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たらし

 「はるたーん。良いの?レノ様放って置いて?」

 メリーが馬車の中でレノアの顔を覗き込むように小声でといかける。

 「良いんじゃ無いの?メリーがあんなヤツ気にすることないじゃん?アイツ性格悪すぎて平気で人を傷付ける事ばっかりしてるから自分もそうなるんだよ。」

 メリーがレノを気にしているのが面白く無いのだろう。シンは敢えてレノに聞こえるようにレノの方を向きながら言い放つ。そしてその手でメリーをしっかり抱き締めている。

 「ちょっ!シン!レノ様になんてこと言うのよ!」

 メリーがシンを嗜めればシンは尚嫌そうな顔をして知ーらないっと呟きその顔を背けた。もちろんメリーは抱き締めたままで。

 「とにかく!はるたん!いい加減機嫌直してレノ様と仲直りしないと好感度駄々下がりなんじゃない?今んところこんなイベントは裸祭りにはないけどね……。あ、上半身裸鞭打編長くて言いにくいから略してみた。」

 

 裸祭りって略してない……。

 もはやそれは別名ですとレノアは密かに心で突っ込むも口にはださなかった。


 「で、でも!それでもレノは……き、嫌いだもん。」

 プイッとレノアが顔を背ければ隣に座っているレノはショックを更に受けたようで石化してしまっている。


 (はるたん……素直じゃないわね。)

 何だかんだ言いながら後を追い掛けてきたレノを同じ馬車にのせキチンと隣に座らせているクセに……。ツンデレかよと思わず心でメリーは毒づいてしまった。

 「まったく……はるたんは意外に頑固ね。」

 「それより、ユアは良いの?」

 レノア達が乗っている馬車は四人乗り。ここに乗っていなければいけないはずの人物がいないことにレノアは疑問を感じていた。

 「ああ、ユアはいいのよ。あの子最近登下校は砂糖が迎えに来るから。あの砂糖ゲロ甘だから私一緒に居たらジャムになっちゃうわよ。」

 呆れた顔でうんざりとしたようにメリーが吐き捨てればシンは横で頷いている。

 「メリー……砂糖って……。王家がシュガーだからってそれ聞かれたら不敬罪にならない?」

 レノアが嗜めればフンっとメリーはそっぽを向いてしまう。思わずシンと目が合うと肩をすくめるシンにレノアは笑ってしまった。

 「メリーはユアが砂糖に取られて拗ねてるんだよ。でも、僕もあの位メリーを溶かしたいんだけど?メリー?僕のジャムになってよ。」

 慰める為にシンが甘い言葉をメリーに囁き抱き締めればメリーの顔は赤くなる。


 そんな目の前に座る2人をみてレノアは思わず半目になってしまった。

 (シン……お前も充分ゲロ甘だわ。)

 きっと可視化できたらこの馬車の中はハートで満たされて居るだろう。

 


ーーーーー 

 「さて、私達はライブの準備してくるからはるたんとレノ様はここら辺に座って楽しんでいってくださいね。」

 会場につけばレノア達は適当な席に案内された。

 「うん。解った。頑張ってね。」

 メリーとシンを送り出しレノアが適当に席に座ろうとすればそのタイミングで不意に呼び止められる。声の主に目を向ければそこには砂糖……もとい第1王子が手招きしていた。

 (無視したら不敬罪になる?)

 仕方なくレノアがしぶしぶ王子に近づけば満足げに王子はレノアに隣の席を進める。

 (面倒臭い……。)

 露骨に表情に出ていたらしい。レノアの顔を見てシュワルツは苦笑いをしていた。

 「そんなに露骨に嫌な顔をしないでくれ。確かに今までの俺の態度はおかしかった。非礼は詫びる。……というか、本当はキチンと君に詫びる機会が欲しかったんだ。」

 「あら、殿下がそんなに簡単に配下の者に詫びる物ではないですわ。ただ、恐れ多くも格下の者の戯れ言をもし殿下がお聞き願えればの話ですが、ユアには私みたいな事は是非しないで頂きたいですけれど……。」

 「解った。それは約束する。」

 王子が真剣にそう答えれば、レノアはそれなら良かったと微笑む。

 「君のその笑顔をもっと早くみたかったよ。君は俺がずっと目で追っていたのは気付いていたか?俺が君をどんなに欲していたかを……。」

 王子がレノアの頬の横から髪をひとつかみするとそっと髪に口づける。そして上目遣いで、レノアを見上げるその流れるような仕草は女の子の扱いに慣れているとしか言いようが無い。


 (コイツ……根っからの天性のたらしじゃねーか。)

 普通の令嬢ならこのイケメン王子にときめいて落ちてしまったのかもしれない。

 しかしそこは元35才のおっさん、そして現役令嬢。髪を払うふりをして自分の髪を王子から取り戻すとお戯れをと王子のイケメンモードをふんわりとかわす。

 

 当然かわされると思っていなかった王子は再びアプローチ。

 「戯れてなどいないよ。俺は君が……」

 

 王子の繊細な指がレノアの顎に当たる。くいっと持ち上げられればまるでキスでも出来そうな距離までお互いの顔は近づく。

 (コイツ!ユアが居るのに……。)

 思わずレノアが拳を振り上げようとすればふわりと体は宙に浮く。

 「!?」

 「触るのは辞めて頂きたい。り、レノアは俺の婚約者です。」

 「!?」

 ストンと下ろされたのはレノの腕の中。レノアを庇うように抱き締められていた。

 「ここここ、婚約者!?れれれれれれレノ!」

 慌てふためきレノを見上げればレノは淋しそうに微笑みリスに触られるのが我慢できなかったと小さく謝ってきた。


 「べ、別に……。ヤツに触って欲しくなかったから丁度よかったし……。謝らなくてもいいけどさ。」 

 レノの腕の中でレノアは顔を赤らめて俯き王子には聞こえないように呟く。

 「そっか…。」

 小さくレノアの耳元でレノが優しく囁けば耳に当たる吐息で余計にレノアの顔は熱を帯びていた。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

少し長くなりそうなのでここで区切ってみました。


ブックマークありがとうございます!

よろしければ評価おねがいします。



そして、初の感想ありがとうございます。

狂喜乱舞して舞っていました!

めちゃくちゃうれしいです!

これは本当にうれしいです!

うれしいんです!←シツコイ笑


そして、リクエスト頂いた人物紹介☆1話目の前にいれてみました。

ざっくりと書いてみたんです。ざっくりと。

書かれていない登場人物紹介は追々としようかと……。


 レノのお母様とか?

 あっちゃんをイジメテた5人娘とか?


 まぁ、多分……多分……いつか人物紹介するかも?するかな?多分……。


 ちょっと考え中ッス。

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