父と母
身支度を調え、両親に挨拶しに行く前に歩きながら考える。
というか、改めて考えるとゲームの世界に転生したって凄いことだと思う。ちょっとファンタジーだよね。
どうせならヒロインが良かったけど、まぁ……悪役令嬢も立ち位置さえ間違わなければ良いのかも知れない。
(さて……今後どう動くかな。)
現在レノアは16才。
はっちゃけパラダイス☆はもう開始されていて、ヒロインであるカサンドラを既に虐めている記憶がちゃんとある。
もちろん水をかけるイベントもしてしまった。
これがきっかけで対象者全員にヒロインと悪役令嬢の立ち位置をアピールする事になったはず?
サービススチルが全部見たくて一応全対象5人のルートはフルコンプした。それなのに内容に対して疑問系なのはゲームプレイ時遙人が高校生だったため記憶が曖昧だから自信が無い。
しかも、野郎落としにはさほど興味が無かったのでひたすら内容を気にせずサービススチルに走っていた自分が愚かすぎて泣けてくる。
なんで俺、もっとちゃんとやりこまなかったんだろう。もっと早く記憶戻さなかったんだろう。
ヒロインをもう虐めちゃってるけど、このまま悪役令嬢突っ走るか?
いや……バッドエンドはヒロインが誰ルートにいっても国外追放、病死、鞭打ち……ろくなものじゃない!それは嫌。
それに35才の精神年齢をもって16才の少女を虐める悪役令嬢道をいくのはちょっとひくな。どうせ虐めるなら男の方にやろう。
でも、記憶が正しければ水掛はまだ前半的な気がする。
私の王子様に近寄るな!って言う宣戦布告的な段階な気がする。……というかそうで有って欲しい。
落ち着け、落ち着け。思いだせ俺!
ちゃんとカサンドラに謝って王子と婚約する約束を放棄すれば良い。どうせまだ正式な婚約じゃないし。ノーカンだろ。
それにもう王子興味ないし。
で、もうカサンドラは虐めない!やるなら男にやろう!必要なら正々堂々男らしく悪役令嬢すればいい!
断罪イベントは確か卒業の時だったとおもうからまだ巻き返せる。
そんな感じに考えながら歩いて居たら丁度両親の部屋に着いた。扉を開ければTHE☆貴族的な父と母に涙ながらに抱き締められた。
(あぁ……両親っていいなぁ。愛されるっていいもんだ。)
こういう意味では、本当に転生出来て良かった。
しみじみと両親に大人しく抱き締められていたら父から何があったのか尋ねられた。
両親にはちゃんと言わないとね。悪いことしたって。でも、悲しませるかな…。こんなにいい人達なのに。
胸がチクリと痛む。
「あ、あの……心配かけてすいません。実は……人として悪いことをしました。」
両親にはレノの事、カサンドラに嫉妬したこと。そして虐めて、男子トイレで水をぶっかけたこと。
(そこで倒れたのは自分で転んで頭を打ったと言うことにしておいた。)
それから王子に対しての気持ちも伝えて、今後は王子と関わりたいとは思って無いこともレノやカサンドラに謝りたいことも話した。
話の後に父と母からお叱りを軽く受けるだけで、2人にちゃんと謝ると言うことでこの話は終了した。
学校での事は自分で自分のケツをふけと言うことらしい。
そして両親からはそんなことよりも元気になって良かったと喜ばれれば、やっぱり両親の為にも悪役令嬢バッドエンドは何とか避けたいと心で誓う。
頑張るぞー私。
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