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身を持って体験

 「いい?はるたん。まず私の知ってるレノ様ルート上半身裸鞭打編はまず第1条件で婚約者よ!次に両思い。これは絶対条件なのよ!」

 「りょ、両思い……。」

 (どうしよう……両思いって無理だよ。だって俺はレノアだけど、女だけど微妙に気持ちは男な所が有るし…。)

 両思いと言われ思わず俯いてしまう。前世の青砥遙人は普通の男だった。世の中にはそう言う思考も有ることは自由だから否定はしなかったが、同性など好きになったことはないしもっぱら自分にとっての性の対象は女の子だった。それで35年生きてきたのだ。それが突然16才の女の子になったからといっておいそれと男を好きになることなんて……。

 「出来るわよ。」

 メリーがまるで遙人の考えを読んだかの様に言い放つ。

 「はるたんどうせ自分の前世は男だったから男を好きになる事なんてないと思ってるでしょう?」

 ………図星だ。

 「はるたん……いいえ、レノア。貴方は今はちゃんとした女の子なのよ?」

 ガタンと椅子から起ち上がるとおもむろにレノアの傍にきてレノアの顔を持ち上げる。

 レノアがメリーの名前を何をいいかける前にメリーがその唇を突如塞いだ。

 「「「「!」」」」

 「ん!……ふっ!」

 

 レノアの口内にメリーの舌が乱暴に入ってくる。そして、それは逃げ惑うレノアの舌を無理矢理絡ませ離さない。

 「んんん!んー!」


 どん!

 

 「な!何すんだよメリー!」

 息も絶え絶えレノアはメリーをはねのけると声を荒げる。

 「え?だから……ほら。」

 それに対してケロリと笑うメリーはレノアに言い放つ。

 「ほら?レノアに私がキスしてときめいた?」

 トキメクわけ……

 「んふ!!」

 またしてもレノアの言葉は最後まで紡がれる事無く塞がれる。

 「ん!!……ん、っ。ふっ。」

 先程のメリーとのキスとは違い、それは驚きから甘美な刺激にかえレノアの全身に熱を持たせる。うっとりと甘く先程メリーに侵入された口内にそれは再び侵入してくるがまるで他の侵入した形跡を上書きするかのように優しく絡ませる。

 

 「嫉妬にしてはやりすぎよ!」

 ドスッと鈍い音が聞こえるのと同時にレノアの唇は解放される。どうやらあっちゃんの渾身の一撃が彼を沈めたようだ。

 

 「レイド様!」

 「はいはい。」

 

 あっちゃんがレノアを庇うように位置をずれるとレイドを直ぐに呼びつける。

 「レノ様……いきなり女の子の唇を奪うのは御法度ではありませんこと?ちょっと退場願いますわ!」

 床に沈んだレノは激痛で悶え苦しんで返答はない。そんなレノを見てため息をこぼすとレイドは哀れみの目を向けながら何とかレノを抱え起こし引きずりながら別の場所につれていった。


 (……。)

 何も考えられずポカーンと立ちつくすレノアにコホンと咳払いをしてメリーは話を続ける。

 「う、裏山じゃなくて……ウラヤマシイ。じゃなくて!ね?はるたん?わかった?私のキスとレノ様のあの激しく嫉妬に燃えてるのにも関わらずレノアに優しく口吻して独占欲を示すキスとじゃ違うでしょう?貴方が男と恋愛出来ないっていうなら何でそんなに顔を赤らめる必要があるのよ?私は突き飛ばしたのに……。」


 改めてメリーの後に唇を奪われたのがレノだと名前で告げられればレノアの顔は急に赤くなる。

 (レノが!!なんで?なんで?)

 もはやレノアの脳内はパニックだ。

 「いいいいい、いやいやいやいや!い、いきなりだったから、わわわわわ、わかんねーーし!!」

 「はるたん……動揺しすぎです。それでも前世は35才の経験者では?あ、もしかしてそれって嘘?」

 「いいいいいいや!ちちちげーよ!!」

 「いや……そんなに動揺してると初めて見たいですよ?」

 

 な、なんなのよ今時の16才女子!恐ろしい!

 何でそんなに冷静なのかとリリアン姉妹を交互に見てしまう。

 「はるたん……それに、その反応はまるで完全に女の子よ?むしろ私達の方がその事に関してよっぽど男らしいわ。要するに女の子のキスと男からのキスは違ったでしょってことでしょ?」

 あっちゃん迄も冷ややかに言い放つ。

 「そういうことー。」

 軽快にコロコロと笑ってメリーはあっちゃんに相槌をうつ。

 というか、あっちゃんの目線が何故か冷たい。

 「それに、はるたん。私とはキスしてくれないのにメリーや、レノ様に唇を許すなんて。最低……。私とは遊びだったのね!」


 あっちゃんヤメテ……。

 これ以上オッチャンの頭をパニックにしないで……。


 「まぁ、レノアははるたんだけど、女の子だったって事を身を持って体験して貰ったって事で。はるたん?貴方は今身も心も女の子だってわかったでしょ?」

 無理矢理しれっと結論付けて優雅にお茶をすするメリーに俺は眩暈を覚えた。


 ………ゴメン。ワカリマセン。

 というか、レノもレノで何をしたかったんだ?


 しかも立ち尽くすレノアに悪い顔でメリーは追い打ちをかけるように告げる。

 「あ、これ実は上半身裸鞭打編にあったレノ様とのイベントの1つよ?本当はアノード嬢との友情キッスからの~レノ様だったんだけど……はるたん可愛いからたまには私がしゃしゃり出てみた☆」

 てへっと舌を出すメリーに全員が固まる。

 「嘘でしょー!はるたん!はるたん!私としよう!キスしてー!!イベント取り戻さないと!」

 

 あっちゃんの叫びは真っ白になって口から半分魂が出かかっているレノアには全くとどかなかった。





 男も女も16才は何をしでかすかわからない。

 宇宙人で危険。 

 


 おいちゃんそれしか解らなかったよ……。

ここまでお読みくださりありがとうございます!

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