※余談※
※何となく書いたので、このページは飛ばしても大丈夫です。
ただ、腹黒スカーレットと奥様を書きたかっただけ。
「ねえ、スカーレット?最近レノアとレノの距離が遠くなったと思わない?」
まだまだ社交界の花になれる愛らしさでエレク家の奥様が首を傾げる。
ここはエレク家の談話室。お茶を飲みながら向かい合うように、ゆったりとソファーで寛いでいるエレク夫妻は正にTHE貴族様である。そして、その旦那様の隣には執事のスカーレットが座っていた。
「そうですね。どうやら、レノ様と御嬢様に言葉のすれ違いが生じたようですね。」
直ぐにスカーレットが奥様の問いに答える。
「言葉のすれ違い?」
「はい。どうやらレノ様はご自身から御嬢様にプロポーズされようと思ったようですが、御嬢様は婚約破棄と捉えたようでございます。」
スカーレットの言葉を聞いて奥様はまあ!と大層おどろいた顔をしてしまった。
いったいどうしたら、そんなすれ違いが生じるのだろうか?
我が娘ながら、レノアの恋愛偏差値の低さに改めて驚いてしまう。
「レノアったら……凄い勘違いね!レノがレノアを好いていることを、あんなに全面に出してるのに。それを気付けないくらい鈍いのって、あの子くらいだわ!」
全く……誰に似たのかしら?
奥様はふたたび顔を傾げると、2人の会話を嬉しそうに聞いていた当主が話に割って入ってきた。
「いや、別にそれでいいんじゃないか?レノアにはまだ婚約なんて早かったんだよ。レノには悪いけどレノアはまだまだ私の天使でっ!ゲフ!」
話の途中でエレク家当主の言葉は、スカーレットの一撃で遮られる。そしてスカーレットは手早く当主をしめると、しばらく口が聞けないように猿轡を施している。その手に容赦などない。
しかしそんなやり取りは、エレク家の奥様は全く気にしない。優雅にお茶を飲みながらレノアを思い、ため息をこぼしていた。
「だいたいレノアは自分の気持ちにも疎すぎるのよね。レノアだってレノの事気にしてるクセに。それを認めないで、いるから話はややこしいのよ…。やっと婚約させて同衾までして既成事実を作ってあげたのに。」
「おやおや。奥様そう言うことはもっと大声で言わないと。レノ様とレノア様は同衾して既成事実があるのだとね。」
ニヤリと笑う笑顔のスカーレットは黒い。
スカーレットはすっかり当主の身動きを封じて、奥様との会話に戻ってきていた。
同衾の話題が出た辺りで当主は意識を失った様ではあるが……。もはや誰もそんなことは気にしていない。
「そうよね。そうよね!何たって年頃の男女が同衾したんだものね!これでレノアはレノのものね!」
ニヤリと笑う奥様の笑顔も黒い。
「でも、今回レノと距離が出来たことはあの子も相当ショックみたいだわよ。今日なんてあの子、モップを私だと思って挨拶してたのよ。」
うふふふ、可愛いわねと奥様が笑えばスカーレットもそう言えばと話し出す。
「そう言えば、レノ様が御嬢様に近づいた瞬間音も無く瞬時に姿をくらましてましたよ。御嬢様は陰になるには充分な素質がありますね……。御嬢様とレノ様が早々にくっつけばエレク家もバース家も裏王家としては安泰なんですがねぇ。」
「でもまあ、恋は障害が有ればあるほど萌えるものね。」
若いっていいわー!青春だわー。と奥様はうっとりとしている。
「まぁ既成事実もできたし、婚約手続きも手筈は整っておりますし。後は若い者同士の成り行きをゆっくり楽しみましょうか?」
「ええ!もちろん!久しぶりにこんなにキュンキュンするのも楽しいわね!」
談話室では2人の黒い笑い声が木霊していた。
ここまでお読みくださりありがとうございます。
ちょっと腹黒スカーレットと腹黒奥様が出したかっただけ。
飛ばしてもストーリーには差し支えないです。




