ドウテイマー 異世界で魔物使いになったが使役数=射精数だったので魔王になれるかも?
俺は泉逗理央 アラフォー 童貞 独身。
だった
半年くらい前に異世界に飛ばされ『リオン 17歳』として冒険者をしている。
童貞と独身はそのままだ。
よくある中世ヨーロッパ風の世界で冒険者ギルドに所属し、日々の依頼をこなして生活している。
実入りはかなり良い。
というのも、俺の職業が
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リオン 魔物使い(ドウテイマー) Lv25
使役状態 315/20720
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「、、、、、、ふぅ」
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リオン 魔物使い(ドウテイマー) Lv25
使役状態 315/20721
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魔物使い(ドウテイマー):自身のレベル以下の魔物をテイムすることができる。使役可能数はxxxした回数と同じ。
エロゲーのような職業特性と前世の功徳が相乗効果をもたらした結果 チート状態になってしまった、、、
つまり、累計xxx数 20721回
すべて自家発電、、、ソロ活動、、、
「よし、出かけるか」
俺は借家を出て近くの下水溜まりに寄ってスライムを回収し、街に繰り出すことにした。
町の中心部と思われる賑やかな方へ向かって行く。
すると街の雑踏と威勢の良い商店の呼び込みなどが聞こえてきた。
「らっしゃーい!今日は新鮮なオーク肉が入ったよー!」
初めてこの町に来たとき、圧倒的王道ファンタジー世界の既視感。テンプレを逸脱することのない安心感。
この世界で生きていける、そんな気がした。
しばらく歩いていると大きな建物が見えてきた。
看板には「冒険者ギルド」と書いてある。俺の職場だ。
テンプレイベントはすでに消化していて、絡んできた不良冒険者をスライム(強化済み)とジャイアントアント(強化済み)でフルボッコにしたら魔物の帝王『魔帝』と呼ばれるようになった。
魔帝というよりも、どちらかと言えば『童帝』である。
冒険者ギルドに入って正面は受付カウンター、中の一部は酒場のようになっていて何人かの冒険者が酒を飲んでいた。
「魔帝さん、いらっしゃいませ。」
カウンターの受付嬢が営業スマイルを向けてきた。
「下水溜まりの水質報告に来ました」
俺は現在、街の下水を浄化する仕事を継続的に請け負っている。
とは言っても使役しているスライムを下水に解き放ち回収するだけだ。それだけで下水は綺麗になりスライムの経験値や数が増えてお金まで貰えるボロい商売だ。
俺は瓶に詰めた下水溜まりの水を受付嬢に渡し、報酬を受け取る。
よし、これで目標金額は貯まった。
「今までありがとうございました。次の街に向かうので家の引き払いをお願いします」
受付嬢は「残念です」と言いながらも手続きをしてくれる。
俺には夢があるんだ。
それは、「漢になる」こと!
そのためには大きな街に行って歓楽街に行き、専門の闘技場でプロに教わらなければならない。
「お前くらいに稼ぎと実力があれば素人相手でも勝てるだろ?」だって??
寝言は寝てから言え。こちとら前世と合わせて半世紀近く拗らせてるんだ。
素人相手に勝てるはずないだろ?
