双子
(クッ……。メリーが余計な事を言うから!)
翌日、パジャマパーティーを終え屋敷に戻ろうとするとレノが馬で迎えに来てくれていた。
(しかも!レノもレノだ!なんで!なんで馬!?)
馬とか、密着度高すぎでしょ!
無理でしょ!
チラリと3人を振り返れば、3人ともドヤ顔でグッと握った手から親指を突き上げていた。
「うぅ~~!うぅ。」
レノアが3人の表情に地団駄を踏んでいるとリス?とレノが肩を叩いた。
「にゃっあぁぁ!?」
ただレノに呼ばれて肩を叩かれただけなのに、レノアはそれだけで全身が真っ赤になり飛び上がってしまった。
「り、リス?」
びっくりしてオロオロレノアを心配するレノ。
それを全く直視出来ないでモジモジするレノア。
(((どうしてこれで2人はくっつかないんだろう……。)))
見ていた3人が3人とも首を傾げた。
「はるたん……。乙女すぎ……。」
呆れてあっちゃんが助け船を出せば、レノアはなぜか涙目であっちゃんにしがみつく。
「はるたん……それは…可愛すぎだわ。」
あっちゃんは小さく呟きながら、ギューッとレノアを抱きしめる。
「いやいやいやいや!ダメでしょ、あっちゃんが抱きしめちゃ。」
あっちゃんとレノアをベリッと引き剥がし、メリーが改めてホイッとレノアをレノに渡す。
「!?」
メリーからレノアをキャッチしたレノに思わず抱きしめられれば、レノアはフリーズしてしまった。
そんなレノアを呆れた様に、けれど心配してオロオロしつつ、なのに何処か嬉しそうにレノはレノアだけを見ていた。
「はい、レノ様。ちゃっちゃとはるたん連れて帰って下さい。お二人は目に毒です。じゃあねーはるたん!ファイト!」
レノアに明るく手を振ると、はいはい!あっちゃんも馬に蹴られる前に行くわよとメリーはユアとあっちゃんを連れてその場から背を向けて屋敷に歩き出してしまった。
「あー!はるたん…あの表情めちゃくちゃ可愛い!襲いたくなっちゃった!さーて、楽しかったわ!ありがとうメリー!私もそろそろおいとまするね!」
レノと、レノアから離れるとあっちゃんは楽しそうにケラケラと笑って帰って行った。
あっちゃんも帰り、レノア達も帰った後メリーは1人で部屋でゆっくり窓の外を眺めていた。
「メリー……?大丈夫?」
そんな時、ひょつこり片割れが部屋に顔を出してきた。
「んー?何が?それより、パジャマパーティー楽しかったね!」
クスクスと思いだし笑いをするメリーをユアは優しく抱きしめた。
「いいよ。私の前で位無理しなくて。」
そう言って背中をポンポンと撫でると、メリーは力なくユアにはバレちゃったと笑う。
「はるたんは大好きだよ。」
「うん。」
「今はシンが本当に大好きなんだよ。」
「うん。」
「だから今更どうのこうのなりたいわけじゃ無いの。本当に二人が上手くいって欲しい。」
「大丈夫。解ってる。」
「それでも……死ぬ前から本当に大好きだったの。」
「うん。そう言ってたね。」
「時々……2人を見るのが辛い。2人とも大好きなのに……。」
「うん。」
「もう、大丈夫、割り切ったって思ってた。」
だけど、時々……ちょっとね。とメリーは微かに笑う。
ねえ、メリー?
ユアは優しくメリーを更に抱きしめた。
「私は貴方の前世を知らないけれど、そんな前世を持ってても、はるたんとレノ様の為に頑張ってる貴方を誇りに思ってるわ。」
ごめんね、双子なのに。
私もメリーみたいに前世の記憶が有れば……痛み分け出来たのにね。
そう言ってユアも微かに笑えばメリーはコツンとユアのおでこに額をぶつける。
「バカね。ユアがそんな目に有ってないから私は救われてるのよ。」
前世がない貴方と双子だから、私はこの世界でやり直せるって思えるの。
声に出さずにメリーはユアを抱きしめ返す。
「ねえ、ユア。私……貴方と双子で良かったわ。」
クスクスとメリーが笑えばユアも同じ顔でクスクスと笑う。
「私もよ。」
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双子スキー
遅くなりましたが、皆さんブックマークありがとう御座います!
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