続編アプリ
結局1限目の授業はサボってしまうことになった。その代わりアノード嬢ことあっちゃんからだいぶ有意義な情報を手に入れることができた。
なんたってあっちゃんはこのゲームを何度も繰り返している。いわばこの世界の生き字引。
何よりも俺のバッドエンドを防ぐためにヒロインのあっちゃんが協力してくれるとのことので、まさに鬼に金棒。これで何が起きてもバットエンドはありえないしあっちゃんは誰とでも邪魔なく恋ができる。これぞ一石二鳥!
……の、はずだったんだけど。
「あのね……はるたん。」
(いつの間にか呼び名がはるたんになってる……。)
「残念なお知らせも有るんだ。私が生きてたときに出たゲームのはっちゃけパラダイス☆だったら攻略対象者は5人でいずれもはるたんが、私を虐めることによっておきるバッドエンドだけだから回避出来るんだけどね。このゲーム、多分はるたんが思ってたより何年も人気があってね。ほら、実際にはるたんがプレイした年齢の何年か後に私がプレイしてるくらいだからだいぶヒットランでしょ。それで、追加更新アプリも出てたの。それにほら、私達が居た頃って日本って悪役令嬢ブームあったじゃない?で、どの悪役令嬢も割とテンプレに乗っ取って破滅回避やら劇モテやらしてたじゃん。」
(そ、そうなの?俺そこまで知らない。)
なんか嫌な予感。
そんな俺の気持ちを知らずにあっちゃんは続ける。
「で、追加配信アプリはね。バッドエンドを回避する為にもがく悪役令嬢レノアから始まるの。それがねー」
バン!
一瞬何が起こったかわからなかった。
けたたましい音がした方向をみればなぜか扉が壊れていた。
そしてそこには、シュワルツ・シュガー第1王子が肩を怒らせたっていたのだった。
あっちゃんとポカンと口を開けて王子を眺めれば王子はズカズカと教室に入って来てガシリとレノアの肩を掴む。
「へ?」
(なんだ?なんだ?)
あ、もしかしてあっちゃんを虐めてると思ったのかな?
ヤバイ、誤解を解かなきゃ!
アノード嬢が編入してきてから王子はあっさりあっちゃんに恋をした。だから記憶を取り戻す前のレノアはアノード嬢に嫉妬していて虐めに走っていた。
でも今は別に虐めてないし今後も2人の恋路は邪魔しない。もちろんあっちゃんは虐めない。誤解を解こうとレノアが口を開きかけた瞬間、王子の可笑しな言葉に耳を疑う。
「なぜだ!なぜなんだレノア!なぜ俺じゃダメなんだ。」
おいおいおい。
本当に嫌な予感がする。
「なぜ俺との婚約の約束を守らない!俺がアノード嬢によそ見をしたからか!?俺は!お前に嫉妬して欲しかったんだ!!レノア!俺を捨てないでくれ!」
わー……。キタコレ。
マタキタコノパターン。
もう……何なのこの子達。
抱きつこうとする第1王子に思わずボディーブローをかまし回避したレノアはチラリとあっちゃんを見る。ヒロインへ転生したあっちゃんは王子が好きだったはず。……はず、だよな?
あっちゃんを心配してチラリとみたつもりが、あっちゃんがとった行動にびっくりしてガン見してしまった。
そこにはレノアのボディーブローを受けてよろけた王子にトドメを刺す様にラリアットをかますヒロインがいた。
「あ、あっちゃん……。あっちゃんどうしたの?」
思わず怯えながらレノアはアノード嬢に声をかけると、アノード嬢はふぅと可憐にため息をつき額の汗を拭うふりをした。
(あっちゃん、汗かいてないじゃん……。)
もはやテンパり過ぎてどうでもいいツッコミを心の中でしてしまう。
「はるたん。これ……きっと追加更新アプリの方だよ。ごめんねはるたん。私、きっとはるたんを助けてあげられないわ。はるたんファイト!」
ナニソレ……。
オッサン悪役令嬢は前途多難。
……もう心が折れそう。
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