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乗り合い馬車で目的地に向かう。オッサンや爺さんばかりでむさくるしい。
途中で盗賊に襲われてる商人を助けたが、これまたオッサン。
俺ってやつはつくづく女運が無いなと実感した。
馬車の旅を一週間続けついに街へと辿り着き、助けた商人の店に案内された。
-ボッタルガ商店-
「リオン様、改めまして助けて頂きありがとうございました。良かったら空いている部屋をお貸ししますのでこちらに滞在されてはいかがですか?」
店主の厚意は嬉しいが居候は気が疲れるので遠慮したい。
「いえいえお気遣いなく、ボッタルガさんが襲われなくても結局私たちの馬車が襲われてたので結果は変わりませんよ。そんなことよりオススメの宿と、、、」
俺はボッタルガさんに聞いた宿に泊まり長旅の疲れを癒した。
そして翌日、朝イチで目的の闘技場に向かった。
-エデンの園-
-CLOSED-
営業時間外なのか扉は閉まっている。
だが下見は重要だ。むしろ閉まっててくれて良かった。
昨夜から高ぶった気持ちを落ち着かせるのに好都合だ。
場所は確認したのでまたあとで来てみよう。
俺は気を取り直して冒険者ギルドに行き依頼掲示板を確認する。
『薬草採取』『下水清掃・浄化』
俺の得意な依頼はこの街でも常設らしい。
「いらっしゃいませ、どのようなご用件ですか?」
「俺はテイマーのリオンと申します。『下水の浄化』を受けたいのですが、まだ空きはありますか?」
『下水の浄化』は初心者テイマー御用達の依頼だ。スライムならレベルが低くてもテイムしやすく、汚れを綺麗にしてくれるので仕事の需要が途切れることはない。だが、初心者ではスライムを数匹もテイムすれば限界になってしまい、浄化できる範囲も限られる。レベルが上がればテイムできる数も増えるが、そうなると強い魔物を求めて冒険に出てしまう。
つまり『下水の浄化』の仕事は初心者か臆病者か変り者が多い。
その点、俺はスライムを100匹以上テイムしているので浄化範囲も広く、またスライムを強化しているので浄化力そのものが高い。なので前の街では俺一人で街全体の浄化を独占していて実入りが大きかった。
「現在浄化作業を請け負っていただいてるテイマーは8名、スライム60匹分ですね。この街の衛生維持ラインがスライム70匹なので少しづつ汚染が進んでいる状態です。そろそろテイマー協会に応援要請を出そうとしていたので大変助かります。どのくらいスライムを投入できますか?」
「100匹以上投入できますよ」
「はい、、、え?100匹ですか?それは、、、え?、、、凄いですね」
受付嬢は半信半疑といった表情で俺を見た。
「良かったら訓練場か裏庭などに出してみましょうか?」
「あ、はい。お願いします。そんなにスライムをテイムしている方なんて見たことないので。ちょっとギルマスも呼んできますね」
受付嬢は逃げるように奥の部屋に入っていった。
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さて、この街での生活基盤も整ったことで、いざ!闘技場!
いかん、緊張してきた。
ついに俺も、これで、クラスチェンジが、、、
馬車の移動で一週間も自主トレが出来なかった(禁欲した)ために頭がグルグルしてきた。
昨夜も日課の自主トレを我慢して今日に備えた。
理性と欲望のギリギリのせめぎ合いを制し、なんとか眠ることができた。
俺は動悸と息切れで吐きそうになりながらも決戦の地に辿り着く。
下見はやっぱり大事。
そして俺の長年の夢が 今ここに
実現!!!!!
できなかった。。。
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リオン 魔物使い(ドウテイマー) Lv28
使役状態 315/20721→20725
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「ふっ、空は曇天、まるで今の俺の心のようだ」
自分なりに敗因を探ってみる。
・対戦相手…20代半ばかな?ちょっと派手だけど美人だった。
・会場の雰囲気…清潔で明るく従業員の対応も丁寧だった。
・試合内容…開始3分、相手の開幕ラッシュにあえなくダウン。
気合いですぐに立ち上がったが強烈なカウンターで即ダウン(ここまでで4分)。
戦場を変え、仕切り直そうと休憩をしてたら隙を突かれまたもやダウン。
「今はインターバルじゃないのか?!!!」
更に別のフィールドに移動したものの、すでにグロッキー状態。水中バトルで止めを刺され、その後は意気消チン。
完敗だ、、、
勝負にならなかった。。。
対戦相手は最後にニヤリとして「ご愁傷様、次は最後までできると良いわね?」と言われてしまった。
これはあれだ、「いかにも慣れてます感」を出しすぎて相手も気合が入ったのだろう。自慢のスキルを惜しげもなく披露され、完膚なきまでに叩きのめされた。
いい経験になった。
だがこれは一回限りの勝負じゃない、この先ずっと続くペナントレースのようなものだ。
途中で転んでもまた立ち上がればいい。
スタートしてないとか言うなよ?
