どうする?
「大丈夫よシュワルツ。貴方のお父上は私達をここまで慈しみ、大切にしてきてくださったじゃないですか。」
ゆっくりとその女性……王妃はシュワルツを宥めた。
「それにねシュワルツ。今のあなたが有るのはメノウの……レノのお母様のおかげなのよ?」
慈しむ様にシュワルツを撫でて落ち着かせると女王はレノに向かい合った。
「レノ……。メノウを……貴方の母上を助けてあげられなくてごめんなさい。」
王妃はレノに向き合うとレノに頭を下げた。
一体それはどう言う意味なのか解らずレノが慌てふためいていると王妃は困った顔になりつつも言葉を続ける。
「レノ……貴方の母上は身分差で王から身を引いたんじゃないのよ。考えてもご覧なさい、表向きはただのメイドでも彼女は立派なバース家の末娘だったわ。裏王家と呼ばれる権力を持つ家のね。だけど、その事を知っている一部の貴族達は彼女とお腹の子……つまり、貴方を利用して政権に口を挟もうと企んでいたのよ。もちろんその事は私も、彼女も王もそこにいらっしゃるお二人も知っていたわ。」
ねっ、とエレク家の当主を王妃が見れば当主は頷いていた。
「そこまで言われたら本当のことを全て話すしか無いじゃないか。」
溜息交じりで王妃からエレク家当主へと言葉は繋がれる。
「彼女はそれに君を……いや……。まだ産まれても無い君らを巻き込みたくなかった。それで彼女は王だけで無くバース家の名前も捨てて姿をくらましたんだ。表向きはただのメイドだったからね。知らない人には身分差の恋と言われ悲恋として扱われたんだよ。ただ、王の不祥事には変わりないから直ぐに箝口令が敷かれたんだけどね。」
エレク家当主はシュワルツ王子の方を向居ていた。
巻き込みたくなかったのは産まれても無い子供達だったのだろう。
「全くだ。そこの王がとっととメノウを諦めさえしてくれれば良かったものの。仕事を増やしおって。このませガキが。」
スカーレットが小さく呟いて居たのを王はビクリとして聞いていた。
「だからね、シュワルツ。貴方がここにこうしていれるのはメノウ様のおかげでも有るのよ?貴方はレノをどうこう言うべきではないのよ。」
ぴしゃりと王妃がシュワルツに言い放つ。
「それにね、レノ。やっと、やっと私達はうるさく言ってくる上層部を駆除出来たの。もし、貴方がここへ戻りたいと願えば……第2王子の座を願うなら私にもメノウに恩返しをさせて欲しいの。」
王妃はレノの手を、ゆっくりととりレノに語った。
「私はあの時メノウに助けて貰ったのよ。私より身分の上の彼女は私を立ててくれた。彼女は決して平民などでは無いのに……最後まで私達を庇ってくれたの。」
「レノ……どうする?」
スカーレットはレノに問いかける。
レノの胸にはキラリと光るメノウの形見……王家の紋章の入ったネックレスが揺れていた。
ここまでお読みくださりありがとうございます。
ブックマークありがとうございます!
そして、そして
バース家の子孫達の話になりますね
今日もお嬢様は執着執事に溺愛されてます
が、昨日皆様のおかげで日間ランキング98位獲得出来ました!
(スカーレット様は出てきません。)
この場でもお礼申し上げます。
本当にありがとうございます!




