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Additional Episodes NO.1

  金属のような無機質の細胞が集まり構成された疑似生命体。この表現が正しいのかどうかはわからないが、ガイファルドはそのような存在だと認識されている。


  ガイファルドは共命体とも呼ばれ、命を共有する人間の共命者が存在する。互いの頭部にはダブルハートという宝石のようなものがあり、ガイファルドはそのダブルハートを通して共命者からエネルギーを得ることで生きている。そのエネルギーはガイファルドの心臓部ソールリアクターによって増幅され、莫大なエネルギーを生み出し強大な戦闘力を発揮するのだ。


  戦闘によって受けた損傷は共命者から供給されるエネルギーによって修復されるが、基地にある特殊培養液が入ったメディカルプールに浸かることで、外部から修復補助をおこなうことも可能である。


  ある夜、メディカルプールの浄化装置の流入にわずかに異常があったため、何かが詰まったのかとガイファルド関連設備管理者が作業ロボットに除去を指示した。

  作業ロボットはメディカルプールに入り、プール底面の排液口を確認したところ、そこに一メートル大の物体を発見する。

 

  「博士、これはいったいなんでしょうか?」


  運び出された円形の宝石は赤く透き通っており、それはまるで共命者と共命体が持つダブルハートと同じ物に思えた。


  「セイバーのダブルハートが外れた、なんてことはなさそうですね」

  「あたりまえだよ。頭部の表面に見えるのは外殻で、ダブルハート本体はガイファルドの頭の中にあるんだから」


  しかし、色や質感はどう見てもダブルハートとしか思えない。


  「どうしたどうした、何があったって?」


  深夜に起こされ呼び出された剛田が眠そうな顔をしてハンガーにやってきた。


  「セイバーのメディカルプールの底からこれが見つかったんだ」


  目の前に鎮座する巨大な宝石を見て、剛田の目は一気に覚醒する。


  「こりゃ、まさかダブルハートか?」


  と言ってモニターに映るセイバーを見た。


  ピピッ


  「解析結果が出たようだ」


  剛田を待っている間に実行していた解析が終了し、その結果が映し出された。

  表示される項目のほとんどが「Unknown」 と表記されている。博士はパソコンを操作して、ふたつのデータを並べた。


  「どうやらダブルハートとは少し違うようだな。結晶構造に2パーセント程度の差異がある」


  「セイバーは何か知らないのか?」


  本人に聞くのが一番だと剛田が尋ねる。


  「わからないって。初陣から帰還してかららしばらくはずっと眠っていたし。そのとき何かがあったのだろうから、今記録をたどっているところだよ。センサーに反応がなかったということはあくまでセイバーとアクト君の間だけで何かしらのやり取りがあったのかもしれない。ふたりの繋がりは距離も関係ないし外部にも漏れないからモニターできない」


  それから数分、あれやこれやと話していると、メディカルプールに浸かるセイバーを記録していたカメラの映像で変化があった場所が発見された。


  「ここだ」


  三人は再生された映像をじっと見つめる。


  「あっ!」


  数秒後、セイバーがぐらりと揺れ、額のダブルハートが薄すらぼんやりと光り始めた。

  記録にはエネルギーの上昇は見られない。ただ薄っすらと光っているだけだった。


  「ソールリアクターも特別な変化はありませんね。ただ光ってるだ……け?」


  と、そのとき、ダブルハートの前に何か小さな物体が現れた。よく見るとその小さな物は少しずつ大きくなっているように見える。二〇倍速で映像を進めるとその物体は見る見る大きくなり1メートル程度の玉になってメディカルプールに沈んでいった。


  「ダブルハートではないがダブルハートに限りなく近い。共命体と共命者が繋がりながら、未使用状態で存在しているなんて、こいつはとんでもなく貴重な研究対象だぞ!」


  ソールリアクターと並んでまったくの未解明なのがダブルハートだ。このふたつの解明は博士にとっての一番の目標である。


  「アクトを起こしますか?」


  「いや、アクト君がこれに気が付いてないならしばらくはこのまま知らせずにこいつの調査をしてみよう。何か刺激を受けて反応したら、それはそれで面白いし何かしらのデータが取れるかもしれん」


  半分は面白がっている感じではあるが、新たな研究対象の登場は科学者の心をくすぐるものだ。

  その宝石は【アッドジュエル】と名付けられ、丁重に保管され、日夜博士の玩具として研究されるのだった。

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