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夢現 朧月
……カチキチキチ
調子のズレた古時計
止まっていないのが不思議なくらいに
古びたソレを窓から差し込む薄月が浮かび上がらせる。
僕はまだ夢の中
あの家には古びた時計なんてなかった。
だからまだ夢うつつ。
瞼を閉じる
瞳を閉じる
さぁ、、もう一度、、もう一度
なんだか とても しずかだ
、、、
桜が吹雪く
盆に似合わぬ満開に目を奪われる
舞った花弁が
とても赤くて
とっても 明くて
なんだか彼岸花のようで
、、!
真っ赤な彼岸花が河川一面に
川面も川辺も土手さえも
嘔吐くほどに濃い香り
でも何処か懐かしくて
見上げた月は朧がかかっていた