痴漢の対応(彩香視点)
沢山の評価、ブックマークありがとうございます!
凄い人が増えててビックリしました!
今、目の前にいる彼は本当にあの村田君なのだろうか?
「なあ、陰キャってなんで髪伸ばしてんの?」
「…え、俺の事?ははは、なんでですかね~。っていうか陰キャじゃないですし~」
「陰キャって何が趣味なの」
「あ、ゲームとかです!今俺はソシャゲの…」
「ソシャゲwしかもめっちゃ早口wやっぱ陰キャじゃん!」
「えっ? は、ははは、そうですかね…」
春先にあったクラスの交流会ではそんな感じで、きょどっているというか、
とても頼りなさそうなイメージしかなかった。
なのに
「間違いだったら人ひとりの人生を壊すことになるんだぞ⁉お前ら人の人生を踏みにじっていいのか⁉」
「間違いじゃないので大丈夫です。それに人の事を踏みにじったのはアンタだ。相応の報いを受けろ」
「証拠はあるのか⁉」
「俺が見て、確認した。いくらでも証言してやるよ」
ギャップが凄い⁉
駅から降りた時に男が喚き散らしていたが、村田君はそれを軽くいなしていた。
駅員さんに事情を話すときも男が私に目を向けようとするだけで、すっとその間に割って入ってくれたし、パニックになっていた私の変わりに冷静に駅員さんに事情を説明してくれた。
村田君ってこんな人だったんだ…。
とても頼りになる。
この時私は村田君が傍にいてくれていることに心の底から感謝した。
今回の件で村田君には何から何までお世話になってしまった。
もし村田君がいてくれなかったら、どうなっていた事か…。
「とりあえず、学校行こうぜ」
簡単な事情聴取が終わると村田君がそういった。
おかしい。村田君の顔が見れない。
し、しかもこんな時間に二人で一緒に登校したら周りからはただならぬ関係と思われちゃうのでは⁉
「…ふ、ふたりでこの時間に一緒に学校に行くと周囲に誤解されちゃうね」
って、私何言ってるの!?
顔が熱い。
ドキドキしていると彼はわかってるよと言わんばかりにうなずいた。
「OK。俺、ちょっと時間をずらして登校するから先に行きなよ」
そういって彼は改札口から出て行ってしまった。
「えっ?ちょっと!?村田君?」
私は別に一緒に登校して良かったのに!
村田君の姿が見えなくなってからも心臓がバクバク言って止まらない。
もっと彼の事が知りたい。
もっと話をしてみたい。
自然にそう思った。
(そういえば、私下の名前すら覚えていない…)
学校に着いたら確認しよう。そうだ。お礼もしなくちゃ!
その後、私は彼の苗字すら覚えておらず、間違った名前を連呼していたことに気づいて悶絶した。