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実は……

 「ん……。」

 レノアは寝返りを打とうとして、腕が想うように動かないことで目が覚めた。

 チャリと聞こえる金属音の方を見れば腕に何かついている。

 (……なんだこれ?)

 眠たい目を擦りボーと自分の右腕の手錠を眺めれば、何がついているのか思いだした。


 手錠のついた手を動かせば、ベッドの脇からリス?と声が聞こえてきた。

 (リス?……………!)

 そこでやっと今度は今の状況を思いだした。

 「あ、れ、れ、レノ。」

 「リス?起きたのか?」

 「あ、えっと…、もしかして、寝てた?」

 「あぁ、馬車を降りて部屋に来るまでの間に寝たんだよ。」

 そう言われれば確かに、そこら辺からの記憶がない気がする。あんなに短い距離でよく寝てしまったもんだと思わず自分であきれてしまった。


 溜息をついていればジッとこちらを見つめるレノの視線に気付いた。

 「な、なによ。」

 思わず顔をしかめて聞けば、レノは意を決したように話し出す。

 

 「リス……初めて会ったときからリスは俺に取って天使なんだ。俺は、不器用で上手く伝えなれないんだけど…。リスを傷付けたり泣かせたかったわけじゃないんだ。」

 「レノ?急にどうした?」

 

 天使とか言い出したレノを不振に思い、思わずレノアは聞いてしまった。

 けれど、レノアの問いに答えること無くレノは話し続ける。

 「前にリスが俺にお菓子をくれようとした時も、俺は地面に叩きつけてリスを泣かせてしまったけど……。あれはお菓子が腐ってるって上手く伝えられなくて…。」

 ションボリ吐俯きながらも話すレノを見ながらレノアは遠い目をしてしまった。


 (相変わらずコイツは人の話を聞かないんだな……。)

 

 というか、あの時の地面に叩きつけられたお菓子は腐ってたのかと改めてレノアは納得してしまってもいた。


 (ただ話しかけてくるのが鬱陶しくて、意地悪されただけだと思った…。) 


 少なくとも今のレノを見ていると鬱陶しいと思われていたのでは無いとわかる。


 「ずっとリスに謝りたかったんだ。それに、今回だって……。やっと爵位が手に入ったから、だからリスに改めて俺からプロポーズしたかっただけなんだ…。」


 そっとレノはレノアに右手を伸ばしレノアの腰に触れると、優しくレノアを引き寄せた。そしてレノはレノアの首筋に頭を埋めると右手で抱きしめた。


 遠い目をしてポケッとしていたレノアは突然レノに抱きしめられて、しばらくフリーズしてしまった。

 しかし、しばらくするとハッと気付く。


 (そ、そ、それって……。)

 

 バッとレノから離れるとレノアはレノを見る。

 「レノ……それって、もしかして…。()()()言われた婚約じゃなくて、ただ()()()()婚約の約束をしたかったってこと?」


 そう言えばレノはコクンと首を縦に振る。


 「じゃ、じゃあ。貴方は爵位が手に入って私が要らなくなったから、不必要になったから婚約破棄したかったんじゃないの?」

 「リスが手に入らないなら爵位なんて要らない。俺にはリスしか必要ない。」


 前にも言ったんだけどなぁ…とレノは肩を落とす。俺はリスが……レノアが…とレノが何かを言いかけた所でレノアの左手がそれを制す。


 (ちょっとまてよ……。)


 「そ、それじゃあ……。この半年間って……ただ、私が勝手に勘違いしてただけ?」


 あわあわとレノアが言えば再びレノはコクンと肯く。そして、避けられて俺にとっては生き地獄だったと小さく呟いた。

 

 「な……なによ。そう言うのは……早く言いなさいよ!!」


 半年も自分が勘違いしていたと言う事実は、レノに否定されていなかったと言う安堵感と羞恥心とを混ぜて一気にレノアに降りかかってきた。

 

 (勘違いとか、なんかめっちゃ恥ずかしい。)

 思わず照れ隠しでポスポスとレノの胸を左手で叩けばレノが優しくレノアの腕を抑える。

 「あ、そう言えばリスちょっとまって。これ……。」

 そして、腕あげててと手錠をしてる手をレノアの首元まで持ち上げられた。

 するとレノアの首にひやりと触れる感触がする。

 「これ、もう一度リスに持ってて欲しい。」

 レノアが首の感触をたどればそこにはレノがくれたシルバーバードのネックレスがぶら下がっていた。

 「あっ……。」

 「ゴメン。俺に引っかかってチェーンが切れたから、レイドに直してもらって……。返すタイミング探してたんだけど……。」

 「え?」


 (無くしたと思ってた……。だからレノが怒って……。)


 「……レノ。私がこれ無くしたから怒ってたんじゃないの?」

 「俺はリスに怒らない。リスは何もない俺にいつも与えてくれてばかりだから。リスは傍に居てくれるだけでいい。俺は……レノアが…」

 何となく良い雰囲気の中、またもレノが何かを言いかけて居たのにそれを再びレノアは左手で制した。


 「……レノ、お前って心の広い良い奴だったんだな。勘違いしててゴメン。」  

 「え?あ、……いや、俺が勘違いさせることばっかりだったから。ゴメン。いや、そうじゃなくて!リス!俺はお前が!」

 

 レノがレノアの肩を掴み何かを言いかけた所で、レノのポケットからチャリンと何かが床に落ちた。

 見ればそこには、鍵が落ちている。

 

 (ん?)

 「鍵?」

 レノよりも素早くレノアがそれを拾えばレノは何故か顔色が悪くなっていた。

 「これって……もしかして……。」


 う゛っ。と唸るレノを見れば、レノアから手を離し、瞳をそらすレノがいる。


 「ゴメン。実は……鍵、レイドから貰ってた。」


 (あ″ん?)

 

 「レノ……。何でもっと早くださないのよ…。」

 レノアの眉間に皺がよっていたが、レノはリスがすぐ逃げるからこうするしか無かったと咳払いして開き直った後にしれっと言い放った。

 

 (むう……確かに、逃げ回っていた私も悪かったけど……。)

 手錠を外された手をさすりレノアは他にやり方は無かったのだろうかと溜息をついていた。

ここまでお読みくださりありがとう御座います。


何でだろう

レノが大幅にヘタレに傾いてる。


※後付けで少し中身修正してます。先に見てた方スイマセン。

 レノの何かの決意をことごとく今は空気の読めないレノアが打ち壊してます風に直しました。


他にもちょっと過去の文章をもしかしたら修正に回ってるかも知れません。

悪しからず……。


そして、いつも誤字脱字報告ありがとう御座いますとスイマセン。


予測変換使ってると思いっきり名前間違いしてしまう様です。

スイマセン。見直し大事ですよね。


でも、ここだけの話

誤字脱字報告、めちゃくちゃありがたいです!

不甲斐ない作者のフォローをさせてしまっている方スイマセン。でも、助かってますの感謝をこめて!


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