早いもので。
月日が立つのは早いもので、レノアは遂に卒業式を迎える事となっていた。
流石にアレからレノと無事に思いを伝え合ったおかげで、特にイベントは起こらず。
確実に幻のレノルートだろうとメリーに言われるくらい、レノとゲロ甘な生活を送っていたらしい。もちろん、そんなにゲロ甘な生活を送っていた気はしないんだけど……。
(そんなにゲロ甘だったかな?)
振り返って見るけど、そうは思えない。
まぁ、確かにちょっとレノがペタペタしては来てたと思うけど……。
それでも、もうちょっと甘い生活でも良かったかもとレノアは密かに思ってしまう。
もっとレノと一緒にいる時間があっても良かったのに……。屋敷では、なぜか良い雰囲気になればスカーレットかロゼッタが良いところで雰囲気をぶち壊し、学校ではレイドを始めとしていつものメンバーが入ってくる。
そのため、R15で収まる程度のイチャイチャしか出来ていない。
(うう、元35才。最後までの経験がある者としては……もっと卑猥な……。なんなら、いっそのことレノに幽閉されて……。)
厭らしい事をレノアは考えて、溜息をついていると、あっちゃんに急に抱きしめられる。
「大丈夫。皆でこの日に何も起こらないだろうって、何度も作戦会議をしたわ!私達が守ってあげるから大丈夫!」
どうやらレノアが不安を感じていると思ってくれたらしい。
「そうよ!はるたん!レノ様とちゃんと婚約してるし!鞭打ちだって起こらなかったでしょ!」
「はるたん!大丈夫よ!シュワルツ王子はこの日のために調教仕上げて置いたから!」
そう言って両肩からレノアに触るのはリリアン姉妹。
「皆……ありがとう。」
皆に必要とされて、レノアも皆を必要としている今、レノアはシミジミと自分が満たされていた。
(遙人にも感じさせたかったな……。)
ふと、レノアはそんなことを考えてしまった。
遙人もレノアのように心を閉じてさえいなければ、違った人生が有ったのかも知れない。
「リス?」
いつ来たのかレノが後ろからフワリとレノアを抱きしめた。
「レノ。」
抱きしめられた腕に自分の手を乗せ、レノに身を預ける。
(やっぱりこの腕の中は安心するなぁ……。)
「リス……。愛してる。」
突然耳元でレノが囁く。
「え……うん。私も。」
このやり取りだけはどうも慣れない。
恥ずかしい……。
俯いていたら、皆から盛大に溜息を吐かれたのがわかった。
「レノ様……そんな甘々よそでやって下さい。」
レノアが顔をあげるとそこにはゲッソリとした顔であっちゃんがこちらを見ている。
(え?今のそんなに甘い?)
「本当に……ハートばかりこちらに飛ばさないでくださいますか?」
メリーも同じように言えば、ユアもうんうんと肯いている。
(ええ?何時ぞやの馬車の中でメリーとシンよりはハートは出ていないと思う。)
むしろ……ハートが出るならもっと欲しいと思うのは、ワガママだろうか?
「とりあえず、卒業式が終わるまで離れてろ。」
呆れ顔のレイドは、さり気なくあっちゃんの腰に手をまわしていた。
「いや……レイドが言ってもそれじゃあ説得力ないわよ。」
レノアが言えばレイドは苦笑いしていた。
「まぁ、何にしても……。はるたん!ハッピーエンドよ!行こう!」
あっちゃんがレイドから離れレノアの手を引いて卒業式の会場へと誘う。
「うん!そうだね!」
レノから離れ、あっちゃんの手を取り会場へとレノアは駆け出した。
ここまでお読みくださりありがとう御座います。
無事にこれにて完結です。
ブックマークしてくださった方、コメントくださった方、評価してくださった方、誤字脱字報告してくれた方。
皆様本当にありがとう御座います。
いったん完結にしますが、修正、加筆など改めてするかもしれないです。
そして、今日か、明日辺りにはまた新しく物語を書き始めようと企んでいます。また皆様に読んで頂けるよう精進して参りますので、今後もよろしくお願いします!
評価、コメント是非!是非!是非!
お待ちしております!
皆様からの作品作りの力をください!