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気を取り直して翌日、ギルドに指定された区画に向かい下水の浄化を始める。
とは言ってもスライムをばら撒くだけの簡単なお仕事です。
「よし完了。薬草の採取でもするかな」
俺はそのまま街を出て森へ行きテイムしているジャイアントアントやスライムを使い薬草を大量に集めた。
ついでにゴブリンや角ウサギなどの魔物を倒して経験値も稼いでみる。
スライムやジャイアントアントは弱い魔物ではあるが、テイマーの俺自身のレベルや魔物本体のレベルを上げたり、魔物を合成したりで強くすることができる。そしてなにより数の暴力。
『戦いは数だよ?お兄ちゃん』
前世でそんな台詞を聞いた気がするが、まさに真理かもしれない。
本来なら数を管理するための場所が必要だが、俺の場合『異次元格納庫』のような場所で魔物は待機している。その中でエネルギーを補給しているようなので食費も掛からない。俺専用の最高で最強の軍隊である。
森での採取や狩りを終えてギルドに報告・納品を済ませ宿に帰る。
さて、昨日のリベンジとまいりますか?
やべ、また緊張してきた。
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リオン 魔物使い(ドウテイマー) Lv32
使役状態 326/20725→20731
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さて、原因と対策を練ろうではないか。
・対戦相手…前回と同じ相手、と新人(黒髪ロング、20歳くらい)のタッグ?!
・会場の雰囲気…前回よりも広く豪華な闘技場。
・試合内容…対戦を申し込むときに「オプションはいかがですか?」と聞かれ、説明を受けているうちに「せっかくだからお願いします」と答えてしまった。反省。
1対2の不利な状況での戦いは男の子なら夢見るシチュエーションでしょ?
開始早々、またしても開幕3分でダウンしてしまう。静と動のコンビネーションに動揺し、いきなりペ-ースを握られると瞬く間に1ダウン。クリンチで時間を稼ごうとするが、相手は二人。逆に身動きを封じられてる間にもう一人から一方的な攻撃を受け再びダウン。
第二ラウンドは体力を回復するために防御に徹した。いや、徹しているつもりだった。
相手はこちらから仕掛けないのをいいことに捨て身の近接攻撃。特殊スキルで状態異常を受けた俺は相手の体当たりやトリッキーな動きに翻弄され格の違いを見せつけられた。
第三ラウンド、もちろん手と足は出なかった。バランスの取りずらい特殊フィールドで浮き足立ってしまい、そこにまたもや特殊スキルによる状態異常を掛けられ二人掛かりのスライディングアタック。
そこで4回もダウンしてしまい戦意喪失、退場(K.O.)となった。
うん、無理ゲー。
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冒険者ギルドで依頼を消化しつつ併設の酒場で情報収集してみることにした。
「やあ、お兄さんたち。俺はテイマーのリオンです。一杯奢らせてくれませんか?」
俺はいかつい三人組の冒険者に声を掛けた。
強面「どうした若いの?」
ヒョロガリ「パーティの希望か?」
デブ「こいつドウテイっぽいけど大丈夫か?」
俺「ド、ド、ド、ドウテイちゃうわっ!」
いきなり核心を突く発言をされで動揺してしまった。
「はっはっは、こいつの言うドウテイは殺しのことだよ。俺らは盗賊退治も受けることがあるからいざというときに躊躇われるとこっちが危ないからな。そっちのドウテイは心配してないさ、この街には娼館もたくさんあるから筆下ろしはとっくに済ませてるだろ?」
「あぁ、そういう意味合いだったのか、それならばドウテイだな」
それであれ どれであれ ドウテイである。
まいったな、本題が聞きづらくなったぞ?
