表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/81

見られたぁぁぁぁぁぁあ

 「……りす。」

 「うひゃぁぁ!」

 

 ただ、声をかけようとするだけなのに。

 先程からレノはレノアに拒否されているようだ。

 

 リリアン邸を出る時からレノアはレノに一切触らせず、声をかけさせすらしなかった。


 「はぁ……。」

 せっかく仲直りしたのだからと、傍に入れる様に(……少しでもくっつける様に下心満載で)馬を選んで来たのに、一緒に乗馬は頑なに拒否されている。

 レノが愛馬に跨がり、レノアが歩く。


 (おかしいだろう……これは。)

 絶対におかしい。


 はあぁぁぁ、と深い溜息をつくとレノは意を決して馬の歩みを止めてレノアの前に立つ。

 「リス。」

 「ふっ!」

 声をかけただけなのに、なぜかレノアは飛び跳ねる。


 「あのな……。俺はまた何かしたか?」

 ジッと正面に立たれ、見つめられるとレノアは気まずくなり思いっきり目線をそらしてしまう。

 

 気のせいだろうか?

 目線をそらしたレノアの頬が赤い。


 「リス?もしかして具合悪いのか?」

 リス?

  

 「うぅ……。別に……。」

 観念して、レノアは声を絞り出して答えるが、レノは何処か答えに満足していない様子がうかがえる。

 「……。」

 熱があるのかとレノアに手を伸ばせば、やっぱりレノアはさっとレノの手と反対側に避ける。

 「……。」

 再び反対の方向に手を伸ばせば更に反対にササッとレノアは逃げてしまう。

 「……リス?」

 なぜかニッコリとレノは微笑むと、じりじりとレノアとの距離を縮めてきた。

 

 (うぅ……レノ、シツコイ。)

 どうしても今はレノを見ると昨日の妄想がフラッシュバックして来てしまう。

 正直今だけはちょっとそっとしておいて欲しい。そう思い、レノアは敢えて少しレノと距離を取っていたし、頭を冷やすためにも馬には乗らず歩いていたのに……。

 (空気……空気よめ、レノ。)

 

 チッと舌打ちするために一瞬だけレノアはレノから目を話してしまったのが悪かった。その一瞬でレノアの身体は宙に浮き、あっという間に馬に乗せられてしまった。

 そうなればレノアに逃げ道はなく、あっという間にレノと馬上で身体が密着してしまう。


 「で、リス?俺は何かした?」

 相変わらず、ニッコリ微笑んではいるもののレノの目は笑っていない。

 「……し、してないです。」

 レノの顔が近い。

 どうしよう…。どうしよう。


 レノアの心臓はバクバクと五月蠅く音をたてる。

 「……リス?」

 レノの顔は更に近くなり、レノアの耳元でレノの甘い声が聞こえる。



 『レノ様とピー--して、ピーーーーーーーーなことされて、挙げ句ピーーーーーーーーーしても良いと思ってる?男と女の最終的な結末を迎えてもいいと思ってる?』

 あっちゃんが陳列した放送禁止用語がレノアの頭を駆け巡る。


 「リス……。」


 『これがレノ様とだったら?』

 レノの吐息が耳にかかれば、今度はメリーの言葉が頭をよぎる。


 (レノと……。)

 思わずレノを見つめてしまえば、真っ直ぐに近距離でレノアを見つめるレノの目が絡む。

 

 バクン

 バクン


 レノアの心臓音は煩い位に早くなる。

 

 そしてレノの手が、何も言えずに潤んだ瞳で見つめてくるレノアの顔を固定し、今、正に唇と唇が触れ合いそうな位置まで近づく。

 「……レノア。」


 ドクン

 ドクン

 ドクン


 2人の唇が触れかけたその瞬間。

 「き、今日はダメだからぁ!!」

 ドン!と叫びながらレノアがレノの胸を押し返し距離をとる。

 「り、リス?」

 突然拒否されレノが呆けてしまっていると、顔を赤くしたレノアはレノの胸を押したままあわあわと慌てふためいている。

 「り、リス。ちょっと落ち着け。」

 「いや、あの!今日はエッロイ下着だし、第1まだ俺、男で、こっこっこ心の準備が。いや……そもそもレノとはまだ何にもなってないしぃ!!」

 馬上であわあわと慌てふためくレノアを馬が煙たがり、ブルルンと身体を振ればレノアは一気に体制を崩してしまった。

 「リス!」

 「あっ……。」

 レノが伸ばした手は虚しく、そのままレノアは落馬してしまった。


 しかし、幸いにもお尻からの落馬だった為に、お尻に痛みが走っただけで済んだようだ。

 「っー。痛かったぁ……。」

 「リス!っ!!」

 慌てて馬から下りて来たレノはレノアに手を差し伸べようとしたところでガチリと固まってしまった。


 「いったた。ん?レノ?」

 お尻を擦りながら、流石にレノの手を借りて立とうとしたレノアは目の前で固まっているレノを見て不思議に思った。


 レノは一点を見て固まっている。 

 

 レノの目線の先。

 

 それは、落馬した時にまくれたレノアのドレスの中。


 今つけているのは、とりあえず大事な所だけなんとか隠して要るだけのエッロイ下着。


 慌てて下着の存在を隠すも、時既に遅し。

 バッとレノを見ればレノは真っ赤になって、手で顔を覆っていた。


 (見、見、見、見ら、見られたぁぁぁぁぁぁあ!!)


 


 レノアのお尻の痛みは余りの衝撃に吹き飛んでいた。

ここまでお読みくださりありがとう御座います。



キス直前はリスじゃなくてレノアで呼んでみた。



それにしても……。


あーあー

レノさんラッキースケベまた発動。

しかも今回はエッロイ下着。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