともからかうと面白そうなどと思っているようである。

 ちなみにジスレニスやバトアン以外のインエルの周りの人たちもインエルの恋が成功することを祈っている。国王夫妻も微笑ましい目で、インエルの恋が上手くいくようにと見守っているのだ。





「何にしても、インエルの恋が実るといいね」

「だな。ジスレニスは下手にちょっかいかけるなよ」

「分かっているわよ。他人の恋は見守っているのが一番だもの。大体、私って前世も含めて恋なんてほとんどしたことないし、そういうアドバイスも出来ないしね」



 バトアンはジスレニスが前世を含めてそういう経験がないことを喜んでいるようで、小さく笑っている。


 ジスレニスとバトアンはそう言う風に会話を交わしながらも友人の恋を見守っているのだった。



 そして徐々に距離を縮めてきたインエルとユッテミアは、周りが望む通りに恋仲になることになった。しばらくの恋人期間を経た後に、婚約を結ぶといった話にはなっているらしい。この前、婚約解消したばかりなので、今後婚約解消がなるべくないように見極めた後にそうなるようである。


 ……そういう状況でもインエルの傍に居ようとしていたマーデダは、周りから嘲笑されていた。

 インエルの隣にいるユッテミアのことを睨みつけているのもよく見かける。



 なるべくユッテミアはマーデダと二人きりにならないようにとはされているらしい。そして周りから見守られているのだ。







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