俺は適当に話を合わせながらうまく誘導尋問を試みる。
酒を奢りつつヨイショして気分が良くなったらこの街の、花街の、闘技場の情報を根掘り葉掘り聞いてやる!
すると、そこにギルマスがやってきた。
「おーい『魔帝』。ちょっといいか?」
強面「『マテイ』?おいギルマス、誰のことだ?この若いやつはリオンだぞ?ついに俺にも別名が付いたのか?!」
ギルマス「ちげーよ。こいつは若いけど別名持ちだぞ?魔物使いの帝王、略して『魔帝』って呼ばれてる凄腕だ。お前らより圧倒的に強いぞ?」
デブ「マジかよ」
ギルマス「隣街で活動してるC級チームを一人で瞬殺したらしい」
ヒョロガリ「凄ぇ、、、」
いや、殺してませんから。
「でだ、この街に来たばかりですまない。『魔帝』にギルドからの指名依頼を出したいのだが、受けてくれるか?」
どうする?俺。
「内容によりますが、できる範囲で協力したいとは思います」
「そう言ってくれると助かる。なに、お前さんなら難しくはないだろう。近くの迷宮で魔物氾濫の兆候が出た。早急に魔物を間引きして元に戻したい。有力な冒険者にはこれから声をかけるし、小さい迷宮だから10日もあれば落ち着くと思うんだが、どうだ?」
それ、大好物です!!!
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-エデンの園-
-CLOSED-
↓カラッ
-OPEN-
昨日は無理ゲーだと諦めたが、明日から暫く遠征になる。
俺は英気を養うために三度闘技場の門を叩いた。
「いらっしゃいませ。ご指名はございますか?」
こやつできる!
三日連続で来ているのにも関わらず自然な接客。
ここで「こいつまた来たのかよ」って顔をされようものなら走って逃げるだろう。
「この子をお願いします」
「オプションはどうされますか?こちらとこちらがお勧めです」
来たっ!!
昨日はここで選択肢を間違えたんだ。俺は今「強くてニューゲーム」をしている。同じミスはしない。
「こっちでお願いします」
「かしこまりましたではこちらでお待ちください」
ほんとこの店員、丁寧で感じがいいのな。
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リオン 魔物使い(ドウテイマー) Lv31
使役状態 326/20731→20732
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さ~て、本日も反省会だ。
・対戦相手…昨日の新人ちゃん(清楚系黒髪ロング、20歳くらい)に1対1のリベンジマッチ!
卑怯者とか言わないでくれ。俺もなりふり構ってなんていられなかったんだ。
結果は負けてしまったが内容的には満足できるものだった。
・会場の雰囲気…こじんまりとした清潔な闘技場。
・試合内容…始める前にはお互いに協力して念入りな準備運動や柔軟、マッサージなどでケガをしないよう心と身体を念入りに解す。
相手も新人で対戦経験が少ないため、交互に技を繰り出しながら試合の流れを作っていく。
中盤戦が過ぎたあたりで俺の口撃がクリてぃかるヒットして初めてダウンを奪うことに成功した。
そしてミスをした。
そのまま追い撃ちを掛けて止めを刺せば良いのに、騎士道精神に乗っ取り相手の回復を待ち攻守を交代した。
すると彼女は特殊スキルとハンデでつけたネットを使い猛然と攻撃してきた!
~説明しよう~
「ネット?」と侮ることなかれ。古代ローマのコロッセオでは命がけの死合が行われていたが、その時代に一世を風靡したのが『右手に剣、左手にネット』という装備だったのだ。
相手はネットに絡み取られると動きが制限され、一方的に攻撃されてしまうシンプルかつ凶悪な補助武器なのである。
俺は時間ギリギリまで攻め勃てられ、終了と同時に豪快なダウン。
温故知新
俺はまた一つ高みに昇ったのであろう。
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ありがとうございました。
次回作!「ドウテイマーと魔物氾濫」誠意制作中です!